◆豪州山火事災害へCH-47を派遣する提案
オーストラリア(以下豪州)南部のビクトリア州で一月に発生した山林火災は、既に東京都の二倍にあたる面積を焼き尽くし、200名近い犠牲者が確認されているとのこと。すでに日本の外務省渡航情報でも情報が記載されている。
豪州の山火事対処に自衛隊の大型ヘリを派遣してはどうか、というのが本日のお話。豪州は、長期間特に南部や中部地域での干ばつが続き、長期間続けられた植林による環境変化などにより干ばつが終息に向かう見通しが無い。こうした中で枯死し乾燥した植物に火が付き、火勢は急速に拡散している。豪州には、防災無線などのシステムが整備されていないため避難などは個々人の判断に一任され、避難の遅れにつながったという指摘もあるようだ。火災は、メルボルン郊外のキングレイクなど十か所で発生し2月7日までに死者14名、家屋100棟以上を焼き尽くすという大規模なものとなっていたが、その後、更に拡大しており、シドニーにも煙が達しているとのこと。
現在、消火活動には3000名以上の消防士に加え、豪州軍も出動しているとのことだが火勢は沈静化には向かっていない。ここで思うのは、陸上自衛隊や航空自衛隊の運用するCH-47Jなどの大型ヘリコプターを消火支援に派遣できないか、ということ。折からの熱波により、ビクトリア州の最高気温は47度に達しており、これにより乾燥した地域で新たな火勢が生じるという状況になっている。
豪州軍は、周辺に仮想敵国がいないというその地政学上の特性から、陸海空軍の合計人員で53000名と、陸上自衛隊の三分の一強という程度の人員しかおらず、今のところ、国内での災害派遣などの対応の必要性が生じていないという背景のもとで、自衛隊のヘリコプターを豪州へ派遣する意義はあるかもしれない。
また、豪州に大型ヘリコプターを派遣するということは、捕鯨問題や反捕鯨団体による海上での破壊活動への対応などで温度差の生じた、両国間の政治的良好関係の継続にも大きな意義があり、加えて、陸上自衛隊に50機程度、航空自衛隊に15機程度の大型ヘリコプターが配備されている日本には、一応、その余力はある。災害派遣というかたちで、国際緊急人道支援隊としてCH-47を派遣するという方式は、様々な視点から意義があるように思う次第だ。
HARUNA
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