◆28機を調達予定
アメリカ合衆国大統領専用ヘリコプター“マリーンワン”は老朽化が進んでおり後継機を選定した結果、海上自衛隊も採用しているEH-101シリーズをVH-71として制式化した。
写真は海上自衛隊で運用されているMCH-101掃海輸送ヘリコプター。基本的にVH-71と同型の機体である。これまで、アメリカのマリーンワンは、シコルスキー社製のヘリコプター、つまり米国機を採用してきたが、アスグタウェストランド社製のEH-101を、ロッキード・マーティンが生産する機体を採用することとなった。現在、5機が試験飛行を重ねており、加えて23機が生産、空飛ぶ執務室として期待されている。
マリーンワンは、28機の調達が見込まれているものの、現在、アメリカはオバマ政権が財政再建中であり、28機の新型ヘリコプターを導入することへの是非が議論されている。大統領専用ヘリとなれば、核攻撃による放射線(さすがに衝撃波の直撃を受ければ飛行継続は不可能のようだ)、生物化学兵器に対する防御力が求められており、改修を行った結果、28機の導入は当初見積もりを大きく超えて、100億ドルに達する、とみられている。
他方で、VH-71として制式化されたEH-101は、今後、アメリカ四軍においても派生型が採用される可能性が生まれている訳で、現行のS-70シリーズ(UH-60シリーズ)の後継機としても注目されるかもしれない。S-70シリーズは高性能なヘリコプターであるが、輸送機への搭載を念頭に機体の大きさを極限までコンパクトにしたため、使い難いという声が上がっているためだ。この点、自衛隊機の選定にも影響が出るだろうから、今後もその動向に注視したい。
HARUNA
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