北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【防衛情報】フランスA-330-MRTT空中給油輸送機10号機,AIM-120D3空対空ミサイルとタイフーン戦闘機電子戦型

2023-10-02 20:01:44 | インポート
■防衛フォーラム
 今回も空軍関連の話題です。

 フランス空軍はA-330-MRTT空中給油輸送機10号機を受領しました。10号機の納入は5月17日、フランス国防省軍備総局DGAに対して行われ、2023年内に11号機と12号機を続いて納入することとなります。フランス空軍がエアバスA-330-MRTT空中給油輸送機の導入を発表したのは2013年5月、10年目にして10号機の納入となりました。

 A-330-MRTT空中給油輸送機について、導入計画では2013年に12機から14機の導入計画を検討し、2014年2月20日に景気後退を受け12機以下となる可能性が示唆、しかし複数年度に分け30億ユーロ、米貨換算33億ドルに上る調達計画が正式成立し、初号機は2018年に納入されました。フランス空軍の戦略展開能力を飛躍的に高める装備です。
■KC-46Aペガサス
 KC-46Aペガサスは不具合も伝えられたけれども。

 アメリカ空軍はKC-46Aペガサス空中給油機15機を22億ドルで追加調達します、新しい契約はすでに量産が開始されていますKC-46A空中給油機の第九次生産分としてボーイング社との間で成約したもので、これは2023会計年度の固定価格契約として結ばれたものとなり、今回契約された15機は2026年8月31日までに納入される契約となっている。

 KC-46Aペガサス空中給油機は従来の空中給油機に対して画期的な点として、従来の航空機では給油オペレータは機体後部において直接給油対象の航空機に対してフライングブームを操作していましたが、KC-46Aペガサス空中給油機からは給油オペレータは操縦席近くのAROSオペレーションルームより画像を介して給油を行う方式へと改良されました。
■偵察航空隊
 時間はかかったけれども偵察航空隊は名実ともに復活という訳だ。

 航空自衛隊はRQ-4グローバルホーク無人偵察機3号機の三沢基地配備を完了しました。これは航空自衛隊が導入する3機のグローバルホーク納入完了を意味し、偵察航空隊での運用が本格化します。RQ-4グローバルホークは、高高度を長時間にわたり滞空でき、警戒監視任務や大規模災害時の情報収集や即時の画像情報共有などで期待されています。

 RQ-4グローバルホーク無人偵察機、航空自衛隊はRF-4戦術偵察機全廃に当たり偵察航空隊を廃止しましたが、別組織としてRQ-4グローバルホーク無人偵察機とともに偵察航空隊を新編しています。旅客機の巡航高度よりも高い空域を飛行することで長時間にわたり飛行が可能、そのセンサーは半径120㎞以遠を正確に画像撮影し情報伝送が可能という。
■軽戦闘機用AESAレーダー
 韓国は4.9世代戦闘機を国産化するのだけれどのこのまま日英伊戦闘機開発にも参加するのだろうか。

 韓国のハンファエアロスペース社はイタリアのレオナルド社との間で軽戦闘機用AESAレーダー開発で提携を発表しました、この点についてパリエアショー2023において発表されるとともに6月19日に両社代表による覚書締結に進んでいて、これにより今後、世界の高等練習機派生軽戦闘機の標準的なレーダー開発へと進む可能性が出てきました。

 レオパルド社はM-346高等練習機の軽戦闘機型を開発、元々は純粋な練習機となっていましたが源流が同じYak-130が軽攻撃機型を開発しており、これに触発された構図です。そしてハンファエアロスペース社はFA-50戦闘機を開発、T-50超音速練習機の改良型で初期のF-16を凌駕する軽戦闘機ながら安価であるとして近年注目を集めている航空機です。
■アレクシス電子戦システム
 アレクシス電子戦システムを検討しているもよう。

 ドイツ空軍はタイフーン戦闘機電子戦型の開発にサーブ社案を採用しました。第4.5世代の多目的戦闘機であるユーロファイタータイフーン戦闘機、ドイツ空軍ではこの中の15機について電子戦機への改修計画を進めています。この中で部内選定によりスウェーデンのサーブ社が製造供給するアレクシス電子戦システムが最適と判断されたかたち。

 タイフーン戦闘機電子戦型として選定を行ったのはBAAINBwドイツ国防調達局で、市場調査によりサーブ社のアレクシスを有力候補と位置付けたかたち。なお、今回の機種選定はあくまでBAAINBwが独自の市場調査により行ったもので、ドイツ政府とサーブ社の正式契約に至った訳ではありません。アレクシス電子戦システムはポッド式です。

 アレクシス電子戦システムについて詳細は公表されていませんが、AI人工知能を応用した敵対勢力による電子攻撃に対するアルゴリズム構築により回避経路と対抗電子手段を即座に展開する電子戦システムで、BAAINBwはこの決定をサーブ社に通知しており、サーブ社ではタイフーン戦闘機への適合など、次の段階に進むことを期待しているという。
■12.7mm機関銃ポッド
 機関砲ではなく機関銃です。

 イタリアが生産するM-346FA軽戦闘機に新型機関砲ポッドの搭載研究が開始されました。これはフランスのネクスター社が提案したもので、M-346練習機、元々は高等練習機として開発されたM-346を安価な亜音速軽戦闘機へ改良する試みの一つです。現在搭載されているのはKNDS社が開発した12.7mm機関銃ポッド、威力がたりません。

 ネクスター社は同社が多数を生産しているM-621機関砲をポッド化し、M-346FAへ搭載する構想で、現在開発されているものは機体の胴体下部一杯を使ったポッド、この位置に搭載することで主翼下の増槽装着などの冗長性は残されるとのこと。近年、世界の戦闘機市場は高価な機種が目立ち、安価な軽戦闘機を求める諸国には一定の需要が見込めます。
■デリラ巡航ミサイル
 射程250kmでも有用であるのはウクライナでストームシャドウが証明しています。

 モロッコ空軍はイスラエル製デリラ巡航ミサイルの取得交渉を実施中です、デリラ巡航ミサイルは射程250㎞で巡航ミサイルではあるものの中間指令誘導能力を持ち、一種の徘徊式弾薬として発射後に目標を変更することが可能であるとともに、移動目標に対しても命中させることが可能となっており、元々は無人標的機として設計されていたもの。

 デリラ巡航ミサイルは、徘徊式弾薬として運用可能であり特に競合地域や国境地域において哨戒飛行のように徘徊させることも可能とのこと。発射システムは航空機やヘリコプターからの発射に加え地上発射システムも開発されています。射程250㎞は巡航ミサイルとしては短距離型となりますが、アフリカ地域における大きなポテンシャルでしょう。
■ELM-2060PES-AES
 こういうものを見ると海洋監視航空機はセンサーだけなのだなあとおもう。

 イスラエルのIAI社は画期的なELM-2060PES-AESA-SAR/GMTI偵察ポッドを発表しました。正確にはIAIイスラエルエアロスメースインダストリアル社の子会社であるエルタシステムズ社が発表したもので、ポッド方式にてAESAレーダーとGMTI目標指示装置を統合したもので、合成開口レーダーにより地上を画像のように合成する能力を持つ。

 ELM-2060PES-AESA-SAR/GMTI偵察ポッドの特筆すべき点は、雲などを貫通して地上の画像情報を写真のように合成できる点とともにもう一つ、形状が航空機用増槽の形状を採用しており、どのような航空機にも搭載可能である点を挙げており、エルタシステムズ社はこの点を強調しイメージ画像にユーロファイタータイフーン戦闘機を挙げています。
■F3R-Form/Fit,/Function/Refresh
 AMRAAMの更なる一歩です。

 アメリカ空軍はF-16戦闘機からの最新のAIM-120D3空対空ミサイルの発射実験を成功させました。これはレイセオンミサイルアンドディフェンス社とともに開発していた最新型のAMRAAMミサイルであり、第四世代戦闘機の性能底上げと第五世代戦闘機の優位性確保を念頭に2025年までに完成を目指している空対空ミサイルです。

 F3R-Form/Fit,/Function/Refreshという従来のAMRAAMから一歩前進した空対空ミサイルは、メーカーであるレイセオンミサイルアンドディフェンス社では詳細を示していませんが、飛翔時間の関係上射程が延伸している可能性があり、特に近年課題となっている中国やロシアの空対空ミサイルの射程延伸によるギャップに配慮している可能性が。

 AIM-120D3空対空ミサイルは従来のAIM-120Dではすでに射程が180㎞とかつてのF-14戦闘機が運用したフェニックス空対空ミサイルを凌駕する射程を実現していますが、既に中国とロシアは350㎞級の空対空ミサイルを実戦配備しており、アメリカは新しくAIM-260ミサイルを開発中、その完成までの間AIM-120D3の役割が期待されます。
■A-29スーパーツカノ
 A-29スーパーツカノのような航空機がウクライナにあれば第一線の近接航空支援委寄与するのかカモmにされるだけなので榴弾砲だけの方がマシなのかを考えてしまう事がある。

 ブラジルのエンブラエル社はA-29スーパーツカノについて欧州での販路を確信している、7月13日から開催されているイギリスのロイヤルエアタトゥー2023国際航空祭に際して強調しました。現在同社ではスーパーツカノのNATO仕様機を開発しており、その最終組み立てや定期整備の拠点としてポルトガルを想定しているとのことです。

 A-29スーパーツカノはCOIN機であり、正規軍を想定した戦闘には対応しないとされ、またこの種の任務は無人航空機が担うとされています。しかし、ウクライナの戦場を見れば無人航空機は攻勢作戦に威力を十分発揮できず、高価過ぎる戦闘機は不足し近接航空支援には殆ど対応しません。COIN機はこうした想定に対し需要を見込むのでしょう。
■JAS-39戦闘機機種転換
 JAS-39はブラジルではF-39というけれども肝心のJAS-39写真が手元にないので代用で。

 ブラジル空軍はスウェーデン空軍によるJAS-39戦闘機機種転換訓練を修了させたとのこと。ブラジル空軍は次期戦闘機としてJAS-39戦闘機をF-39戦闘機として選定、順次スウェーデンから航空機が納入されています。これにあわせてスウェーデンでの機種転換訓練が実施され、6月13日に第一期訓練生が機種転換訓練を修了したとのことです。

 JAS-39戦闘機の機種転換訓練は11週間、座学から航空機飛行訓練までが組まれ、50回にわたる飛行訓練は昼夜の飛行訓練と計器飛行、また編隊訓練などを実施、これが第一段階に当たり、第二段階は9週間にわたりシステム運用訓練など25回の飛行訓練が行われます。飛行訓練はブラジルが導入したものより古いJAS-39C/Dがも用いられました。
■カナダ製哨戒機売り込み
 海洋哨戒機で対潜能力を確保したものを想定するならばグローバル6500の派生型は良い選択肢に見えますね。

 カナダ空軍の次期哨戒機選定に向けボンバルディア社がカナダ製哨戒機売り込みを強化しました。ビジネスジェットやリージョナルジェットなどを多数製造するボンバルディア社はリージョナルジェットの分野において世界市場第三位の座をブラジルのエンブラエル社に明け渡していますが、依然として世界第四位の旅客機メーカーとなっています。

 ボンバルディア社はグローバル6500ビジネスジェットへ、主翼にハープーンミサイル最大4発の運用能力と、胴体下部に兵装庫を追加しソノブイなどの格納スペースを加え、また胴体に広くセンサー部を装着し尾部にMADを設置した海上哨戒機のイメージ図を作成、カナダ軍のP-3オライオン哨戒機後継機としてカナダ製航空機を売り込んでいます。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【G3X撮影速報】富士学校祭-富士駐屯地創設69周年記念行事(1)部隊整列と訓示の記念行事(2023-09-30)

2023-10-02 07:00:53 | 陸海空自衛隊関連行事詳報
■富士学校祭二〇二三
 ウクライナから戦車の目覚ましい活躍が報じられる一方で74式戦車の部隊が全国で次々と廃止され戦車部隊そのものが本州から消えつつある今日この頃です。

 富士学校祭、今年もいって参りました。今年は開門が0800時ということで0745時に民宿を出発するという"暴挙"に出ました、さて到着してみると同時に開門、長蛇の列、長蛇といっても蛇には限度があるけれど、海底軍艦のマンダよりも数倍ながい行列が動きだす。

 戦車、来る度に減っているなあ、という嘆息が。今年は員数あわせに在日米軍まで派遣を要請したのかLAV-25が並ぶ。観たことがない装甲車を前に、あれがパトリアAMVかあ、と野次が飛ぶけれど、真に受けた人も出てくる、いやいや、ピラニアですよ、と。

 人員1000名強、富士教導団は4500名と定員を聞いたものですが業務と行事支援を考えればなかなかの規模です。そしてアメリカ海兵隊さんは整列には加わらない。会場端のほうに擂り鉢ににた土盛りがあったので、あそこに星条旗掲げて模擬戦かな、なんてね。

 機甲教導連隊の新編にともない戦車教導隊が廃止改編を受け、機甲教導連隊へ戦車が移管されるとともに戦車の駐屯地も富士から駒門へ移駐しました。そして機甲教導連隊は本州四国の戦車全廃改編を経て、いわば教育用が本州唯一の戦車部隊になるというわけ。

 戦車中隊からかつては各中隊5両が5個中隊と隊本部の車両とあわせ30両程度式典に参加していましたが、駒門から富士まで現在では移動する必要があるため、各中隊から3両のみの式典参加になっている。FTC富士部隊訓練評価隊の第1機械化大隊も参加していない。

 有事の際を考えると戦車は駒門の方が東京に近い、こうした視点もあるのでしょうか。富士駐屯地から高速道路整備は始まっていますが、駒門インターを利用すると東京へも、もちろん北海道の戦車部隊が間に合わない地域での非常事態へも対応できる場所です。

 中村裕亮陸将、富士学校長の巡閲。学校長さんは今年3月まで東千歳の第7師団長に補職されていました。いわずとしれた陸上自衛隊最強装備を揃える機甲師団です。一時期富士学校長は旅団長から補職されることもありましたが、最近は師団長の次のポストです。

 学校長訓辞は自衛隊の現状や周辺情勢と国民への理解の重要性、などというものでしたが、どうもわたしの世代は専守防衛を念頭とする防衛政策になれているため、反撃能力整備により近く富士駐屯地から北京まで届く装備への改編、ここに理解が追いつかない。

観閲行進準備の号令が響く。考えるのですが富士教導団は実戦部隊ではなく教育訓練部隊であり、即応体制は重要ですが担当隊区ももちませんし機動運用部隊にも指定されていない、すると予備の戦車など考えず可動戦車を全て行進させても問題ないように思う。

第1機甲教育隊を教育体系から富士学校に統合したのですから、いっそ全国全ての教育部隊を富士学校隷下に統合し、学校本部を朝霞駐屯地に移転しては、とおもう。その上で東北方面隊を廃止し、東部方面総監部を仙台駐屯地に移駐させれば、指揮系統が明瞭に。

観閲行進の先頭は地方協力本部のマスコットキャラクターさんなのですが、結局陸上自衛隊は部隊規模に対して装備が足りていない、そして予算概算要求を観ても十分な数を要求していない。すると部隊を整理するか、装備を増やすかという選択が必要になる。

10式戦車を先頭に富士学校の観閲行進が開始されます。今年度は、装備品に近い場所、そして学校長はじめ観閲台を背景に収められるアングルの撮影場所で観閲行進を撮ることとしました。一眼レフとともにコンパクトデジカメを駆使して、撮影が始まったのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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