「生活の党と山本太郎となかまた ち」
《5月31日(日)主濱了生活の党副代表NHK『日曜討論」出演ご案内》
NHK『日曜討論』
テーマ:「10党に問う 集団的自衛権・後方支援」をに議論します。
日 時:平成27年5月31日(日)午前9:00~10:15
内容
○集団的自衛権の行使について
○外国軍隊への後方支援について
○PKO活動などについて
○今後の国会審議について
先ず新たな安全保障関連法案を閣議決定した2015年5月14日の記者会見。
西垣フジテレビ記者「この機会なので、まだ、これから法制が始まる、国民の不安、懸念などについて説明を伺いたいと思います。
先程総理は戦後日本が平和国家の道を歩む、そういうことに胸を張るというお話と、自衛隊の方々の活動の平和に貢献というのがありました。
これまで、自衛隊発足後、紛争に巻き込まれて自衛隊の方が亡くなるようなことはなく、また、戦闘で実弾を使ったりすることがないことが、日本人の国内の支持であったり、国際的な支持というのも日本の平和にあったかと思います。
今回、その平和安全法制が成立した暁に、こういった自衛隊の活動が重要事態に行くとか、あとは任務遂行型の武器使用になるとかいうことで、すごく危険だとか、リスクな方に振れるのではないかというような懸念があるかと思われるのですけれども、そういったことに対する総理の御説明をお願いいたします」
安倍晋三「先程申し上げましたように、例えばPKOについて駆けつけ警護ができるということは、近傍で活動している地域の、例えば子供たちの健康のために、医療活動のために従事している日本のNGOの人たちがいて、その人たちに危険が迫って、自衛隊員の皆さんに救援に来てもらいたいと頼まれて、しっかりとした装備をしている自衛隊員の皆さんが救助に行けなくていいのでしょうか。そういう訓練をしている、まさに自衛隊員の皆さんは、日頃から日本人の命、幸せな暮らしを守る、この任務のために苦しい訓練も積んでいるわけであります。まさにそういう任務をしっかりと、これからも同じように果たしていくものだということであります。
そして、今までも自衛隊の皆さんは危険な任務を担ってきているのです。まるで自衛隊員の方々が、今まで殉職した方がおられないかのような思いを持っておられる方がいらっしゃるかもしれませんが、自衛隊発足以来、今までにも1800名の自衛隊員の方々が、様々な任務等で殉職をされておられます。私も総理として慰霊祭に出席をし、御遺族の皆様ともお目にかかっております。こうした殉職者が全く出ない状況を何とか実現したいと思いますし、一人でも少ないほうがいいと思いますが、災害においても危険な任務が伴うのだということは、もっと理解をしていただきたいと、このように思います。
しかし、もとより、今、申し上げましたように、自衛隊が活動する際には、隊員の安全を確保すべきことは当然のことであります。今回の法制においても、例えば後方支援を行う場合には、部隊の安全が確保できない場所で活動を行うことはなく、万が一危険が生じた場合には業務を中止し、あるいは退避すべきことなど、明確な仕組みを設けています」――
自衛隊員の中にイラク戦争やアフガニスタン戦争でのPKO支援活動などで戦死者は出ていないが、その他の活動、訓練等で1800名が死亡している。例え新しい安保法制となったとしても、安全を確保する。
5月27日平和安全特別委員会での大串博志民主党議員との質疑。
安倍晋三「先程、私の記者会見の言葉を引用されましたが、(自衛隊員から)死傷者が出るのではないかという質問がありました。ですから、今までまるで死傷者が出ていなかったかの如くの認識ですが、それは違いますよということを私は申し上げたわけでございます。
自衛隊の諸君はですね、訓練に於いてもリスクの高い訓練をしていなければですね、現場に於いて機敏な、また国民の命を守るための活動はできないわけであります。
いわば普通のリスクとは違うということはやっぱり、これ国民みんなで認識していかなければならないということを申し上げたわけです」――
この日の最後に志位和夫共産党委員長が質問に立っている。事前に質問通告してあるから、自衛隊から戦死者を出していなくても、イラクやアフガンからの帰還兵から自殺者が出ていることを承知していて、大串議員に答弁していたはずだ。
志位共産党委員長「これまで自衛隊に戦死者が出ていないものの、犠牲者が出ていないわけではない。アフガニスタン戦争に対してのテロ特措法、イラク戦争に対してのイラク特措法に基づいて派遣された自衛官の内、これまでに自ら命を断った自殺者が何人か、防衛省、報告されたい。
真部朗人事教育局長 「平成26年の現在、その時点でございますが、イラク特措法に基づきましてイラクに派遣された経歴のある自衛官の内、陸上自衛官が21名、航空自衛官が8名、計29名。
それからテロ特措法に基づいて(アフガニスタンに)派遣された経歴のある自衛官の内、海上自衛官が25名。これは統計の関係で平成16年度以降でございますが、以上、29名と25人で54名が帰国後の自殺によって亡くなられております。
一般に申し上げると、自殺の原因は様々な要因が複合的に影響しあって発生するものでございます。従いましてですね、個々の原因については特定することが困難な場合が多(おお)うございます。自殺した自衛官について海外派遣との因果関係、そういったものを特定することは困難な場合が多いということを進言させて頂きたいと思います」――
自殺原因が複合的であっても、頻発なテロの発生と発生したテロに対する軍事行動・戦闘行為が頻発していたイラク、あるいはアフガニスタンへの海外派遣を経歴としていて、その帰国後という共通項を担っている以上、自殺した背景として無視できない大きな要因であるはずである。
複合的原因を持ち出すことによって海外派遣を原因に結びつけることから遠ざけようとする意図を窺うことができる。
自身の記者会見発言と志位委員長の質問通告を受けて、訓練中の死亡だけではなく、海外派遣の自衛官から自殺者を出していることまでを念頭に置いた安倍晋三の大串議員に対する答弁でもあるはずだ。
「今までまるで死傷者が出ていなかったかの如くの認識ですが、それは違いますよということを私は申し上げたわけでございます」
「今までも出ていたんですよ」という思いは今後も出る可能性の宣言に他ならない。
勿論、死傷者には色々ある。
2001年11月から2007年11月までのアフガニスタンのPKOにしても、2003年12月から2009年2月までのイラクへのPKO派遣にしても、自衛隊自身が様々に安全確保の仕組みを設けたはずで、イラクの自衛隊派遣の場合はオランダ軍、その後はオーストラリア軍が自衛隊の護衛に当っていたが、それでも帰国後に自殺者を出した。
いくらリスクの高い訓練をしようとも、高度の安全対策を講じようとも、少なくとも今後とも自殺者の発生は否定できないことになる。
果して自殺者だけで済むだろうか。
志位委員長は後方支援中の自衛隊自身が攻撃され、武器を使用することになる可能性を言い、安倍晋三が昨日の志位委員長の質問に対して、「自分や共に現場に所属する自衛隊員などの生存と身体の防護のため止むを得ない必要がある場合、武器を使用できる」と発言したことを問い質した。
安倍晋三「それは自己保存型の武器の使用になるわけでございます。要件については当然ですね、これは正当防衛と緊急避難に限るわけです」
志位委員長は自己保存型であっても、武器を使用すれば相手からの反撃を受けることになって、応戦することなり、結果として戦闘することになるのではないのかと更に追及した。
安倍晋三「先程も答弁しましたが、自己保存型の武器の使用しかできないわけでございます。そん中に於いてもし攻撃を受けたなら、応戦をするということではなくて、応戦しながら業務を継続するということではなくて、直ちに退避に移るわけでございます」
安倍晋三は応戦の禁止を言い渡した。
不可能を可能とするような矛盾を平気で言う。この発言をベテランの自衛官が聞いていたら、笑ってしまったろう。
「自分や共に現場に所属する自衛隊員などの生存と身体の防護のため止むを得ない必要がある場合」の自己保存型の武器使用はできる。
攻撃を受けても応戦せずに被害なく退避を完成させるためには退避に対する追尾を受けないことの絶対的な保証がなければならない。退避に対して追尾のない攻撃が世の中に存在するだろうか。
追尾があれば、当然何らかの応戦で追尾を阻止する必要に迫られる。
応戦せずに常に退避できるとは限らないのだから、第一義的には後方支援中の万が一の攻撃に対する応戦が自己保存型の武器使用に当たり、応戦せずに退避することができたとしても、追尾を受けない保証がない以上、追尾に対する応戦も自己保存型の武器使用に当たることになる。
だが、安倍晋三は応戦の禁止を言い渡した。このことの実際の意味は自己保存型の武器使用まで禁じたことになる。
そうでなければ、後方支援中の万が一の攻撃も退避に対する追尾も決してないとの断言となる。
大体が応戦には自己保存型の性格を持たせた応戦と任務遂行型の性格を持たせた応戦があるはずだ。
そして応戦によって一人でも犠牲者を出さないために、あるいは犠牲者を一人でも少なくするために、あるいは部隊全員が無事退避できるよう、それらの任務遂行のために自己保存型の武器使用はいつでも簡単に任務遂行型の武器使用に変わり得る。
「自己保存」のためにときには敵勢力殲滅の激しい戦闘を任務とし、遂行しなければならない場合も生じる。
当然、全員無事の場合もあるし、死傷者が出る場合も生じる。
だが、安倍晋三は応戦自体を否定している。応戦を否定されたなら、応戦でしか対応できない場面に遭遇したとき、自衛隊員はどうするのだろうか。大いなる矛盾と矛盾に対する激しい怒りしか感じることができないことになる。
そもそもからして、自己保保存型の武器使用と任務遂行型の武器使用を分けること自体に無理がある。
安倍晋三が言っていることを自衛隊が活動の現場で厳格に守っていたなら、いずれの矛盾もクリアすることはできないはずだ。
今ままでの活動とは質を異にした、物資や兵員の補給・輸送等の任務対象部隊に対する輸血に相当する兵站を担う以上、敵はその輸血を可能な限り止めなければならない必要上、攻撃対象となりやすくなる。安倍晋三自身は頭が悪いから自分が何を言ったのか気づいていないだろうが、「今までまるで死傷者が出ていなかったかの如くの認識ですが、それは違いますよということを私は申し上げたわけでございます」という文言で、「今までも死傷者を出していた」とすることで、今後とも出すと、自衛隊から戦死者を出す可能性に言及したのである。