北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

183系特急電車 今に生きる阪神大震災からの復興と鉄道屋の気概

2009-02-17 20:32:01 | コラム

◆その183系は震災の翌年に鷹取で改造された

 先日、舞鶴基地を見学してのち、特急まいづる号を利用して京都市内に戻った。二条駅にて下車しようとしたところ、ちょっと目に入ったプレートがあった。

Img_8511  JR西日本鷹取工場というのはご存じだろうか、梅小路機関車博物館に行けば、蒸気機関車の整備を行っていた場所として、その名前は今でも知られているのだが、現在の山陽本線を建設した山陽鉄道時代から鉄道省管轄に移り、国鉄に、そしてJRへと引き継がれ、阪神大震災からの復興過程で廃止された車両工場のことである。太平洋戦争で米軍の爆撃により受けた壊滅的な被害からは復興出来たのだが、阪神大震災の痛手には耐えられなかったということか。

Img_8496  しかし、鷹取工場は、阪神大震災の痛手を受けつつも比較的早い時期に操業を再開している。実際に廃止されたのは、2000年の3月だ。さて、蒸気機関車の整備を行った工場として名高い鷹取工場であるが、車両の定期検査などや、車両の改修、例えば485系特急車の183系特急車への改造なども行っていた。

Img_8508  東舞鶴から西舞鶴、綾部、園部、亀岡を過ぎて間もなく二条駅、降車しようとしたその瞬間、目に飛び込んできたのが、このプレートである。気にしない人は気にしないだろうし、車両の客室とデッキを区切る扉付近の小さなプレートである、気づかずに通り過ぎる人の方が多いようにも思う。

Img_8509  プレートには、“クハ183-707 JR西日本 鷹取工場 旧車番号 クハ481-302 平成8年改造”と記されている。これには少し驚いた。平成8年といえば、1996年、つまり阪神大震災の翌年に、この電車は鷹取工場で183系特急に改造されたということになる。戦後最大の震災被害の中、いち早く再稼働した鷹取工場の車両なのだ。

Img_8515  二条駅を終点京都駅に向けて出発する、まいづる号。プレートを見たのち、鉄道屋の気概が伝わってくるような印象が残った。鷹取工場は2000年3月に廃止されている。跡地は神戸市の再開発が行われている。しかし、鷹取工場が生んだ183系は、今日も山陰へ、舞鶴へ、頑張っているのだなあ、としみじみ思った次第。

HARUNA

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コメント (3)
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