■■■防衛フォーラム■■■
今回は陸軍関係の11論点を集めてみましたが偵察用装甲車の話題やミサイル共同生産など我が国防衛には参考となる点があるようです。

ブラジル陸軍はレオパルド1主力戦車の後継としてチェンタウロ2戦車駆逐車を選定しました。ブラジル陸軍は広大な国土を防衛するべく従来の戦車の後継として装輪装甲車である装甲機動砲の導入を計画しており、各国の戦車駆逐車を選定、今回採用されたイタリアのほかにアメリカと中国から装備が提供され、その評価試験を実施していました。

アメリカのジェネラルダイナミクスランドシステムズ社からはLAV-700AG装甲機動砲、そして中国のノリンコ社からはノリンコST-1-AB戦車駆逐車あ提示されており、評価試験ではチェンタウロ2が首位、続いてLAV-700AGが次点であり、その後にノリンコST-1-ABという評価となりました。チェンタウロは特に不整地突破能力が評価されているとのこと。

チェンタウロ2は装輪戦車という名称で知られたチェンタウロ1戦車駆逐車の派生型であり車体を大型化させたフレシア装輪装甲戦闘車をもとに、105mm砲を搭載していたチェンタウロ1の拡大型として120mm砲を搭載したもので、ブラジル陸軍では当面98両を調達する方針ですが、オプション契約として最大201両まで追加調達も検討されています。
■チェンタウロ2
ブラジル陸軍はイヴェコ製装甲車のライセンス生産などイタリア設計の装甲車をかなり採用しているのですよね。

ブラジル司法はブラジル陸軍のチェンタウロ戦車駆逐車導入に対し計画停止を命じました。陸軍は旧式化したEE-9装甲偵察車の後継としてチェンタウロ2戦車駆逐車98両を9億4600万ドルにて取得する方針を示し、当初は12月初旬にもイタリアのイヴェコ社とのあいだで正式契約を予定していましたが、市民運動により提訴されたかたちです。

連邦地方裁判所では公共サービスの低下が進む中で今回の決定はブラジル陸軍装甲車の5%を置き換えるだけのものであり切迫性は低いと判断しました。しかしブラジル陸軍はチェンタウロが置き換えるのは偵察装甲車の25%であると反論しています。一方で現在このEE-9は偵察装甲車から歩兵火力支援装甲車へ改良が進められているさなかでもあります。
■LANIUS徘徊弾薬
AI自動管制は行わないそうですが大きさを見るとこれを一発一発操作するというのは逆に不自然にも。

イスラエルのエルビットシステムズ社は対人用徘徊式弾薬LANIUSを発表しました。これは小型クワッドドローンを用いたもので、従来の徘徊式弾薬は比較的高い高度を巡回飛行、つまり徘徊して戦車や地対空ミサイルなどの弾薬をさがし続け、発見すると攻撃するのですが、LANIUSは遙かに低い人間の視線にちかい高度を徘徊する能力を持つとのこと。

LANIUSは徘徊飛行時間7分と短いものの72km/hで飛翔し重量は1.25kgとしており炸薬は150g、徘徊する手榴弾といった印象の装備です。AI識別能力を付与した場合は多数同時運用することで無差別攻撃対人兵器として運用される危惧はありますが、エルビットシステムズ社によれば、対人攻撃はオペレータの直接命令により行うと発表されています。
■PARS-Ⅳ-S-Ops
日本でいえば96式装輪装甲車を特殊作戦支援に使うようなものですがリビア介入などアフリカ地域での作戦が増えているトルコには必要な装備なのかもしれません。

トルコ陸軍はFNSS社により国産開発されたPARS-Ⅳ-S-Ops特殊作戦装甲車を受領しました。この装輪装甲車は特殊部隊の長距離偵察任務支援用に開発されていますが歩兵部隊でも十分運用に耐える六輪式の装輪装甲車です。車体は全長6.6mで戦闘重量は16.1tで増加装甲可能、全幅は2.7m、キャタピラー社製500hpディーゼルエンジンを搭載しています。

PARS-Ⅳ-Opsは最高速度100km/hで10km/hの水上浮航性能も有していて、特筆すべきは歩兵部隊用のPARS装甲車と比較し特殊部隊仕様のOpsは車体上部がオープントップ構造とした上で装甲天蓋構造を採用、様々な物量の搭載などに対応しています、他方PARSシリーズは25mm機関砲塔が搭載可能ですが、Ops型はRWS遠隔操作銃塔のみ搭載可能だ。
■ペトリオット共同生産
ペトリオットと云えば先日ウクライナに供与されたものがキエフ防空任務でロシアの極超音速ミサイルキンジャールを撃墜して話題になりました。

ドイツのMBDAドイッチュランド社はペトリオットミサイルの共同生産を計画しています、これはアメリカのレイセオン社が生産し供給しているペトリオットミサイルについて、現在のロシア軍ウクライナ侵攻という状況に際して充分なミサイル備蓄を行うにはレイセオン社だけの生産が限界となっている現状を受けての量産強化措置とされるもの。

ペトリオットミサイルはドイツ連邦軍にも配備されており、当面は2048年までの運用サポート計画をたてています。なおMBDAドイッチュラント社はレイセオン社のドイツにおける提携企業という位置づけであり、関連資材整備ですでに協力関係にあります。今回共同生産が計画されているのはGEN-Tペトリオット誘導強化型ミサイルが挙げられています。
■ATLTHボラン
ここまでトルコの話題が続きますとトルコ特集として別枠で紹介した方が良かったのでしょうかね。

トルコ陸軍は最新のATLTHボラン超軽量榴弾砲の受領を開始しました。MKEエンジニア社が開発した新世代の榴弾砲で口径は105mm、輸送機はもちろんヘリコプターでの空輸を念頭としており、105mm榴弾砲でありながら重量は1.72tでしかありません。砲身は30口径、新技術のU字型可変反動制御システムと砲口制退器により反動を相殺するという。

ATLTHボラン超軽量榴弾砲は射程17km、これは155mm超軽量榴弾砲としてイギリスが供給しているM-777の30kmよりは大幅に短いものの、榴弾砲に匹敵する大火力として世界で運用されているフランスの120RT重迫撃砲の射程13kmを凌駕しています。今回トルコ軍に納入されたのは7門で空挺部隊や特殊部隊が空挺作戦や浸透作戦などに活用します。
■ミストラルミサイル
陸上自衛隊の93式近距離地対空誘導弾システムも需要はあるのかもしれない。

クロアチア軍はフランスとの間でミストラル軽地対空ミサイルの導入を決定しました。この導入計画は7200万ユーロ、当時のレートでは7584万ドル規模の調達計画となります。この導入の背景には2022年3月、ツポレフTu-141無人偵察機がクロアチアへ領空侵犯し、首都ザグレブ市内に墜落した際、クロアチア軍防空能力の問題が認識されたためとされる。

ミストラル軽地対空ミサイルはいわゆる携帯地対空ミサイルに区分されますが発射架を用い運用するとともに、中型トラックなどに搭載し管制装置とともに運用するミストラルATLAS-RC近距離防空システム、中型トラックに連装発射装置を搭載するミストラルATLASなどの派生型が開発されており、地上のほか小型艦艇などでも運用されています。
■スカイネックス
自衛隊のドローン対策っていうのは最良案を突き詰めて考えると87式自走高射機関砲の改良型砲塔を生産して16式機動戦闘車の車体に載せる事ではないかと思う。

ドイツのラインメタル社はスカイネックス防空システムの1億8200万ユーロ規模の国際契約を発表しました。国際契約について、どの国へ輸出するかは明言されていませんが、二カ国に対して輸出されることとなっています。スカイネックス防空システムは独立式の機関砲防空システムであり、スイスエリコン社のL-90高射機関砲の流れにあります。

スカイネックスは35mm機関砲とAHEAD自己鍛造弾からなる防空システムであり、従来のL-90機関砲では焼夷徹甲弾と敏感な弾底信管を組み合わせることで航空目標に対応していましたが、AHEAD弾薬は発射の時点で時限信管を用い、目標へ硬質タングステン弾片を調整散布するというもので、ウクライナでは無人機や巡航ミサイルに威力を発揮した。

HXトラック、今回スカイネックスとともに1200万ユーロ規模のHXトラックの契約も結ばれており、ラインメタル社ではトラック車載式で火器管制装置を含めた自己完結型の自走高射機関砲として整備されることとなるようです。射程は4000mで3000mの高度まで対応、この高度は沿空域を飛行する無人機を無力化する上で重要な防空能力となります。
■APKWS精密誘導弾
このミサイルをAH-1Sに搭載したならばどうだったろうか。

イギリスのBAEシステムズ社はAPKWS精密誘導ロケット弾の小型ドローンへの有効性に関して実証実験を実施しました。APKWS精密誘導ロケットは戦闘ヘリコプターから観測ヘリコプターに多用途ヘリコプターまで幅広く統裁されている70mm口径のハイドラ70ロケット弾に装着しミサイル化する簡易ミサイルキットであり、安価という点が有名です。

APKWS精密誘導ロケット弾による小型ドローンへの攻撃実験は標的としてクラス2ドローン、12kgから25kg程度の小型ドローンが180km/hで高速飛行する状況で実施し命中させています。安価なドローンは簡単に撃墜できるものの、迎撃手段の費用対効果の悪さが問題視されており、APKWSは従来の地対空ミサイルより遥かに安価に取得が出来ます。

ハイドラ70ロケット弾は自衛隊でもAH-1S対戦車ヘリコプター等に搭載され、地域制圧から観測ヘリコプターによる攻撃ヘリコプターへの目標指示など多用途に用いられる装備です。しかし近年は破壊力よりも命中精度を求める非戦闘員への不随被害局限という要求があり、他方推進装置などの信頼性の高さから新しい運用が模索されているところでした。
■MGS装輪自走砲
インド軍の想定戦場は北方の中印国境やパキスタンとの山間部なのだけれども39口径砲の方が使いやすくないのかと思う。

インド国防省は52口径砲を搭載したMGS装輪自走砲の評価試験を開始しました。インド陸軍は近年、韓国からのK-9自走榴弾砲を大量装備するとともに独自の装輪自走砲を開発しており、山間部での運用を想定した四輪トラック派生型の39口径155mm榴弾砲搭載型などを開発しています、しかし今回開発されたMGS装輪自走砲はそれより遙かに大きい。

バラットアースモバースリミテッド社が開発した自訴榴弾砲は大型の八輪車体に52口径155mm榴弾砲と砲員及び弾薬などを搭載しています、この車体部分は装甲車体構造を採用する計画で、試作車は普通鋼板を採用しているものの量産車両では防弾鋼板と複合材により乗員を防護する計画とされています、そして平野部とともに山間部での運用を目指す。

MGS装輪自走砲の主砲は射程48kmを期しているほか、効力射3発を30秒で射撃し、3分間の射撃では12発を射撃するといい、車体はチェコのタトラ社製で80km/hの機動力を発揮するとのこと。全備重量は30tでこのうち砲架部分の重量は15t、車体弾庫には24発の砲弾を収容する。インド軍ではまたシャクティ砲兵データリンクシステムを開発中です。
■アルマⅡ装輪装甲車
トルコは通常サイズの装輪装甲車を特殊作戦用として長距離スカウト任務に投入している装輪装甲車天国です。

トルコのオトカ社は新型のアルマⅡ大型装輪装甲車を発表しました、オトカ社自身は装甲車と発表しているのですが、特筆すべきはその車体が装輪装甲車ながら40tもある、ということでしょう。もちろん標準重量が40tというわけではありません、増加装甲により40tまでの戦闘重量に耐える、ということなのですが、それでも非常に大型の装甲車となる。

アルマⅡ大型装輪装甲車は八輪式の装輪装甲車で、車体には720hpという、第二世代戦車並みの強力なエンジンを搭載しています。そしてモジュールシステムに採用により様々な武装搭載に対応しているとのことで、120mm砲の搭載も可能としています。大型の車体は大量の輸送能力と、そして装輪装甲車としては高い防御力の付与をしめしています。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
今回は陸軍関係の11論点を集めてみましたが偵察用装甲車の話題やミサイル共同生産など我が国防衛には参考となる点があるようです。

ブラジル陸軍はレオパルド1主力戦車の後継としてチェンタウロ2戦車駆逐車を選定しました。ブラジル陸軍は広大な国土を防衛するべく従来の戦車の後継として装輪装甲車である装甲機動砲の導入を計画しており、各国の戦車駆逐車を選定、今回採用されたイタリアのほかにアメリカと中国から装備が提供され、その評価試験を実施していました。

アメリカのジェネラルダイナミクスランドシステムズ社からはLAV-700AG装甲機動砲、そして中国のノリンコ社からはノリンコST-1-AB戦車駆逐車あ提示されており、評価試験ではチェンタウロ2が首位、続いてLAV-700AGが次点であり、その後にノリンコST-1-ABという評価となりました。チェンタウロは特に不整地突破能力が評価されているとのこと。

チェンタウロ2は装輪戦車という名称で知られたチェンタウロ1戦車駆逐車の派生型であり車体を大型化させたフレシア装輪装甲戦闘車をもとに、105mm砲を搭載していたチェンタウロ1の拡大型として120mm砲を搭載したもので、ブラジル陸軍では当面98両を調達する方針ですが、オプション契約として最大201両まで追加調達も検討されています。
■チェンタウロ2
ブラジル陸軍はイヴェコ製装甲車のライセンス生産などイタリア設計の装甲車をかなり採用しているのですよね。

ブラジル司法はブラジル陸軍のチェンタウロ戦車駆逐車導入に対し計画停止を命じました。陸軍は旧式化したEE-9装甲偵察車の後継としてチェンタウロ2戦車駆逐車98両を9億4600万ドルにて取得する方針を示し、当初は12月初旬にもイタリアのイヴェコ社とのあいだで正式契約を予定していましたが、市民運動により提訴されたかたちです。

連邦地方裁判所では公共サービスの低下が進む中で今回の決定はブラジル陸軍装甲車の5%を置き換えるだけのものであり切迫性は低いと判断しました。しかしブラジル陸軍はチェンタウロが置き換えるのは偵察装甲車の25%であると反論しています。一方で現在このEE-9は偵察装甲車から歩兵火力支援装甲車へ改良が進められているさなかでもあります。
■LANIUS徘徊弾薬
AI自動管制は行わないそうですが大きさを見るとこれを一発一発操作するというのは逆に不自然にも。

イスラエルのエルビットシステムズ社は対人用徘徊式弾薬LANIUSを発表しました。これは小型クワッドドローンを用いたもので、従来の徘徊式弾薬は比較的高い高度を巡回飛行、つまり徘徊して戦車や地対空ミサイルなどの弾薬をさがし続け、発見すると攻撃するのですが、LANIUSは遙かに低い人間の視線にちかい高度を徘徊する能力を持つとのこと。

LANIUSは徘徊飛行時間7分と短いものの72km/hで飛翔し重量は1.25kgとしており炸薬は150g、徘徊する手榴弾といった印象の装備です。AI識別能力を付与した場合は多数同時運用することで無差別攻撃対人兵器として運用される危惧はありますが、エルビットシステムズ社によれば、対人攻撃はオペレータの直接命令により行うと発表されています。
■PARS-Ⅳ-S-Ops
日本でいえば96式装輪装甲車を特殊作戦支援に使うようなものですがリビア介入などアフリカ地域での作戦が増えているトルコには必要な装備なのかもしれません。

トルコ陸軍はFNSS社により国産開発されたPARS-Ⅳ-S-Ops特殊作戦装甲車を受領しました。この装輪装甲車は特殊部隊の長距離偵察任務支援用に開発されていますが歩兵部隊でも十分運用に耐える六輪式の装輪装甲車です。車体は全長6.6mで戦闘重量は16.1tで増加装甲可能、全幅は2.7m、キャタピラー社製500hpディーゼルエンジンを搭載しています。

PARS-Ⅳ-Opsは最高速度100km/hで10km/hの水上浮航性能も有していて、特筆すべきは歩兵部隊用のPARS装甲車と比較し特殊部隊仕様のOpsは車体上部がオープントップ構造とした上で装甲天蓋構造を採用、様々な物量の搭載などに対応しています、他方PARSシリーズは25mm機関砲塔が搭載可能ですが、Ops型はRWS遠隔操作銃塔のみ搭載可能だ。
■ペトリオット共同生産
ペトリオットと云えば先日ウクライナに供与されたものがキエフ防空任務でロシアの極超音速ミサイルキンジャールを撃墜して話題になりました。

ドイツのMBDAドイッチュランド社はペトリオットミサイルの共同生産を計画しています、これはアメリカのレイセオン社が生産し供給しているペトリオットミサイルについて、現在のロシア軍ウクライナ侵攻という状況に際して充分なミサイル備蓄を行うにはレイセオン社だけの生産が限界となっている現状を受けての量産強化措置とされるもの。

ペトリオットミサイルはドイツ連邦軍にも配備されており、当面は2048年までの運用サポート計画をたてています。なおMBDAドイッチュラント社はレイセオン社のドイツにおける提携企業という位置づけであり、関連資材整備ですでに協力関係にあります。今回共同生産が計画されているのはGEN-Tペトリオット誘導強化型ミサイルが挙げられています。
■ATLTHボラン
ここまでトルコの話題が続きますとトルコ特集として別枠で紹介した方が良かったのでしょうかね。

トルコ陸軍は最新のATLTHボラン超軽量榴弾砲の受領を開始しました。MKEエンジニア社が開発した新世代の榴弾砲で口径は105mm、輸送機はもちろんヘリコプターでの空輸を念頭としており、105mm榴弾砲でありながら重量は1.72tでしかありません。砲身は30口径、新技術のU字型可変反動制御システムと砲口制退器により反動を相殺するという。

ATLTHボラン超軽量榴弾砲は射程17km、これは155mm超軽量榴弾砲としてイギリスが供給しているM-777の30kmよりは大幅に短いものの、榴弾砲に匹敵する大火力として世界で運用されているフランスの120RT重迫撃砲の射程13kmを凌駕しています。今回トルコ軍に納入されたのは7門で空挺部隊や特殊部隊が空挺作戦や浸透作戦などに活用します。
■ミストラルミサイル
陸上自衛隊の93式近距離地対空誘導弾システムも需要はあるのかもしれない。

クロアチア軍はフランスとの間でミストラル軽地対空ミサイルの導入を決定しました。この導入計画は7200万ユーロ、当時のレートでは7584万ドル規模の調達計画となります。この導入の背景には2022年3月、ツポレフTu-141無人偵察機がクロアチアへ領空侵犯し、首都ザグレブ市内に墜落した際、クロアチア軍防空能力の問題が認識されたためとされる。

ミストラル軽地対空ミサイルはいわゆる携帯地対空ミサイルに区分されますが発射架を用い運用するとともに、中型トラックなどに搭載し管制装置とともに運用するミストラルATLAS-RC近距離防空システム、中型トラックに連装発射装置を搭載するミストラルATLASなどの派生型が開発されており、地上のほか小型艦艇などでも運用されています。
■スカイネックス
自衛隊のドローン対策っていうのは最良案を突き詰めて考えると87式自走高射機関砲の改良型砲塔を生産して16式機動戦闘車の車体に載せる事ではないかと思う。

ドイツのラインメタル社はスカイネックス防空システムの1億8200万ユーロ規模の国際契約を発表しました。国際契約について、どの国へ輸出するかは明言されていませんが、二カ国に対して輸出されることとなっています。スカイネックス防空システムは独立式の機関砲防空システムであり、スイスエリコン社のL-90高射機関砲の流れにあります。

スカイネックスは35mm機関砲とAHEAD自己鍛造弾からなる防空システムであり、従来のL-90機関砲では焼夷徹甲弾と敏感な弾底信管を組み合わせることで航空目標に対応していましたが、AHEAD弾薬は発射の時点で時限信管を用い、目標へ硬質タングステン弾片を調整散布するというもので、ウクライナでは無人機や巡航ミサイルに威力を発揮した。

HXトラック、今回スカイネックスとともに1200万ユーロ規模のHXトラックの契約も結ばれており、ラインメタル社ではトラック車載式で火器管制装置を含めた自己完結型の自走高射機関砲として整備されることとなるようです。射程は4000mで3000mの高度まで対応、この高度は沿空域を飛行する無人機を無力化する上で重要な防空能力となります。
■APKWS精密誘導弾
このミサイルをAH-1Sに搭載したならばどうだったろうか。

イギリスのBAEシステムズ社はAPKWS精密誘導ロケット弾の小型ドローンへの有効性に関して実証実験を実施しました。APKWS精密誘導ロケットは戦闘ヘリコプターから観測ヘリコプターに多用途ヘリコプターまで幅広く統裁されている70mm口径のハイドラ70ロケット弾に装着しミサイル化する簡易ミサイルキットであり、安価という点が有名です。

APKWS精密誘導ロケット弾による小型ドローンへの攻撃実験は標的としてクラス2ドローン、12kgから25kg程度の小型ドローンが180km/hで高速飛行する状況で実施し命中させています。安価なドローンは簡単に撃墜できるものの、迎撃手段の費用対効果の悪さが問題視されており、APKWSは従来の地対空ミサイルより遥かに安価に取得が出来ます。

ハイドラ70ロケット弾は自衛隊でもAH-1S対戦車ヘリコプター等に搭載され、地域制圧から観測ヘリコプターによる攻撃ヘリコプターへの目標指示など多用途に用いられる装備です。しかし近年は破壊力よりも命中精度を求める非戦闘員への不随被害局限という要求があり、他方推進装置などの信頼性の高さから新しい運用が模索されているところでした。
■MGS装輪自走砲
インド軍の想定戦場は北方の中印国境やパキスタンとの山間部なのだけれども39口径砲の方が使いやすくないのかと思う。

インド国防省は52口径砲を搭載したMGS装輪自走砲の評価試験を開始しました。インド陸軍は近年、韓国からのK-9自走榴弾砲を大量装備するとともに独自の装輪自走砲を開発しており、山間部での運用を想定した四輪トラック派生型の39口径155mm榴弾砲搭載型などを開発しています、しかし今回開発されたMGS装輪自走砲はそれより遙かに大きい。

バラットアースモバースリミテッド社が開発した自訴榴弾砲は大型の八輪車体に52口径155mm榴弾砲と砲員及び弾薬などを搭載しています、この車体部分は装甲車体構造を採用する計画で、試作車は普通鋼板を採用しているものの量産車両では防弾鋼板と複合材により乗員を防護する計画とされています、そして平野部とともに山間部での運用を目指す。

MGS装輪自走砲の主砲は射程48kmを期しているほか、効力射3発を30秒で射撃し、3分間の射撃では12発を射撃するといい、車体はチェコのタトラ社製で80km/hの機動力を発揮するとのこと。全備重量は30tでこのうち砲架部分の重量は15t、車体弾庫には24発の砲弾を収容する。インド軍ではまたシャクティ砲兵データリンクシステムを開発中です。
■アルマⅡ装輪装甲車
トルコは通常サイズの装輪装甲車を特殊作戦用として長距離スカウト任務に投入している装輪装甲車天国です。

トルコのオトカ社は新型のアルマⅡ大型装輪装甲車を発表しました、オトカ社自身は装甲車と発表しているのですが、特筆すべきはその車体が装輪装甲車ながら40tもある、ということでしょう。もちろん標準重量が40tというわけではありません、増加装甲により40tまでの戦闘重量に耐える、ということなのですが、それでも非常に大型の装甲車となる。

アルマⅡ大型装輪装甲車は八輪式の装輪装甲車で、車体には720hpという、第二世代戦車並みの強力なエンジンを搭載しています。そしてモジュールシステムに採用により様々な武装搭載に対応しているとのことで、120mm砲の搭載も可能としています。大型の車体は大量の輸送能力と、そして装輪装甲車としては高い防御力の付与をしめしています。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)