◆生産継続
C-17輸送機について、生産終了か、継続かという話題が出ていたが、動きがあったので掲載したい。
アメリカ国防総省は、空軍用の戦域間輸送機としてC-17輸送機15機を29億ドルで発注したとのこと。ただし、いかなる場合も29億5000万ドル以上の支出とならない前提で行われる。1機あたり2億ドルを切るというのは一種驚きであるが、同時にC-17輸送機は生産終了か継続の瀬戸際にあったため、今回の発注によりC-17輸送機の生産ラインは維持されることとなる。
C-17輸送機は、大陸間の輸送にも用いられる戦略輸送機と、戦略輸送機により蓄積された物資を第一線に届けることができる戦術輸送機の中間を担う輸送機で、戦域間の輸送、つまり米本土から最前線までを直接輸送できる便利な機体であるが、コスト的に弱点があり、充分な数がそろわないまま生産終了か継続かが議論されていた。
F-22戦闘機も、F-15の後継機としての十分な数が確保されないままコスト的な理由から生産終了が危惧されていたが、雇用確保の観点から生産を継続しよう、という案と、その分に予算を回されることで縮小するであろうF-35との均衡をとろうとする試みが続けられている。生産を終了すると、再生産には大きな費用がかかり、生産設備の維持を行うにも大きなコストを要する。
他方で、今回の生産継続により、防衛省にはF-22の次期戦闘機としての採用の可能性が継続される、という見方があるようだが、同時に難航する次期輸送機C-Xの代案にC-17輸送機が提案される可能性も生じてくる。ちなみに、初度調達品や整備器具、施設などを含めると、C-17は上記の費用で導入できるわけではないということは一応記載。
HARUNA
[本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる]