安倍晋三が考え、自衛隊が担う後方支援は任務遂行型でなければならず、自己保存型では務まらない

2015-05-31 10:19:19 | 政治


 安倍政権は「国際平和支援法」によって燃料や弾薬、武器、兵士の補給・輸送等の自衛隊による他国軍に対する後方支援を、「重要影響事態安全確保法」によって補給、輸送、修理及び整備、医療、通信、空港及び港湾業務、基地業務、宿泊、保管、施設の利用、訓練業務等の同じく自衛隊による他国軍に対する後方支援を実現させようとしている。

 「重要影響事態安全確保法」は武器の提供は含まないが、弾薬の提供及び戦闘作戦行動のために発進準備中の航空機に対する給油及び整備は実施可能としているとネットに書いてあった。

 いわば後方支援とは兵站(ロジティクス)そのものであって、自衛隊はその重要な一部を担う。

 5月27日衆議院平和安全特別委員会で志位和夫共産党委員長がこの兵站(ロジティクス)について追及している。

 志位和夫「私は後方支援の本質論を聞いていきたいと思う。政府の法案で後方支援と呼んでいる活動、弾薬や燃料など、補給、武器弾薬・兵員輸送などの後方支援という言葉は日本政府だけが使っている造語であって、国際的には兵站、ロジティクスと呼ばれている。

 4月に日米政府が交わした新ガイドラインでも、日本語では後方支援ですが、米語ではロジティクスサポートに全部なっている。ロジティクスは前方や後方などの概念ではない」――

 そしてロジティクスが如何に重要な任務であるか、米軍海兵隊の教本を例に説明した。

 志位和夫「米軍海兵隊が作った『海兵隊教本』であります(と、コピーした一部資料を持ち上げて示す)。このロジティクス、兵站の項を持ってきました。現在使われている。

 兵站について冒頭部分で、『我々のドクトリンは兵站が戦争と一体不可分であると思っている』と強調した上で、次のように述べている。『兵站は如何に重要か。兵站は軍事作戦の如何なる実施の試みに於いても不可欠な部分で、兵站なしには計画的な組織的な活動としての戦争は不可能である。

 兵站なしには部隊は戦場に辿りつけない。兵站がなければ、武器や弾薬はなくなり、車両は燃料なしとなり、装備は故障し、動かないままとなり、病人や傷病兵は治療がないままになり、前線部隊は食糧や避難場所や医療なしに過ごさなければならない』

 兵站の重要性について非常に分かりやすく、書いています。次に、『兵站と戦争』という項がある。

 『兵站は戦争の一機能であるがゆえに兵站システムとそのシステムを作動させる部隊及び要員が暴力を呼ぶ危険の対象となる。兵站の部隊、設備、敷設は軍事行動の格好の目標であることを認識することが重要である』」――

 要するに志位委員長は後方支援活動の自衛隊部隊が攻撃対象となりやすい危険性を常に抱えることになる可能性を指摘した。

 対して安倍晋三は、「攻撃を受けたなら、応戦をするということではなくて、応戦しながら業務を継続するということではなくて、直ちに退避に移るわけでございます」と言って、自衛隊員の安全を保証した。

 しかしこの発言は兵站という重要な役目の本質に反する言葉となる。

 【兵站】「戦場で後方に位置して、前線の部隊のために軍需品・食糧・馬などの供給・補充や、後方連絡線の確保などを任務とする機関。その任務」

 部隊はその組織を動かし、戦闘を維持する血として様々な物資・弾薬・武器等の補給・輸送を求める。それらなくして戦闘を維持できず、当然、部隊は動かなくなる。

 血が人間が生き・活動していくために不可欠な要素であるように兵站は各部隊の維持と、各部隊の維持を通した全体としての軍の維持に不可欠な要素として存在する。

 この不可欠性と、兵站が担う任務が常に緊急性を要するとは限らないが、ときには緊急性を要する場合があることは否定できないから、いわば緊急性に備えていなければならないことから、これら不可欠性と緊急性への備えから言って、自衛隊が担う兵站そのものである後方支援は極めて強い意志を持たせた任務遂行型の性格を持たせなければならないことになる。

 当然、武器使用も、安倍晋三は正当防衛や緊急避難等の自己保存型の武器使用のみを認めると言っているが、任務遂行型の武器使用でなければ、兵站という重要な任務を満足に遂行できないことになる。

 こういった任務の構造を考えると、補給・輸送を断つために敵勢力が後方支援を担う自衛隊そのものに攻撃を加えたからと言って、安倍晋三が言っているように応戦せずに退避するという自己保存型の活動を優先させた場合、極めて強い意志を持たせた任務遂行型の性格を持たせなければならない兵站の重要性に矛盾する行動となる。

 実際に法律が成立・施行されて自衛隊が兵站そのものである後方支援の現場に立った場合、任務の不可欠性と緊急性への備えに否応もなしに促されることになって、任務遂行型の姿を取らざるを得なくなり、攻撃があれば、自己保存型の武器使用だと言ってはいられなくなって、任務遂行型の武器使用に迫られることになるはずだ。

 特に自衛隊が弾薬や武器、燃料の輸送を行っていたなら、単に兵站を妨害するための蹴散らす形の攻撃ではなく、その捕獲を狙った攻撃という形を取った場合、目的を達するための攻撃となって、攻撃に対する捕獲阻止の反撃は否応もなしに激しい戦闘の形を取らざるを得なくなる。

 当然、死傷者が出ることも覚悟しなければならない。

 安倍晋三や中谷元、岸田が自衛隊のリスクが増大することはないと言っていることはリスクの増大を隠す詭弁に過ぎない。

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