■ヨムキプール戦争再び
日本では平和に小松基地航空祭が開かれ曇天が晴天となった幸運を喜んでいた最中に中東では懸念すべき状況が始りました。
日本では小松基地航空祭が盛り上がっていました土曜日、突如としてイスラエルのパレスチナ自治区ガザ地区から大規模な攻撃がイスラエル本土へ仕掛けられました。NHKは速報で緒戦数時間の間に五千発のロケット弾が発射されたと報じ、数百発や数日間で一千発というものは過去に聞くが毎時数千発近い規模の攻撃は過去に無い、と驚いたもの。
イスラエル情勢とイラン情勢にウクライナ情勢が重なる第三次世界大戦の懸念、こうしたことを表現しますと考えすぎ、といわれるかもしれません。ただ、ガザ地区における武装闘争というゲリラ戦から、ロケット砲による攪乱攻撃に留めていた武装勢力ハマスが、今回、非常にまれにみる規模での地上侵攻に打って出たことは、留意されるべきだ。
小松基地からの帰路にサンダーバードの車内で報道に驚きましたが、しかし、パラグライダー空挺部隊によるイスラエル本土への越境攻撃が行われ、これに呼号しガザ地区からの歩兵部隊浸透攻撃が実施、警戒哨所に配置されたメルカヴァ戦車が撃破されイスラエル本土の警察施設や飛行場などの軍施設に攻撃が加えられたという続報が届きました。
ヨムキプール戦争という、もう50年前ですがわが国では第一次石油危機による高度経済成長時代の終焉を迎えたあの第四次中東戦争から、今年が開戦50年という節目の年であり、しかもヨムキプール、贖罪の日というイスラエルの連休を狙って開戦した第四次中東戦争の、その今の期間がヨムキプール連休であった、ということも今考えてみれば、と。
武装勢力ハマスによるイスラエル本土攻撃はパラグライダー空挺部隊と地上部隊に加え、海上部隊もボート等を用いてイスラエル沿岸部へ浸透作戦を開始しイスラエル海軍部隊との戦闘が発生していましたが、非常に組織化された作戦であり、例えばイスラエル第二の発電所であるルーテンベルク火力発電所への攻撃、例えば自治体首長の暗殺など。
ガザ地区からの攻撃は一時的なものではなく、スデロット市やネティボト市、オファキム市などガザ地区から離れた地域でも攻撃が確認され、キスフィムやマゲンにエレスといったガザ地区に隣接している地域では組織的な市民拉致が行われ、ガザ地区へ連れ去られ人間の盾にされているとも、またSNS上ではリンチ被害に見舞われるようすも投稿され。
ネタニヤフ首相はイスラエル軍に予備役4個師団を動員し即応できる35個旅団の派遣を命じています。これは1973年第四次中東戦争以来の動員規模であり、1981年レバノン侵攻などの過去の事例と比較した場合でも最大規模の軍事作戦となるでしょう。しかしガザ地区から93㎞離れたイスラエルのテルアビブへもロケット攻撃という情報があります。
イランの軍事支援、今回ガザ地区から緒戦三時間で五千発もの記録的なロケット弾攻撃を行い、パラグライダー空挺部隊による組織的な攻撃を行ったハマスですが、少なくともパラグライダー空挺部隊は今回の実戦投入まで存在が知られておらず、ガザ地区において訓練された部隊ではない事が一目瞭然ですし、どこかの国の軍事支援の存在が不可欠です。
ハマスをこれまで公然と軍事支援を行ってきたと、自ら発表しているのはイラン革命防衛隊ですので、関与がないという事の方が無理があります。そしてイランは、イラン核開発に伴い経済制裁とイラン核合意の破棄を受けて制裁対象になっていることから、これ以上の制裁がないと判断したのでしょうか、ロシアへ武器提供をおこなったのが2022年で。
ロシアはイラン製シャヘド無人機を8000機以上、ウクライナ攻撃に用いていますが、その見返りとしてSu-35戦闘機やYak-130軽攻撃機を提供、軍事協力を強化しています。平和憲法のある日本からは理解が難しいのですが、イランは1979年のイスラム革命の際、国是としてイスラエル廃滅を掲げており、ハマス支援はその達成への一環ということ。
イスラエルが警戒しているのは、イラン核開発として将来導入を望む核兵器の標的はイスラエルであるという事で、これまで事ある度にイラン核開発を妨害していました。イランは核開発を平和用のため、としていますが、発電用核燃料よりも濃縮を進め核兵器用にしか使えない核物質濃縮は、平和用が発電ではなく別の意味の爆発的平和なのでしょう。
イランは表立って参戦する可能性は未知数ですが、同じくイラン革命防衛隊が支援するレバノン武装勢力の展開地域からこの24時間以内に砲撃がイスラエル本土に向け行われているとの報道もあり、ほかに選択肢がない場合、これはイスラエルがイラン本土という策源地攻撃に、きわめて“強力な打撃力”を用いて乗り出す懸念が皆無とは言えないのです。
ロシアとイランの関係、問題はこの点です。イランとイスラエルの関係、これらは共に連環はしていません。しかし、イスラエルはロシアのウクライナ侵攻に際して近隣の東欧諸国や西欧諸国が多連装ロケットシステムなどの再整備を行う際、韓国と並んでイスラエルの軍需産業は重要な生産国で、何故なら冷戦後、西欧軍需産業は縮小されすぎましたから。
イスラエルでの戦闘が長期化、100時間以内に終息するのかそれとも長期化するのか、一概に結論が出せない二分化する問題なのですが、仮に長期化した場合、欧州地域NATO諸国の防衛力再編が遅れ、これはウクライナと共にバルト海沿岸での軍事圧力を2022年から強化しているロシアには利点ともなり得るのです、第三次世界大戦の危機だ。
東欧へのアメリカを除けば最大の武器供給国となりつつあるのが韓国ですが、仮に親ロシア政策を強化し、武器援助も開始した衛星写真などから懸念されている北朝鮮が韓国へ圧力を強化するようになった場合には、欧州情勢へこのガザからはじまった危機が一気に世界大戦に発展する懸念も内包するのです。大きな戦争程原因が複雑となるものだが。
百年以上前にセルビアの少年がオーストリア皇太子に銃撃を加えたことで、ドイツとフランスが宣戦布告し世界大戦になるということは、先ず最初の当事者にドイツとフランスが居ないじゃあないか、と混乱することとなりましょう。そして現状のガザの問題も、背景にイランとロシアとの関係性が絡むことで特効薬のある解決策がない複雑な状況だ。
邦人救出の必要性について。差し迫った問題は現在のイスラエル在留邦人とともに、今後この戦闘が戦争に、そして地域的な戦争に拡大した場合の様々な状況を想定したうえで、邦人退避勧告と邦人救出を行う必要性のある地域を洗い出す必要があるでしょう。世界大戦の話題から急に局所的な話題ですが、先ずできることを模索しなければならないのです。
双方に停戦を、という教科書的な書き方を挙げつつ、しかし、空爆による不随被害や戦闘による巻き込まれ、ではなく今回、ハマスが実施した攻撃のいくつかは軽歩兵が非戦闘員を意図的に標的として、しかも特定人物ではなく無差別に標的としており、看過できません、手段は目的を正当化できない。そして現状はもっと日本にも関心を持つべき事態です。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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日本では平和に小松基地航空祭が開かれ曇天が晴天となった幸運を喜んでいた最中に中東では懸念すべき状況が始りました。
日本では小松基地航空祭が盛り上がっていました土曜日、突如としてイスラエルのパレスチナ自治区ガザ地区から大規模な攻撃がイスラエル本土へ仕掛けられました。NHKは速報で緒戦数時間の間に五千発のロケット弾が発射されたと報じ、数百発や数日間で一千発というものは過去に聞くが毎時数千発近い規模の攻撃は過去に無い、と驚いたもの。
イスラエル情勢とイラン情勢にウクライナ情勢が重なる第三次世界大戦の懸念、こうしたことを表現しますと考えすぎ、といわれるかもしれません。ただ、ガザ地区における武装闘争というゲリラ戦から、ロケット砲による攪乱攻撃に留めていた武装勢力ハマスが、今回、非常にまれにみる規模での地上侵攻に打って出たことは、留意されるべきだ。
小松基地からの帰路にサンダーバードの車内で報道に驚きましたが、しかし、パラグライダー空挺部隊によるイスラエル本土への越境攻撃が行われ、これに呼号しガザ地区からの歩兵部隊浸透攻撃が実施、警戒哨所に配置されたメルカヴァ戦車が撃破されイスラエル本土の警察施設や飛行場などの軍施設に攻撃が加えられたという続報が届きました。
ヨムキプール戦争という、もう50年前ですがわが国では第一次石油危機による高度経済成長時代の終焉を迎えたあの第四次中東戦争から、今年が開戦50年という節目の年であり、しかもヨムキプール、贖罪の日というイスラエルの連休を狙って開戦した第四次中東戦争の、その今の期間がヨムキプール連休であった、ということも今考えてみれば、と。
武装勢力ハマスによるイスラエル本土攻撃はパラグライダー空挺部隊と地上部隊に加え、海上部隊もボート等を用いてイスラエル沿岸部へ浸透作戦を開始しイスラエル海軍部隊との戦闘が発生していましたが、非常に組織化された作戦であり、例えばイスラエル第二の発電所であるルーテンベルク火力発電所への攻撃、例えば自治体首長の暗殺など。
ガザ地区からの攻撃は一時的なものではなく、スデロット市やネティボト市、オファキム市などガザ地区から離れた地域でも攻撃が確認され、キスフィムやマゲンにエレスといったガザ地区に隣接している地域では組織的な市民拉致が行われ、ガザ地区へ連れ去られ人間の盾にされているとも、またSNS上ではリンチ被害に見舞われるようすも投稿され。
ネタニヤフ首相はイスラエル軍に予備役4個師団を動員し即応できる35個旅団の派遣を命じています。これは1973年第四次中東戦争以来の動員規模であり、1981年レバノン侵攻などの過去の事例と比較した場合でも最大規模の軍事作戦となるでしょう。しかしガザ地区から93㎞離れたイスラエルのテルアビブへもロケット攻撃という情報があります。
イランの軍事支援、今回ガザ地区から緒戦三時間で五千発もの記録的なロケット弾攻撃を行い、パラグライダー空挺部隊による組織的な攻撃を行ったハマスですが、少なくともパラグライダー空挺部隊は今回の実戦投入まで存在が知られておらず、ガザ地区において訓練された部隊ではない事が一目瞭然ですし、どこかの国の軍事支援の存在が不可欠です。
ハマスをこれまで公然と軍事支援を行ってきたと、自ら発表しているのはイラン革命防衛隊ですので、関与がないという事の方が無理があります。そしてイランは、イラン核開発に伴い経済制裁とイラン核合意の破棄を受けて制裁対象になっていることから、これ以上の制裁がないと判断したのでしょうか、ロシアへ武器提供をおこなったのが2022年で。
ロシアはイラン製シャヘド無人機を8000機以上、ウクライナ攻撃に用いていますが、その見返りとしてSu-35戦闘機やYak-130軽攻撃機を提供、軍事協力を強化しています。平和憲法のある日本からは理解が難しいのですが、イランは1979年のイスラム革命の際、国是としてイスラエル廃滅を掲げており、ハマス支援はその達成への一環ということ。
イスラエルが警戒しているのは、イラン核開発として将来導入を望む核兵器の標的はイスラエルであるという事で、これまで事ある度にイラン核開発を妨害していました。イランは核開発を平和用のため、としていますが、発電用核燃料よりも濃縮を進め核兵器用にしか使えない核物質濃縮は、平和用が発電ではなく別の意味の爆発的平和なのでしょう。
イランは表立って参戦する可能性は未知数ですが、同じくイラン革命防衛隊が支援するレバノン武装勢力の展開地域からこの24時間以内に砲撃がイスラエル本土に向け行われているとの報道もあり、ほかに選択肢がない場合、これはイスラエルがイラン本土という策源地攻撃に、きわめて“強力な打撃力”を用いて乗り出す懸念が皆無とは言えないのです。
ロシアとイランの関係、問題はこの点です。イランとイスラエルの関係、これらは共に連環はしていません。しかし、イスラエルはロシアのウクライナ侵攻に際して近隣の東欧諸国や西欧諸国が多連装ロケットシステムなどの再整備を行う際、韓国と並んでイスラエルの軍需産業は重要な生産国で、何故なら冷戦後、西欧軍需産業は縮小されすぎましたから。
イスラエルでの戦闘が長期化、100時間以内に終息するのかそれとも長期化するのか、一概に結論が出せない二分化する問題なのですが、仮に長期化した場合、欧州地域NATO諸国の防衛力再編が遅れ、これはウクライナと共にバルト海沿岸での軍事圧力を2022年から強化しているロシアには利点ともなり得るのです、第三次世界大戦の危機だ。
東欧へのアメリカを除けば最大の武器供給国となりつつあるのが韓国ですが、仮に親ロシア政策を強化し、武器援助も開始した衛星写真などから懸念されている北朝鮮が韓国へ圧力を強化するようになった場合には、欧州情勢へこのガザからはじまった危機が一気に世界大戦に発展する懸念も内包するのです。大きな戦争程原因が複雑となるものだが。
百年以上前にセルビアの少年がオーストリア皇太子に銃撃を加えたことで、ドイツとフランスが宣戦布告し世界大戦になるということは、先ず最初の当事者にドイツとフランスが居ないじゃあないか、と混乱することとなりましょう。そして現状のガザの問題も、背景にイランとロシアとの関係性が絡むことで特効薬のある解決策がない複雑な状況だ。
邦人救出の必要性について。差し迫った問題は現在のイスラエル在留邦人とともに、今後この戦闘が戦争に、そして地域的な戦争に拡大した場合の様々な状況を想定したうえで、邦人退避勧告と邦人救出を行う必要性のある地域を洗い出す必要があるでしょう。世界大戦の話題から急に局所的な話題ですが、先ずできることを模索しなければならないのです。
双方に停戦を、という教科書的な書き方を挙げつつ、しかし、空爆による不随被害や戦闘による巻き込まれ、ではなく今回、ハマスが実施した攻撃のいくつかは軽歩兵が非戦闘員を意図的に標的として、しかも特定人物ではなく無差別に標的としており、看過できません、手段は目的を正当化できない。そして現状はもっと日本にも関心を持つべき事態です。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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