北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【京都幕間旅情】仁和寺,白洲に願う歴史ある寺院で紅葉を静かに楽しみたいこの秋に巡らす散策の思索

2023-10-04 20:23:45 | 写真
■令和の大修理をあゆむ
 京都もだいぶん観光客が戻った、なんて一年前に書いていましたがいやはや実際はあれは序章でさえ無かったのですよね。

 仁和寺は中門と共に本坊も大修理のさなかにあります、ゆえに公開を中止している堂宇もあるのですが、工事車両の行き来に備えて石庭のお白洲が乱れてしまっているのは、実はうれしい。破壊願望かと訝られるかもしれませんがそうではない、白洲を歩けるのだ。

 宸殿、工事に備えて白洲の一部が通路となっている関係で、普段は歩けない白洲の一部が拝観通路として公開されていますので、今までは宸殿から庭園を見るに限られていましたが、いま時分は宸殿を北庭から、北庭の池越しに見ることができまして、不思議な情景だ。

 京都御所常御殿を寛永年間に下賜され移築した宸殿、仁和寺もやはりといいますか応仁の乱で大被害を受けていましたので復興は江戸時代に入ってから本格化し、その際に常御殿が移築、つまり宮廷文化そのものが寺院に活きているという仁和寺の歴史がみえます。

 紅葉の季節は混雑するのだろう、いや、する、確実に混雑します。ただ、このオーバーツーリズムというものも、落ち着いて散策してみますと混雑していないが歴史ある寺院は確実にあるものでして、金閣寺などを例に挙げました。もう一つ、東山の銀閣寺なども。

 法然院と浄土寺、浄土寺は狭くなっていて実は慈照寺銀閣がこの浄土寺の寺域を使って造営されたという歴史があるのですが、隣の、そう敷地としては隣接している法然院なんかは人が少ないものでして、夏の季節は蚊に刺されるほど、人はいますが混雑は紅葉のみ。

 嵐山も、確かに駅前の飲食店街は混雑している、けれども飲食店街に隣接している天龍寺と阪急に向かう渡月橋あたりは確かに混雑しているものの、二尊院や清凉寺まで行けば人通りはなくなってしまう、嵐山は観光客には名所は飲食街なのだなあ、と思うほど。

 龍安寺と等持院、石庭が有名な龍安寺は、エリザベス二世陛下が拝観されたところで、小さな石庭故に混雑を感じるものの竜安寺道の参道を東に200m行けば等持院なのですが、ここの庭園は石庭も含めて休日でも空いていて時間帯によっては全く人がいません。

 等持院も、足利尊氏が室町幕府開府とともに造営したのだから歴史ある寺院、ここを探訪する際には拝観と共にほっとした気分を堪能するため、混雑しないのは助かることなのですが、穴場のままというのはちょっと残念だなあ、とも思ってしまうほどのしずけさ。

 京都のオーバーツーリズムの問題、紅葉の季節に永観堂で空いている時間帯を、という視点で問われると、いやあそれは無理でしょうツアー会社経由で早朝拝観特別ツアーに参加するくらいしか、という他ないのですが、混雑しているところは混雑しているもの。

 清水寺に混雑しない情景を求められるのはCOVID-19の最もひどかった時代くらいで、もともと興福寺が観光寺院として清水寺を位置付けているのだから混雑は当然で、USJの人気アトラクションで空いている時間を求めるに等しい無理があるのかもしれません。

 歴史ある寺院で紅葉を静かに楽しみたい。永観堂にこだわらないのであれば、拝観経路が一本となっている永観堂よりも、おとなりさん、寺域全てを自由に回れる南禅寺のほうが滞留しての混雑はありません。紅葉で有名な清水寺も、混雑は人の多さだけではない。

 清水寺も滞留するのは奥の院を登る数段の階段部分が狭くなっているだけで、裏手を通ればスムーズに移動できる。人ごみに抱かれているのが好きなんだ、という人以外には混雑を回避する手段はいくつもありまして、そう拝観の際にはなにかの工夫が必要なのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【京都幕間旅情】仁和寺,御室御所は今の静かな名勝宸殿庭園を拝観し京都に再度突き付けられた観光過多を想う

2023-10-04 20:00:26 | 写真
■御室桜青葉湛える暑い日に
 晩夏の暑さはここ数日間急に秋めいて来ましてその変化に一応の四季なのかあと感じ入る今日この頃に一つ衣笠山の山手へ散策の話題を。

 仁和寺。御室桜が満開の季節には混雑していたといいますか、御室桜だけを愛でようというちょっと浮かれた気持ちにて名勝の宸殿庭園を拝観せず帰路についてしまいましたので、こういう曇天の時だけれども再度拝観しようではないか、と歩み進めましたしだい。

 右京区御室大内。嵯峨野山陰線の車窓、高架路線ゆえに高い視座から北方を見ますと、五重塔はじめ堂々たる伽藍が見えますのがここ仁和寺、嵐電のごうんごうんという釣りかけ駆動の轟音が不思議と調和するような衣笠山と双ヶ岡の山麓に、仁和寺は広がります。

 宸殿、御室御所といわれる通り院政の舞台ともなる門跡寺院は、太平洋戦争末期、皇統護持を目的に昭和天皇を出家させる極秘計画へ近衛文麿元総理が秘密交渉を行うなど、皇室と歴史もゆかりも深い寺院となっていて、ある種の宮殿の様な栄華さをたたえている。

 中門、此処が現在大修理の最中となっていますからちょっと覆いに隠され風景が変わっている仁和寺、時代劇の定番風景も寛永年間に造営された建物を維持するには定期的な普請が不可欠というものでして、まあ工事の関係もあり金堂より宸殿へ自然と歩み向く。

 宇多天皇が開基となりまして仁和4年こと西暦888年の創建以来連綿と受け継がれる寺院には阿弥陀如来が奉じられ、真言宗御室派総本山としての壮大伽藍を誇っています。そして今は空いているが、さくらの季節ともみじの季節は、ここはかなり混雑するのだ。

 京都幕間旅情、オーバーツーリズムという話題とともにどうしても思い出すのは、いや、しかしいわれるほど混雑しているのかな、という北大路機関が紹介する写真とともに見比べた場合です。金閣寺や銀閣寺は混雑しているし伏見稲荷大社も八坂神社も凄い、と。

 金閣寺、こういわれると、まあどんなに空いている日でも新快速が混むのと同じ、と答えるしか。オーバーツーリズムで市バスに乗れない、確かに円町駅前で205系統に乗車しようとすると、京都駅出発の時点で金閣寺に行く観光客で一杯だったりするけれども。

 市バスについてはこん雑している系統は確かに多い、が京都駅や円町ではなく四条から12系統を利用するとそれほど混雑していない、つまり、一杯となっているのは一部で、そこを避ける選択肢を見れば、実はオーバーツーリズムも一部にしか過ぎないという。

 金閣寺は混雑するけれども金閣寺道バス停から北大路通をバスで数分下った大徳寺は、一休さんのお寺として有名だけれども庭園拝観はほぼ無人に近い、休日でも混雑するのは例外的だ。そして金閣寺はあの細い石階段が滞留し混雑する原因ともいえるのです。

 伏見稲荷大社も隣接する宝塔寺は日蓮宗本山と京都最古の多宝塔があるのだけれども、ほぼほぼ無人だ。もちろん、伏見稲荷大社に隣接する歴史ある神社とはいっても、田中神社などは規模が小さいのですが、逆に規模が大きいのに空いている寺社も実は多いのだ。

 銀閣寺も混雑していることは確かで、参道の混雑はちょうど緩やかな勾配の先に市内の俯瞰風景が眺められますので、撮影した情景に人が溢れているものなどは、これぞオーバーツーリズム、と思わせるものですが、逆に周りの寺院はやはり空いているという。

 有名寺院を拝観する、というのもよいのですけれども、有名寺院も修学旅行定番を寺社で10ほど挙げて思い浮かべるところではなく、これを思い浮かべる30や歴史で知った50くらいを挙げてその周りを巡行してみますと、実は混雑していない静かな京都が、ある。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ウクライナ情勢-ウクライナ軍ヴェルボベ西方反撃の概況と黒海艦隊へのミサイル攻撃,報復するインフラ攻撃

2023-10-04 07:00:32 | 国際・政治
■防衛情報-ウクライナ戦争
 ロシアは昨年と状況が違う事をもう少し認識すべきと考えるのですが民主主義国家ではない権威主義国家ならではの、というべきなのでしょうか。

 ロシア軍とウクライナ軍は大規模な策源地攻撃を実施している、イギリス国防省ウクライナ戦況報告9月22日付発表において、こうした動静が9月20日ごろから顕著化しているという。ウクライナ軍の攻撃は特に黒海艦隊や航空基地をねらうものとなっていて、航空基地ではチカロフスキー飛行場が長距離無人機による攻撃を受けたことがはじまり。

 チカロフスキー飛行場はモスクワ近郊にあってVIPのプライベートジェット空港としても利用されているもの。ただ民間航空機を破壊したものではなくIl-20クート特殊電子偵察機が攻撃により破壊されているとのこと。ロシア軍にとり重大な攻撃であったと考えられ、ウクライナ全土への報復攻撃が行われるようになっています。ただ、わすれられたてんが。

 イギリス国防省はこれ以上踏み込んだ分析は行っていませんが、今回ロシアの報復攻撃にインフラ施設などが標的となり、昨年と同様に冬季における電力施設などへの攻撃が懸念される一方、現在はウクライナにも長距離無人機国産化という昨年と異なる事情があり、ロシアの電力インフラ施設へ報復が行われた場合、モスクワの越冬は困難となります。
■防衛情報-ウクライナ戦争
 南部での動きについて。

 ウクライナ軍はヴェルボベ西方へ進出したものの保持できているかは未知数である、ISWアメリカ戦争研究所の9月21日分析発表において攻勢の概況をまとめました。東部戦線全般としては北部地域ではクピャンスク方面においてロシア軍が戦車を増強している兆候があると、ウクライナ国家警備隊のウルシャロビッチ大佐の発言が紹介されていました。

 東部戦線中部ではバフムト近郊においてウクライナ軍がアンドリイフカなど複数の地域で不特定の成功を収めており、ウクライナ軍のバフムト周辺での戦闘はバフムト北方と南方で進み、その目的として高速道路T0513号線を火砲の制圧下におくことを企図していて、この達成によりロシア軍のバフムトと後方の連絡線を遮断することを目指しているもよう。

 ヴェルボベの戦闘はこうした状況で東部戦線南部の戦況を左右しており、ウクライナ軍はザポリージャ州西部においてロシア軍の第一次防衛線を突破したのちに第二次防衛線も突破しているとされます、そしてその先にヴェルボベがあり、竜の歯障害物などロシア軍防御陣地まで到達したものの、保持できているかが未知数、とISWは分析しています。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする