◆晴天成れど強風、しかし部隊は大空に
平成24年第一空挺団降下訓練始めを撮影に、習志野へ行ってまいりました。
日曜に行われた第一空挺団降下訓練始めは、生憎の強風が吹き、この風では降下訓練は大丈夫なのか、という不安がありました。戦時であれば降下した直後に落下傘を離脱させれば大丈夫ですが、訓練でこれを行うと落下傘が狭い習志野訓練場を出て住宅街、そうでなくとも防衛大臣の視察席に到達する可能性があるのです。
しかし杞憂でした。第一空挺団は強風下でも降下訓練を行います、空挺隊員の技術と技量、これを気象条件と共に指揮官が慎重に判断しての結論。落下傘が接地したら、即座に片方の離脱具を引いて落下傘を平らにすることが強風に引き摺られない技術ですが、技術を反射神経に挙げるほど会得は簡単ではない模様でした。
空挺隊員、降下後に班ごとに集合。ご覧ください、89式小銃にはダットサイトが取り付けられていますが、MINIMI機銃にも照準眼鏡が取り付けられています。火力が少ないからこそ、弾薬は確実に命中させなければならない、そういう意味でしょうか。背負う背嚢が装備のすべて、増強火力はヘリから投下されましたが、風でかなり流されていた模様、難しい。
習志野訓練場の一般開放区画は高台から開けた演習区域を俯瞰で収めるため、撮影位置によっては支援に展開するヘリコプターの機動がよく見えます。狭い場所で行われる駐屯地祭の模擬戦よりは自由に飛行できますし、実弾を使用しないので最大限の展示が行えますから、迫力は一言凄い、に尽きます。
降下部隊に敵装甲車が迫る!、なんと装甲車は96式装輪装甲車2型でしかも増加装甲が取り付けられている、降下部隊の一名が06式小銃てき弾を装着した89式小銃で応戦しようとしているところが映り込んでいます。対戦車用に使える、ということなのですけれども、照準が難しいという小銃てき弾、命中するのでしょうかね。
仮設敵の89しい装甲戦闘車に対して87式対戦車誘導弾が構えられる。空挺部隊は降着してから戦闘加入まで一定の時間を要するので、その分同時に多数を空輸しなければならない、そのためには輸送機が足りない、というのは、まあ、予想がつきますね。対戦車ミサイルが足止めを図る、が最低射程距離内に入ってしまっているのではないか、と思いつつ、こういう場合では84㍉無反動砲がものをいうのでしょうね。
弾着の再現はなかなかの規模でして破裂音がそこここに響きます、こうして戦闘により負傷者が発生、二機のUH-1に支援されつつ救急ヘリコプターとして展開したUH-1に収容されました。このUH-1も強風でかなり煽られている様子があり、機甲部隊に比べて空中機動部隊はどうしても気象の影響を受けてしまうのか、という一幕も。
仮設敵の74式戦車。ところで、この後ろのあたりの安全柵沿いに見学している方々が多数、入間基地航空祭や明野駐屯地祭を思い出す風景ですが、この柵のあたりから撮影すれば、仮設敵側からの視界が得られますから、対空挺演習的な風景で空挺部隊に対抗する機械化部隊、という情景がみられるのかな、と。金曜日あたりに行うという予行をここから見たら面白いかもしれません。
敵戦車部隊の攻撃もAH-64D戦闘ヘリコプターにより撃退されました。機体は霞ケ浦の航空学校所属、数が揃えば戦域情報管理に物凄い力を発揮するAH-64Dなのですが、数が揃えられずやはり思った通り、危惧した通り調達中断の可能性が濃厚に、一個飛行隊所要12機なのだから、教育所要と出来ればの中央即応集団と12旅団所要を含めても78機で足りるのですが、ね。
EC-225要人輸送ヘリコプター、AS-332は何度か撮ったのですが、この機体を真面目に撮れたのは今回が初めてかもしれません。個人的には25名を同時空輸可能な本機は、UH-1JやUH-60JAよりも方面航空隊の多用途ヘリコプターとして向いているのでは、とおもったりする機体です。速報というよりは、思いついたままの選んだ写真を掲載しましたが、こういうように晴天には恵まれ、撮影することが出来ました。
北大路機関:はるな
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