北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

かわいそうなねこ 航空自衛隊向きの機体であったF-14トムキャット

2009-02-23 20:33:43 | 防衛・安全保障

◆2月22日はネコの日

 2月22日はネコの日、一日遅れでネコの日特集だ。ネコといえば、ワイルドキャット、ヘルキャット、そしてトムキャットなど、米海軍空母艦載機の愛称に用いられることは有名だ。本日は、F-14Dについて一つ。

Img_0938_1  アメリカ軍におけるF-14は、空軍のF-15と共に海軍の空母艦載機として、設計し得る最高の性能を盛り込んだ航空機として1970年に初飛行を遂げた航空機である。可変翼を採用し、高度な空戦機動能力を誇りつつも、同時に24目標を追尾可能で200km以内の目標を索敵可能なAN/AWG-9レーダーを搭載、長射程のAIM-54フェニックス空対空ミサイルを運用する最高の艦上戦闘機といえた。このF-14を次世代の防空任務に対応させるべく1990年に開発されたのが、F-14Dである。レーダーを新型のAN/APG-71に換装し、エンジンをPW-F-110エンジンとしたのだが、余りに高コスト背ある点と、冷戦の終結を受けて調達は少数に終わり、多用途性の高いF/A-18に取って代わられた。同世代のF-15が、F-15Eとして戦闘爆撃機にも転用され、F-15Cとして主力の制空戦闘機として運用されているのをみれば、余りにも対照的である。

Img_0963_1  しかしながら、もしかりにF-14Dの生産が継続されていれば、現在進められている航空自衛隊の次期戦闘機候補にもなり得たのかもしれない。まず、航空自衛隊が運用する場合、F-14Dは海軍機であるので、既に運用されている早期警戒機E-2Cとのデータリンクが容易である。加えて、艦隊防空任務を念頭に、要求性能が盛り込まれているので、長距離迎撃任務に向いており、例えばイギリスの次期戦闘機選定でも、この特色が注目された、しかし、コストの問題からトーネード防空型が採用されている。航空自衛隊の次期戦闘機として選定される場合には、さらにF-14Dの低い対地攻撃能力も、専守防衛の日本には利点となり得る。

Img_0944_1  もともと、F-14Aが、F-15Cとの間で、航空自衛隊の次期戦闘機選定を競った際、高コストを理由に日本での採用が見送られたということがあったが、例えば同時期、空中早期警戒機の選定でも高コストということで早期警戒管制機のE-3を断念し、早期警戒機であるE-2Cが採用されたが、後に高コストということで一度は断念した早期警戒管制機をE-767として導入しているし、現在は、高コストの代名詞のようなF-22の導入を目指して防衛省は様々な模索を続けている。もちろん、今日となっては絵空事にすぎないが、もし、F-14Dの生産基盤が今日に残されていれば、F-22の代案として、AESA(電子走査アレイ)方式のレーダーを搭載し、火器管制装置を向上させた最新鋭の“F-14J”が日本に売り込まれていたかもしれない。低空での機動性に優れるF-14であれば、例えば有視界戦闘の訓練ではF-22に対抗することも一応可能である。そういった評価を受けられる素養を備えつつも、冷戦終結の混乱と共に生産が終了したF-14は、かわいそうなねこ、ともいえよう。

HARUNA

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コメント (4)
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