■■■防衛フォーラム■■■
今回は無人航空機の最新の話題です。自衛隊はこの分野で遅れていますが今後様々な装備体系の後継機として大量に配備する計画が2022年に発表されました。
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アメリカのクラトス社はX-58Aステルス無人機のアメリカ空軍LCASD低コスト無人機計画での新規契約を発表しました。契約は2月25日に結ばれたもので、将来戦闘のゲームチェンジャーとなりうるステルス無人機が進展したことを示します。X-58Aはステルス形状を採用していますが、一機当たりの取得費用は巡航ミサイル一発程度ともいわれる。
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X-58Aステルス無人機は標的機などの技術を基にステルス形状を採用し飛行制御プログラムにより飛行させるものですが、例えば第一線での空中給油や有人ステルス戦闘機のセンサーとして、安価であるため危険な空域への航空打撃はもちろん、最悪の場合は徘徊式弾薬としても寄与することでしょう。なによりこれは安いステルス機、という点が特色です。
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アメリカ空軍ではF-35戦闘機など第五世代戦闘機の精力的な整備を進め、またB-21爆撃機など既存のB-2爆撃機よりも取得費用を低下させるなどコスト管理に注力していますが、将来的に世界規模での軍事作戦を展開させるには作戦機の不足が懸念されています、そこでゲームチェンジャーといえるほどの安価なステルス無人機の開発を進めているのです。
■FMAN/FMCミサイル
ウクライナでのストームシャドウミサイルの戦果も注目されそれ程射程の長くないものでも巡航ミサイルの有用性が確認されています。
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イタリア政府はイギリスとフランスが進めるFMAN/FMC対艦/巡航ミサイル計画へ参加を決定しました。6月20日にイギリスフランス両国へ開発参加覚書を示した事で正式決定しており、両国は1億ユーロという現在両国が均等に支出することが決定している開発資金の分担についてイタリア産かで開発三か国が増えたことを歓迎しているとのこと。
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FMAN/FMC対艦/巡航ミサイル開発には主契約企業としてミサイル開発に実績の多いMBDA社が担当することとなっています、現在この種のミサイルとしてはイギリスとフランスが採用するストームシャドウミサイルが挙げられますが、こちらは航空機からの投射専用であり、FMAN/FMC対艦/巡航ミサイルは航空機と艦艇や地上から運用します。
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FMAN/FMC対艦/巡航ミサイルは2030年の実用化が見込まれており、開発リスクを抑えたうえで長距離対艦戦闘と空軍の深部打撃能力を強化するのが狙い。射程については明らかにされていませんが、現在のオトマート対艦ミサイルの倍に当たる360㎞以上を見込んでおり、今後数十年間にわたり陸海空軍の長距離打撃能力中枢を担うとされています。
■対戦車用徘徊式弾薬
自衛隊でも徘徊式弾薬を対戦車ヘリコプター後継に検討中だ。
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フランス国防技術庁は対戦車用徘徊式弾薬開発の主契約企業にネクスター社を選定しました。対戦車用徘徊式弾薬とはいわゆる特攻無人機の大型機で戦車を確実に破壊できる大型の弾頭を搭載したもの。対戦車用徘徊式弾薬はロシアウクライナ戦争において戦車への威力が確認されており、部分的に戦闘ヘリコプターの任務を代替しえるものです。
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ネクスター社が開発するものは進出距離が最低で80㎞、そして80㎞先において3時間の滞空が可能、というものです。その構成要素としては既にあるEOSテクノロジー社が製造するUAS無人航空機システム、そしてGPS通信が不可能である場合でも精密航法を可能とさせる新興企業TRAAKの慣性航法装置などを装備システム化するのがその狙い。
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対戦車用徘徊式弾薬センサーとしては日中で15㎞とそして夜間でも3㎞の距離で車両を識別捕捉可能とする複合センサーを搭載するとのこと。フランス政府が画定した国防計画2024-2030予算には無人航空機システム強化へ50億ユーロの予算が計上されており、対戦車用徘徊式弾薬の開発及び導入にはこの予算が充てられることとなるのでしょう。
■アーロックMALE
無人航空機の写真が少ないと改めて。
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フランスのトゥルギ&ガイヤール社は新型のアーロックMALE中高高度長距離無人偵察機をパリ航空ショー2023において初公開しました、トゥルギ&ガイヤール社ではこの航空機をプライベートベンチャーにより開発しており、この分野で市場をほぼ独占するジェネラルアトミクス社のMQ-9リーパー/ガーディアンに対抗する性能を持つとされます。
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アーロックMALE中高高度長距離無人偵察機はリーパーのような機首部分にセンサーを搭載するのではなく、ターボプロップエンジンを機首部分に搭載し、ターボプロップ方式の高等練習機をそのまま無人航空機としたような形状を採用、各種センサーは胴体部分に搭載し全幅22m、巡航速度494km/h、巡航高度1万0100mを想定しているとのこと。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/18/28/0bdfd8bdaf22fe36ffc64b15ccbbcb3a.jpg)
トゥルギ&ガイヤール社はフランスの防衛コンサルタント企業でもともとは2011年に二人の共同経営者により創設された企業ですが、航空宇宙分野や海洋分野及びサイバー領域での軍用先端技術装備で実績を重ねていて、2022年にはフランス国内9カ所に開発拠点や製造拠点を有し、社員は300名以上、年間収益は5000万ユーロにたっしています。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
今回は無人航空機の最新の話題です。自衛隊はこの分野で遅れていますが今後様々な装備体系の後継機として大量に配備する計画が2022年に発表されました。
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アメリカのクラトス社はX-58Aステルス無人機のアメリカ空軍LCASD低コスト無人機計画での新規契約を発表しました。契約は2月25日に結ばれたもので、将来戦闘のゲームチェンジャーとなりうるステルス無人機が進展したことを示します。X-58Aはステルス形状を採用していますが、一機当たりの取得費用は巡航ミサイル一発程度ともいわれる。
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X-58Aステルス無人機は標的機などの技術を基にステルス形状を採用し飛行制御プログラムにより飛行させるものですが、例えば第一線での空中給油や有人ステルス戦闘機のセンサーとして、安価であるため危険な空域への航空打撃はもちろん、最悪の場合は徘徊式弾薬としても寄与することでしょう。なによりこれは安いステルス機、という点が特色です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3d/97/856dd53be53829e748fcab121002904a.jpg)
アメリカ空軍ではF-35戦闘機など第五世代戦闘機の精力的な整備を進め、またB-21爆撃機など既存のB-2爆撃機よりも取得費用を低下させるなどコスト管理に注力していますが、将来的に世界規模での軍事作戦を展開させるには作戦機の不足が懸念されています、そこでゲームチェンジャーといえるほどの安価なステルス無人機の開発を進めているのです。
■FMAN/FMCミサイル
ウクライナでのストームシャドウミサイルの戦果も注目されそれ程射程の長くないものでも巡航ミサイルの有用性が確認されています。
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イタリア政府はイギリスとフランスが進めるFMAN/FMC対艦/巡航ミサイル計画へ参加を決定しました。6月20日にイギリスフランス両国へ開発参加覚書を示した事で正式決定しており、両国は1億ユーロという現在両国が均等に支出することが決定している開発資金の分担についてイタリア産かで開発三か国が増えたことを歓迎しているとのこと。
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FMAN/FMC対艦/巡航ミサイル開発には主契約企業としてミサイル開発に実績の多いMBDA社が担当することとなっています、現在この種のミサイルとしてはイギリスとフランスが採用するストームシャドウミサイルが挙げられますが、こちらは航空機からの投射専用であり、FMAN/FMC対艦/巡航ミサイルは航空機と艦艇や地上から運用します。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0f/d9/099e5bc1311925dad097c61c8c2dd08a.jpg)
FMAN/FMC対艦/巡航ミサイルは2030年の実用化が見込まれており、開発リスクを抑えたうえで長距離対艦戦闘と空軍の深部打撃能力を強化するのが狙い。射程については明らかにされていませんが、現在のオトマート対艦ミサイルの倍に当たる360㎞以上を見込んでおり、今後数十年間にわたり陸海空軍の長距離打撃能力中枢を担うとされています。
■対戦車用徘徊式弾薬
自衛隊でも徘徊式弾薬を対戦車ヘリコプター後継に検討中だ。
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フランス国防技術庁は対戦車用徘徊式弾薬開発の主契約企業にネクスター社を選定しました。対戦車用徘徊式弾薬とはいわゆる特攻無人機の大型機で戦車を確実に破壊できる大型の弾頭を搭載したもの。対戦車用徘徊式弾薬はロシアウクライナ戦争において戦車への威力が確認されており、部分的に戦闘ヘリコプターの任務を代替しえるものです。
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ネクスター社が開発するものは進出距離が最低で80㎞、そして80㎞先において3時間の滞空が可能、というものです。その構成要素としては既にあるEOSテクノロジー社が製造するUAS無人航空機システム、そしてGPS通信が不可能である場合でも精密航法を可能とさせる新興企業TRAAKの慣性航法装置などを装備システム化するのがその狙い。
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対戦車用徘徊式弾薬センサーとしては日中で15㎞とそして夜間でも3㎞の距離で車両を識別捕捉可能とする複合センサーを搭載するとのこと。フランス政府が画定した国防計画2024-2030予算には無人航空機システム強化へ50億ユーロの予算が計上されており、対戦車用徘徊式弾薬の開発及び導入にはこの予算が充てられることとなるのでしょう。
■アーロックMALE
無人航空機の写真が少ないと改めて。
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フランスのトゥルギ&ガイヤール社は新型のアーロックMALE中高高度長距離無人偵察機をパリ航空ショー2023において初公開しました、トゥルギ&ガイヤール社ではこの航空機をプライベートベンチャーにより開発しており、この分野で市場をほぼ独占するジェネラルアトミクス社のMQ-9リーパー/ガーディアンに対抗する性能を持つとされます。
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アーロックMALE中高高度長距離無人偵察機はリーパーのような機首部分にセンサーを搭載するのではなく、ターボプロップエンジンを機首部分に搭載し、ターボプロップ方式の高等練習機をそのまま無人航空機としたような形状を採用、各種センサーは胴体部分に搭載し全幅22m、巡航速度494km/h、巡航高度1万0100mを想定しているとのこと。
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トゥルギ&ガイヤール社はフランスの防衛コンサルタント企業でもともとは2011年に二人の共同経営者により創設された企業ですが、航空宇宙分野や海洋分野及びサイバー領域での軍用先端技術装備で実績を重ねていて、2022年にはフランス国内9カ所に開発拠点や製造拠点を有し、社員は300名以上、年間収益は5000万ユーロにたっしています。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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