安倍晋三はサマワ、中谷元は御嶽山を例に訓練が自衛隊リスク回避可能とすると「訓練絶対安全神話」を披露

2015-05-28 12:07:00 | 政治


 5月27日(2015年)、衆議院平和安全特別委員会で大串博志民主党議員が新安全保障法制では現行の周辺事態法と比較して自衛隊の活動場所が「非戦闘地域」から「現に戦闘が行われている場所」以外に拡大するゆえに自衛隊のリスクは増大すると追及した。

 1999年(平成11年)5月28日施行の周辺事態法(「周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律」)について「Wikipedia」を参考に簡単に触れたいと思う。

 〈目的

 そのまま放置すれば、日本に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等、日本周辺の地域における日本の平和及び安全に重要な影響を与える事態(「周辺事態」)に対応して日本が実施する措置、その実施の手続その他の必要な事項を定め、日米安保条約の効果的な運用に寄与し、日本の平和及び安全の確保に資することを目的としている。

 内容

 通常、自衛隊が軍事行動を起こす場合、自国の領域において脅威が発生した場合のみだが、この法律は放置すれば日本に脅威をもたらす場合にも軍事行動をとる事を可能とする法律。

 対応措置

 後方地域支援
 後方地域捜索救助活動
 船舶検査活動(船舶検査活動法に規定するもの)

 後方地域の定義

 「我が国領域並びに現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる我が国周辺の公海(海洋法に関する国際連合条約に規定する排他的経済水域を含む。以下同じ。)及びその上空の範囲をいう。」

 つまり後方地域とは「日本の領域と日本周辺の非戦闘地域」のこと。後のテロ特措法やイラク特措法のように「外国の領域」は含まれていないが、自衛隊イラク派遣、自衛隊インド洋派遣で議論された「非戦闘地域」の概念がこの法律で示された。 なお、2010年11月の延坪島砲撃事件については、政府は周辺事態に該当しないとの見解を示している。〉――

 中谷元「現在も自衛隊が我が国を守るという任務を持って、隊員も危険を顧みず、国民の負託に応えられるように日々訓練をして備えております。

 で、そういう意味に於いて、じゃあ、日本を守るリスクって、どういうものがあるかと考えれば、これ、千差万別あるんですね。そういった予期せぬ事態にも対応する。そして予期せぬ場合でも、国民のために出動を求められる。

 去年御嶽山、あのー、非常に高い標高ですね、民間の方々に救出に行えない場合に自衛隊に命令がかかりますけれども、非常に高度が3千メートルの山場で、あのヘリコプターを操縦するということはホントーに危険なことですので、できないこと、そういうリスクを帯びてもですね、自衛隊は任務を遂行しております。

 このように将来起こり得ることに対して備えをしておりまして、今回海外に於ける対応等につきましても、やはり基本的には法律を定めて、実際に準備をし、訓練をし、能力を上げていく。

 こういう基本的となる法律でありますので、法律に基づいて実施できるような値をしてリスクを軽減させていくということでございます」

 日々訓練をして、訓練の能力を上げていけば、リスクは軽減できると言っている。言ってみれば、訓練によって絶対的に安全が確保されるとする「訓練絶対安全神話」である。確実に言葉通りに非戦闘地域であるなら、ヘリコプター運行に少しぐらい危険な天候であっても、少しぐらい危険な場所であっても、訓練のそのままの応用でリスクは避けることができるだろう。

 だが、自衛隊が海外で行う他国軍への後方支援は「非戦闘地域」限定から「現に戦闘行為が行われている現場」以外と規程、「戦闘が起こったときにはただちに部隊の責任者の判断で一時中止をする。あるいは退避する」としていることは過去に戦闘行為が行われていたが現在は戦闘が行われていない地域か、あるいは現在戦闘行為が行われていなくても、将来、戦闘が行われる可能性は否定できない地域という意味となって、例え一時中止が何事もなく成功したとしても、退避を無事果たすことができたとしても、常にそうできるという保証はないし、常にそれを予定調和とすることはできないはずだが、四六時中戦闘との遭遇を想定した活動を前提としなければならないことになる。

 戦闘は何も敵兵が接近して白兵戦を交えることだけを言うのではない。接近過程で探知することができれば、活動の一時中止も退避も可能となるが、遠距離からの迫撃砲が活動中の自衛隊員を標的として、あるいは同じく遠距離から対ヘリコプター携帯ミサイルが自衛隊のヘリコプターを標的として、さらには同じく遠距離から対戦車携帯ミサイルが自衛隊の戦車ではなくても、自衛隊の軍用トラックを標的として前触れもなく飛来してきた場合の一時中止や退避は何らかの被害を受けたあとの行動を想定しなければならない。

 そういったリスクを想定しなければならない活動に対して迫撃砲や携帯ミサイル、機関銃からの被弾も想定せずに済む御嶽山のヘリコプター運行を例にして、同じ程度のリスクだとし、日々の訓練でそういったリスクを軽減できるとする「訓練絶対安全神話」は合理性もないバカげた判断能力と言う他ない。

 大串議員は尚も新しい法制になったらリスクは増大すると追及した。

 中谷元「私が申し上げましたのは現在もリスクを負って厳しい任務をしておりますし、今回の法律に基づく任務も同様の、従来と同様のリスクというものはあるんですよ。

 しかしどういうことが起こって、どういう対応をするかということは今後のことでありまして、特に政府としてそういった任務に寄与するということにつきましては法律の基づいてしっかりと計画をし、最終的には国会で承認を頂いて派遣するわけで、当然リスク、色んなリスクはあると思います。

 しかしそれを軽減し、極小化してですね、計画を立てるというのは当然のことでありますし、また派遣された場合も安全に対応するということをやっていくということです」

 あくまでも新しい法制でも、「色んなリスクはある」が、「従来と同様のリスクというものはあるんですよ」と従来と変わらないリスクだとしている。そしてこういったリスクにしても、計画を立てて軽減し、極小化していくと請け合っている。

 計画で立てたとおりにリスクを軽減し、極小化できるなら、つまり計画を立てたとおりに物事を進めることができたなら、アメリカ軍はイラクでもアフガンでも犠牲者を遥かに少なくすることができたろう。

 太平洋戦争で旧日本軍が計画を立てたとおりに戦っていたなら、いわば計画通りに全ての戦闘を遂行可能としていたなら、アメリカに勝利することを計画していたはずだから、最終的には勝利していたことになる。

 相手があることであり、その出方が一定ではなく、なお且つ偶然という作用に影響される可能性が否定できない状況での活動である以上、こちらの思い通りに事が運ぶ保証はないことを前提としなければならないはずだが、そのことに反して計画を立てたとおりに物事を進めることができるとするのは、今後起き得ると想定した全ての事態が想定した予想通りに結果も予想通りとする予定調和以外の何ものでもない。

 大串議員が「戦闘が起こったときにはただちに部隊の責任者の判断で一時中止をする。あるいは退避する」としている規程に対して、戦闘現場になるかならないかをその場で判断しなければならない現場の部隊長は非常に大きな負担がかかる。にも関わらず中谷元は「どういうことが起こって、どういう対応をするかということは今後のことだ」と言ったが、そういう対応でいいのかと迫った。

 安倍晋三「サマワ、あのときもこういう議論があったのです。例えば半年間サマワ活動、自衛隊が駐留している期間、ずっと非戦闘地域だということは本当に予測することが可能なのかという議論がございました。

 そこにどこからかミサイルや迫撃砲が飛んできて着弾したらどうなるのかという議論がずっとあったじゃないですか。ただ今回はですね、今回は大切なのは自衛隊が駐留している場所、そして活動を行う場所。例えばサマワで議論しましたね。サマワ全体ではなくて、いわば自衛隊が駐留場所と活動場所について、そこで自衛隊がまさに現実に活動を行う期間について戦闘行為が発生しないと見込まれる場所を実施区域に選んだわけでございます。

 しかし先程申し上げましたようにそう十分に見込んでいたとしても、そうでなくなる可能性というのはやはりあります、それは。しかしそれをですね、そういうことがあり得るという頭、心構えをしながら、そのとき指揮官が正しい判断をして、そこはやめますよと、他の区域だったら大丈夫ですね、と言うことで他の区域に予め移ることができるわけで、そういいう危険な状況になる前に予め柔軟に移すことができるわけです。

 今までは現行法ではまさにサマワ全体がこれは自衛隊が駐留している間は全部が安全大丈夫という非戦闘地域ということがまさにタテマエとなっていたわけであります。それはまさに一回だけの議論の中でできた概念であります。

 しかし今まで活動を重ねてきている経験によってですね、サマワの中にも色々ありますね。ということが分かるわけですよ。サマワの中でも色々あって、広いし、そいう中で状況というのは変わってきます。日々変わりながら、そこで正しい判断をして自衛隊員に死傷者を出す前にそこでは現場の指揮官が判断をすると、こういうことでありますから、まさに法律の書いてしまえば、安全だということではなくて、まさに現場の指揮官が正しい的確な判断ができるようにならなければいけない。

 まさにそのような判断をする訓練を積んでいますし、それを前提としてこれからも判断ができる訓練を行っていくように参ります」――
 
 戦闘現場ではなかったが、戦闘現場となる「そういうことがあり得るという頭、心構え」は訓練によって手にすることができる判断能力を指す。要するに訓練によって何事も解決するという「訓練絶対安全神話」に他ならない。

 そしてリスク回避の「正しい的確な判断」は現場の指揮官の能力にかかっているが、「そのような判断をする訓練を積んでい」るし、「これからも判断ができる訓練を行っていく」と、訓練によって如何様なリスクも回避できるとする「訓練絶対安全神話」から離れることができない。

 イラクやアフガンに派遣されたアメリカ軍将校も厳しい訓練と様々な戦闘経験を経ていたはずだ。だが、多くの犠牲を出した。

 アメリカ軍が置かれた危険度は格段に違うと言うだろうが、危険度に応じた訓練を受けていたはずだし、アメリカ軍が経験した戦争・戦闘にしても、その危険度は高かったはずで、そこからの学習は当然、危険度に応じた質を備えていたはずだ。

 訓練や経験からの学習は常に絶対ではないということである。にも関わらず、「訓練絶対安全神話」を振り回す。「訓練絶対安全神話」も予定調和のうちに入る。リスクはない、安全だと想定して、その想定が結果も想定通りとなるとする予定調和である。

 大体がサマワを後方支援の学習例として、訓練によってリスクを回避できるとすること自体がバカげた議論に過ぎない。イラク戦争2003年3月開始、2003年5月のフセイン政権崩壊後の2003年7月から、オランダ軍がサマワのあるムサンナ県に駐留、治安維持に当てり、自衛隊の護衛も担っている。

 2005年3月のオランダ軍が撤退が決まると、日本の要請によってオーストラリア政府のハワード首相がイラク南部の兵員を増大することを決定し、2005年4月25日 オーストラリア軍の先遣隊(43人)がサマーワに到着し、2005年5月1日、オーストラリア軍本隊第1陣(約450人)がイラク南部の治安維持活動のためサマーワに入りして、自衛隊の護衛に当たっている。(Wikipedia

 そういった他国軍隊に守られた自衛隊の状況を今後独立した組織としての活動を予定しているケースの学習参考とし、頭のいい中谷元にしても安倍晋三にしても、訓練でリスクが回避できるかのような「訓練絶対安全神話」の“予定調和”を振り回して、新安保法制は国民の命と平和な暮らしを守るためのものだと言う。

 そのバカさ加減は計り知れない。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする