北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【G3X撮影速報】横須賀軍港めぐり2023秋(2)最後の輸送艇-輸送艇1号型輸送艇2号入港(2023-09-29)

2023-10-19 20:14:21 | 陸海空自衛隊関連行事詳報
■自衛隊最後の輸送艇
 最後の一隻というと寂しい表現ですけれども偶然その動く姿と出会いますとなんとも良い日だなあと実感するのです。

 軍港めぐり遊覧船、毎日乗船しているならばそれらしい発見もあるのでしょうけれども、遠い横須賀まで進出しまして、さてどの時間の遊覧船に乗船できるだろうか、と思ったうえでチケットを購入しまして思わぬ珍しい光景と出会いますと、ちょっとうれしい。

 輸送艇1号型入港は、そんな貴重なひと時との出会い、というべきでしょうか。輸送艇1号型は一番艇輸送艇1号が退役していますので、この輸送艇2号が最後の一隻となる、そして地方隊に配備される業務輸送用の輸送艦も全て廃止されていて、ほんとうに貴重な。

 艦首乗降扉、輸送艇1号型は揚陸に際して海岸に擱座させ艦首乗降扉を開き海岸線に直接装備品を揚陸させるもの、揚陸作業が終了しましたらば推進器を後進一杯にしつつ予め投錨してあった錨をウインチで引き離岸するという結構力業の離脱手順をもちいる。

 陸上自衛隊は今後この種の輸送船調達を本格化させる、現在海上自衛隊第一述科学校などに陸上自衛隊輸送科の要員を派遣し、船舶要員の養成を進めており、既に練習船などでの訓練段階は終了し、輸送艦おおすみ型などでの操艦訓練などが進められています。

 島嶼部防衛、本格的な上陸作戦ではなく、事態が緊迫化する前に部隊を事前集積させる手段として陸上自衛隊は船舶輸送の必要性を認識、その整備を進めているところ。また来年度予算概算要求に輸送船の予算が盛り込まれ、ラニーミード級や1号型のイメージ図が。

 輸送艇2号は佐世保重工業佐世保造船所において建造されたもので、平成2年度計画輸送艇2002号艇として1992年に就役しました。ほんとうに小型の、基準排水量420tで満載排水量は540t、全長52mと全幅は8.7mというまさに掃海艇くらいの輸送艇という。

 業務輸送と作戦輸送、海上自衛隊では両用作戦艦艇をこのように任務ごとに分けていまして、輸送艇1号型は業務輸送を想定したものとなっています。人員200名か物資25tを搭載できるといい、03式中距離地対空誘導弾などを揚陸させた訓練の実績があります。

 乗員は30名、この種の艦艇としては比較的多く、これは小笠原諸島などへの一定日数の航海を想定したローテーションを組めるようになっています。対して、よく比較されるのが横須賀からほど近い横浜にアメリカ陸軍が置くラニーミード級汎用揚陸艇というもの。

 ラニーミード級汎用揚陸艇は基準排水量620tで満載排水量1102t、乗員は13名となっています。そしてM-1戦車3両などかなりの重貨物を搭載できるというものですが、外洋航行を想定しておらず、港湾から港湾、または車両輸送船から埠頭や揚陸艦までを運ぶ。

 輸送艇2号は、業務輸送として、特に横須賀地方隊管区には管内に南鳥島基地や父島基地に硫黄島基地など、遠隔地の基地があり、中でも南鳥島基地は重要な飛行場施設があるとともに横須賀基地からの距離が1800㎞と長大、そのための十分な航続距離を有します。

 20mm機関砲、業務輸送を任務とする輸送艦ですがそこは列記とした自衛艦旗を掲げる艦艇、JM-61機関砲を艦橋構造物上部に備えていまして、不心得ものが襲撃した場合には処罰する一定の戦闘能力を有しています。本来この種の艦艇はもっと必要なのですが。

 軍港めぐり遊覧船、ちょうど輸送艇2号が帰港するところを偶然遊覧船が吉倉地区から船越地区へ向かうところを撮影する事が出来ましたので、右舷と左舷と正面と、一通り撮影できました。こういう情景にめぐり合わせる故、横須賀軍港めぐり遊覧船はたのしい。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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ウクライナ情勢-東部戦線ロシア軍クピャンスクでの再侵攻とウクライナ軍海兵隊のドニエプル川渡河作戦

2023-10-19 07:00:44 | 防衛・安全保障
■防衛情報-ウクライナ戦争
 東部戦線北部にはNATOの供与したレオパルド2などの装備優先度が高くない点が戦況に反映しているのでしょう。戦車の防衛への重要性を端的に示している。

 ロシア軍はクピャンスク地区においてウクライナ領内へ再侵攻を開始した、ISWアメリカ戦争研究所10月17日付戦況分析において概況が示されました。この攻撃は東部戦線北部のクピャンスクとスヴァトフ及びクレミンナを結ぶ線においてこの数週間断続的に攻撃を試みていたもので、17日にロシア側が発表した映像に前進を開始した景況が。

 クピャンスク南東20㎞にあるイヴァニフカ方面へロシア軍は前進を開始したもよう。ただ、ウクライナ軍参謀本部はこの攻撃について、シンキフカ、イヴァニフカ、キスリフカ、ステルマキフカ、ナディヤ、以上五地点においてロシア軍が攻撃を開始したものの失敗したと発表しています。そしてロシア軍が越冬に有利な地形を求めていると分析します。

 ISWアメリカ戦争研究所はこの概況について、東部戦線北方での行動を陽動であるか、新しい攻撃軸の設定であるかは検証中としているものの、ウクライナ軍参謀本部の分析に対して、クピャンスク地区においてロシア軍は一定の前進を開始している可能性に留意している模様です。一方のウクライナ軍はバフムトへの陽動という視点を維持している。
■防衛情報-ウクライナ戦争
 ウクライナはBTR-3水陸両用装甲車などを開発しインドネシアなどにも輸出しているのですが現実には渡河作戦にはボートが用いられる、日本も現在両用装甲車の開発は進めていますが。

 ドニエプル川においてウクライナ軍は一定の渡河作戦に成功している可能性がある、ISWアメリカ戦争研究所10月17日付戦況分析ではロシア側のミルブロガーによる現場報告等を示していますが、ウクライナ軍は16日と17日にかけ、ヘルソン州のドニエプル川左岸においてウクライナ軍の上陸を撃退したと発表、この地域の戦況が動きつつある。

 ドニエプル川は河川舟艇部隊が部分的な両用作戦を継続しており、しかし、橋頭保の確立や架橋などの具体的は同行はありません、ミルブロガーが指摘しているのはヘルソン市の東方17km地点と24㎞地点の二か所で、これは7月から8月にかけ実施したアントノフスキー橋周辺の中州に進出したウクライナ軍部隊が戦果拡張を行っている構図でもある。

 ウクライナ軍は海兵隊2個旅団を展開しており、特にウクライナ海兵隊はこれまで6月以降ザポリージャ州東部地区へ投入されたと発表があったものの、その後の概況は発表されておらず、ザポリージャ州からヘルソン州へ転進し渡河作戦を行っているものとみられます。この地域はクリミア半島への接近経路であり、戦略的に重要な立地となっています。

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