安倍晋三・安倍内閣の新安保法制国会議論は拡大解釈の隠し球を至る所に潜ませていると見なければならない

2015-05-29 11:17:12 | 政治



      「生活の党と山本太郎となかまた ち」

     《5月26日「太郎と一郎、参院選に向け野党結集呼びかけ」》

     「太郎と一郎、参院選に向け野党結集呼びかけ」と題して『スポーツ報知』が5月26日、小沢一郎代
     表と山本太郎代表の野党結集に関する記事を掲載しています。ぜひご一読、拡散をお願い致します。

     《5月26日(火)玉城デニー幹事長 法案提出》    

     生活の党と山本太郎となかまたちは5月26日、民主党、維新の党の3野党共同で「労働者の職務に応
     じた待遇の確保等のための施策の推進に関する法律案」(「同一労働同一賃金推進法案」)を衆議
     院に提出しました。詳細は党ホームページをご覧ください。

 辻元清美民主党議員の2015年5月28日午後の衆院平和安全特別委員会質疑。

 辻元清美「新3要件を満たせば、どこに自衛隊を派遣できるか。2月2日の参議院審議、このときに安倍総理の答弁が大事なところです。予算委員会でもこれを取り上げて、質疑しました。

 『集団的自衛権を行使するのは新3要件が当てはまるかどうかで決まる。地理的にどこだから当てはまらないということはない』と答弁している。そして3月3日、私と法制局長官との遣り取りで、『新3要件そのものに地理的制限はございません』と答弁している。

 防衛大臣にお伺いします。新3要件が満たされれば、他国の領土・領海・領空でも武力行使ができるという理解でよろしいか」

 中谷元「武力行使の目的を持って、そうした部隊を他国の領土・領海・領空に派遣する、いわゆる海外派遣は一般に自衛のための必要最小限を超えるものであって、憲法上許されないとされている。

 このような従来からの考え方は新3要件の元、集団的自衛権を行使する場合であっても全く変わらず、新3要件から論理的に満たされないものです(ママ)」

 辻元清美「中谷大臣はよく質問を聞いてくださいね。中谷大臣も先日の5月2日の記者会見でこう答えています。『他国の領域に於ける』、領域というのは領土・領海・領空です。『領域に於ける武力行使であっても、新3要件に該当するものであるとすれば、憲法上の理論としては、そのような行動を取ることは許されないわけではない』と、記者会見でおっしゃっている。

 もう一度お聞きします。新3要件が満たされれば、他国の領土・領海・領空でも武力行使ができるという理解でよろしいでしょうか」

 中谷元「ハイ、そのとおりでございます」

 辻元清美「総理も同じでよろしいですね』

 安倍晋三「それはつまり今まで答弁しているように他国の領土・領海・領空に於ける武力行使というのは海外派兵の一般禁止、海外派兵は3要件に於ける必要最小限の実力行使にとどまることに反するということだから、一般に海外派兵は許されない。

 これは個別的自衛権に於いてもそうであって、一般的ということの中に於いて、例えホルムズ海峡の機雷封鎖のようなものを、その機雷を除去するということについてはいわゆる受動的に制限的に行うわけだから、必要最小限度の中にとどまる可能性はある。

 しかしそれは第1要件に当てはまるかどうかはまた別の判断だが、一般に海外に於ける武力行使――海外派兵、これは禁じられているという考え方です」

 辻元清美「質問にお答えになっていない。それは必要最小限度という新3要件の一つに当たらないという場合のことを総理はずっとおっしゃっている。当たるかどうかは後で検証したいが、中谷大臣が記者会見で、『他国の領土・領海・領空に於ける武力行使であっても、新3要件に該当するものであれば、憲法上の理論としてはそのような行動は許されないわけではない』

 同じですね、総理」

 安倍晋三「これは昨日も累次答弁しているが、基本的に必要最小限度の実力行使にとどまらなければならない。明確に書いてあるわけです。そこから導かれる論理としては一般に海外派兵はこれは認められない。

 これは基本であります。

 この基本の中に於いて、これは一般にであるから、例外としてホルムズの例を挙げているが、これ以外に於いて念頭にはないということでございます。

 これはかなり個別的なことに限って議論をしているわけだが、ただ法理論上、法理上に於いては、まさに一般の中に於いて、一般というのは概(おおむ)ねということだが、その外というのは100%ないというわけではありませんから、これが例えばホルムズとしてあり得るということだから、法理上はその余地は残っているが、基本的には一般未満になりますから、それは認められない。

 それを以て海外での武力行使が全面的に可能であるかの如くの、海外と言うか、領土・領海・領空に於ける武力行使が可能であるかの如くの誤解を与えてはならない。

 ここは大切なことだから、繰返し申し上げるが、必要最小限度というのは他の領海に入っていって、空爆を行ったり、上陸をしていって攻め込んだり、大規模な攻撃を行ったりということはできない。これは明らかにできないということは明確に申し上げておきたい」

 辻元清美「それはずっとおっしゃっているので存じ上げている。必要最小限度に当たらなかったらできないのは当たり前なんです。中谷大臣が記者会見されているのは新3要件だから、3つに当てはまったら、他国の領土・領海・領空でも行けると記者会見でおっしゃったので、総理も法理上は行けるという立て付けですね」

 安倍晋三「純粋法理上はあり得るということは先程申し上げたとおりですよ、政策上はホルムズ以外に念頭にはないということを繰返し申し上げておきたい」

 中谷元が記者会見で、「他国の領域に於ける武力行使であっても、新3要件に該当するものであるとすれば、憲法上の理論としては、そのような行動を取ることは許されないわけではない」と言い、安倍晋三は既に国会答弁しているように「いわゆる海外派兵は、一般に自衛のための必要最小限度を超えるものであって、憲法上許されない」のタテマエを取っているものの、「法理上に於いては、まさに一般の中に於いて、一般というのは概(おおむ)ねということだが、その外というのは100%ないというわけではありませんから、これが例えばホルムズとしてあり得るということだから、法理上はその余地は残っているが、基本的には一般未満になりますから、それは認められない」と言って、新3要件を満たせば、現在のところホルムズ海峡の例以外に念頭にはないが、法理上は海外派兵の余地は残っている、いわば認められる場合もあるとしている。

 「法理論上」とは、「日本国憲法は」という意味である。そして「一般に自衛のための必要最小限度を超えるものであって、憲法上許されない」としている海外派兵を、例え新3要件の縛りを入れていたとしても、法理上の余地を残しているということは拡大解釈の余地を残しているということを意味するはずだ。

 いわばいつの日かの拡大解釈の隠し球とならない保証はない。

 そして新3要件自体が拡大解釈の可能性を潜ませていないとは限らない。このことは集団的自衛権に関わる従来の政府見解を見れば十分に理解できる。

 「国際法上、国家は、集団的自衛権、即ち、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにも関わらず、実力を以って阻止する権利を有しているものとされている。我が国が、国際法上、このような集団的自衛権を有していることは、主権国家である以上当然である。しかし、憲法第9条の下において許容されている自衛権の行使は、我が国を防衛するため必要最小限度の範囲にとどまるべきものであると解しており、集団的自衛権を行使することは、その範囲を超えるものであって、憲法上許されないと考えている」(防衛白書)――

 にも関わらず、我が国を取り巻く安全保障環境の根本的な変容を根拠として憲法を拡大解釈して集団的自衛権行使は憲法に違反されないとされるに至った。

 従来の政府見解が拡大解釈という隠し球を従前から潜ませていたとは断定できないが、結果として拡大解釈を露わにした。しかも拡大解釈はこれが初めてではない。日本国憲法第9条の戦争放棄、戦力不保持、交戦権の否認は主権国家としての固有の自衛権を否定するものではないとの拡大解釈の元、警察予備隊を出発点として自衛隊という軍隊と軍隊が当然備える戦力を持つに至った。

 こういった前科が何犯かの前例がある以上、新3要件の一つ、「必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと」の「必要最小限度」という言葉自体が既に曖昧で抽象的な文言となっていて、如何ようにも拡大解釈できる余地を持たせている以上、ある日突然、拡大解釈の姿を取る日を迎えないとも限らない。
 
 既に行動範囲に関しては中東にまで拡大しようとしている。実力行使の程度に於いても「必要最小限度」の制約がその文言の曖昧さゆえに「必要最小限度」のまま踏みとどまる保証はない。

 貧乏人が必要とする最小限度の生活費とカネ持ちが必要とする最小限度の生活費は桁違いであろう。小国の小規模な軍事力に対する場合と、大国の大規模な軍事力に対する場合とでは必要とする実力行使の規模は自ずと違ってくる。この場合の「必要最小限度の実力行使」はこの程度だと、いくらでも変えることができる。

 拡大解釈の隠し球はどこにでも、如何ようにも潜ませることができる。安倍晋三の意志がそうさせていると見なければならない。

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