北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【日曜特集】海上自衛隊60周年観艦式【18】むらさめ型護衛艦後継将来護衛艦はどうなる(2012-10-08)

2023-10-15 20:23:49 | 海上自衛隊 催事
■日曜特集-観艦式
 観艦式を撮影する際には次乗れるのははるか先なのかもしれないという緊張感と共に充分な機材と事前研究と共に撮影に臨むのですが。

 日曜特集が撮影速報の最中で掲載できない為に、ある程度執筆時間に余裕がある際に限定して、日曜特集は毎回24枚の写真を掲載していましたので撮影速報の12枚に併せて日曜特集を12枚に切替えて、二つの記事で、水曜日の京都幕間旅情のように載せてみましょう。

 2012年、自衛隊観艦式の荒天中止や一般公開見合せなどが続いていますので、現在の海上自衛隊とは随分変わっているのですが、ヘリコプター搭載護衛艦の全通飛行甲板型護衛艦への転換という2012年当時も、大きなダイナミズムを有する変革期の只中にありました。

 イージス艦への転換、考えてみますと全通飛行甲板型護衛艦の転換と同時に海上自衛隊は艦隊防空に、ミサイル護衛艦あまつかぜ竣工以来、ターターシステム搭載艦を艦隊防空の主軸としてきましたが、1993年にイージス艦こんごう竣工以来、艦隊防空に一大転換が。

 こんごう、1993年竣工ですので海上自衛隊イージス艦も艦齢30年を前に、そろそろ後継艦の建造が具体化してゆかなければならない時節なのですが、先ずは本土ミサイル防衛のミサイル防衛専従艦建造が進められる事となり、これは新しいレーダーを搭載するという。

 SPY-7レーダー、元々陸上用のものでありアメリカ海軍がイージス艦に新しく装備しこの程遂に竣工が始まったSPY-6搭載イージス艦とは別物となります、SPY-7はアメリカ宇宙軍がアラスカに配備したものが9月に不具合起こし問題となったばかり、日本はどうなる。

 まや型護衛艦はぐろ竣工により護衛艦隊に残った最後のターターシステム搭載艦しまかぜ練習艦転籍が行われています、その次の将来イージス艦がSPY-6を搭載しアメリカ海軍との相互互換性を維持するのか、SPY-7という未知のシステムに踏み出すのか、関心事です。

 むらさめ型護衛艦、問題は海上自衛隊にオールイージスという、つまり汎用護衛艦も含めて広域防空艦に転換しなければ、大量の艦隊防空艦に長射程対艦ミサイルを備えている中国海軍に対するプレゼンスを維持できないという視点が有り、ここも関心事と云えますが。

 FFMからFFGへ、もがみ型護衛艦というこれからの観艦式の風景を一新させる将来艦が、後期艦建造において大型化するため、艦隊防空を一部担うようになります。そうしたなかで、次世代護衛艦の指揮運用能力など構成要素の研究が開始されており、きょうみぶかい。

 もがみ型護衛艦後期艦が大型化するものの、DD、汎用護衛艦にはAI人工知能による作戦指揮支援機能、AIは既にSH-60K哨戒ヘリコプターに類似のものが搭載され海上自衛隊では運用に内部化されているものなのですが、次世代に相応しい先進性が垣間見える。

 あさひ型護衛艦として汎用護衛艦がかなり大型化していますが、本来小型艦と位置づけられたFFMの後期艦がかなり大型化している、そして、そのFFMの改良型が護衛艦隊にも配備されるような錯覚もあるのですが、いや、FFGさえ護衛艦隊には不充分なのか、と。

 はるな型ヘリコプター搭載護衛艦は満載排水量6800t、これも初めて見ました際には大きな護衛艦とおもったものですけれど、汎用護衛艦がこの大きさに達している、むらさめ型護衛艦で満載排水量は6200t、すると次の汎用護衛艦はDDGなみの9000t規模もあり得る。

 こんごう型護衛艦の後継艦が、ミサイル防衛専用艦を踏襲して大型化するならば、汎用護衛艦も大型化する可能性がある。いや大艦巨砲主義という安易な発想ではなく、それだけ我が国周辺情勢が緊迫化している裏返しでもあるのですが、凄い時代に生きていると思う。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【G3X撮影速報】富士学校祭-富士駐屯地創設69周年記念行事(2)普通科教導連隊観閲行進(2023-09-30)

2023-10-15 20:00:22 | 陸海空自衛隊関連行事詳報
■富士学校祭観閲行進
 富士学校祭は今年度例年とちょっと趣向を変えた場所から撮影してみることとしました。

 10式戦車を先頭に観閲行進が開始されます。今年は本州に残る最後の戦車部隊、第9戦車大隊、第10戦車大隊、第13戦車中隊が年度末改編による廃止、本州戦車部隊全廃を控えた戦車最後の日が近づいているのですが、やはり専守防衛の象徴といえば戦車だと思う。

 普通科教導連隊の観閲行進、将棋が今話題ですが、自衛隊の普通科重視というのは、実は将棋の“歩”がやけに多い、という実情が反映されているのかな、と思うのです。そして普通科教導連隊は96式多目的誘導弾MPMSなど対戦車ミサイルからはじまりました。

 96式多目的誘導弾MPMS、射程は非常に大きく1990年代の対戦車ミサイルでは世界最大の射程を誇っていたものの、7両からなる発射システムを連接させる煩雑な方式であり実際は戦術ミサイルシステム、量産費用も高く、対戦車ミサイルとして普及は難しかったもの。

 82式指揮通信車、232両ほど量産された装備で元々、小型装甲車として1970年代の高速道路網整備を前に普通科部隊用装輪装甲車として開発されたものの、二度の石油危機により量産が見送られ、とりあえず指揮車として整備、これを元に偵察警戒車などが造られた。

 指揮車とともに派生車両として化学防護車、そして駆動系統や車体構成部品などを共通化させ87式偵察警戒車も開発、ファミリー化に成功しています。ただ、老朽化が進んでおり、車内容積の広いフィンランドのパトリアAMV装甲車がこの後継になると思われています。

 軽装甲機動車、陸上自衛隊だけで2000両近い車両が配備され、普通科部隊の装甲化を一挙に押し進めた功労者、元々は乗車したまま対戦車ミサイルや機銃を駆使して任務に当る騎兵装甲車的な運用でしたが、装甲車不足の自衛隊では小さい装甲輸送車という位置づけ。

 89式装甲戦闘車、冷戦末期に強力なソ連製BMP-3装甲戦闘車に対抗するべく北海道の普通科部隊用に開発した当時としては世界で最も強力な装甲戦闘車で35mm機関砲、79式対舟艇対戦車誘導弾を搭載し重装甲、ただ冷戦が終わり68両が製造されるにとどまりました。

 北部方面隊の師団は冷戦時代、第7師団の第11普通科連隊に第2師団の第3普通科連隊と第5師団の第27普通科連隊と第11師団の第18普通科連隊、この4個連隊に装甲車が集中配備されていて89式装甲戦闘車もこれら連隊を念頭に350両量産が見込まれていました。

 普通科部隊の装甲戦闘車、ただ、実際に機械化装備に不慣れな普通科が運用しますと、車両整備と乗車戦闘という、防衛線が示す線に依拠する運用ではなく確保地域という面で運用する戦車部隊の運用が馴染まない為、あれは殆ど戦車、という感想が示されたりします。

 軽装甲機動車、2中隊の装備で携帯しているのは84mm無反動砲、普通科部隊装甲化の立役者というものの後継装備がスイス製イーグルⅣかオーストラリア製ハーケイとして検討中、小さすぎる装甲輸送車の後継となる為、本車の一部はパトリアAMVが後継となるか。

 96式装輪装甲車、小松製作所が開発した装甲車でかなり低コストに成功し、装甲厚はそれほどではないのですが、一両9000万円に収めた、ストライカー装輪装甲車の半額程度で、頑張って安く量産した小松製作所さんの為にもう少し毎年調達できなかったか、とおもう。

 装輪装甲車としては小型すぎる、という批判や若干防御力が薄い、という批評もあるようですが、トラックで砲弾の雨の中を移動するよりは随分安全で、小銃班の小規模化や対戦車火器を車外搭載するなどで対応できるし、もっと量産できたのではないかと思うのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【京都発幕間旅情】榛名さんの総監部グルメ日誌-京都駅,イタリアンで一日中走り回った休日を締めくくる

2023-10-15 18:11:44 | グルメ
榛名さんの総監部グルメ日誌
 世の中これは特に国際報道に焦点を併せればいろいろあるけれども日常は続いている訳で、先ずは冷えたサングリアでもグラスで。

 世界がどうなろうとも美味しいものが有れば、という日常と日本の価値観、日常を維持する事に全てを掛けているから日本に今の憲法と一種の孤立主義は定着しているのだろうなあ、とおもうのです。そして京都駅、ここにも駅の中でおいしいものがいくつもあります。

 サングリア、良く冷えたサングリアで静かに乾杯。サングリア、要するに果実と共に煮こんだグリューワインなのですが、最初からこういう落ち着いた一杯を注文するにはわけが有ります、ここはSERENO,セレーノ食堂、京都駅内にある改札先の最初のお店です。

 果実を煮込んだグリューワインはベリーとイチゴとが浮かんでいまして、なにかこうデザート的なひと品なのだけれども、そんなことはどうでもいい、フルーツの前菜、という気持ちで含みまして、そして何より丸一日走り回ったので空腹故の美味しいものを、待つ。

 アンティパストで順番に、という回り道なんてことはせずに素早くピッツァを注文してしまうので、空腹にビールを収めて余計空腹感が強まるよりは、こう、サングリアでちびちび果実片をつついて嗜んでいた方が、まだ我慢できるよね、というところにピッツァが。

 ピッツァカプリチョーザ。新幹線は兎も角として、わたしは海外旅行向いてないなあ、と思うのは飛行機で眠れないのですよね、すると到着した後で時差ぼけなんてものじゃあない疲労感となる、海外赴任で付近先にて体調を整えられる時間が有れば別なのだろうけど。

 カプリチョーザはベジョータとベーコンとオリーブを載せたミラノ風の、つまりうっすいけれどももちっとした生地を焼き上げた、なんというか幸せになるピッツァだ。コース料理を注文した訳ではないから、此処からは自分でメニューをくみ上げなければならない。

 ポークロースのミラノ風カツレツ、色合いからサラダっぽい野菜とともに頂ける、けれども実際野菜というのは大事ですよね、疲れているからビタミンもたりていないはずですし、そしてからっと揚げられたカツレツは野菜の水分とそれほど喧嘩する訳ではない相方だ。

 ミラノ風カツレツに、ナイフをどの角度からさくりと頂くか、大きめにザクリと切り分けて頂くか、歯応えの奥に肉汁を愉しんだうえでちょっと気分を変えるような感じなのだけれど、レモンをぎゅっと絞って、湿らせて果実の新鮮さを加えてみる、ううむ美味しいね。

 レモンサワー。急に梅沢さんのCMで馴染み或るレモンサワーを。いきなりイタリアンから京都駅前の、どちらかというと駅の北側に戻ってきたような感じの一杯で。もっともこのセレーノ食堂さんは近鉄京都駅のホーム真下、という位置関係にあるのですけれども。

 炭酸がぷちぷちと爆ぜる様子が見える、昔はサイダーのことを平野水と呼んだそうだけれども、昔の平野神社、京都に来る前は奈良、とか大阪の平野区あたりと関係あったのだろうか、そして透きとおるようなしゅわっと感とともにレモン、いやもう檸檬がこう香るね。

 ペスカトーレのパスタ。もう、これだけ頂いた後ではがつがつした空腹感、一日中走り回ったので京都駅でもう何か食べてしまおう、という渇望感のような焦燥感のような、いちばんわかりやすい表現は空腹感か、こういうものはようやく落ち着いて、パスタにしよう。

 パスタの中でもペスカトーレは、どのタイミングでムール貝を頂くかと殻つきだからこそフォークで突いて解す海老さんに香りで主張し偶に割れた殻も主張する浅蜊と食感の烏賊さん、ある程度満腹感が有ってこそ愉しめる、だからこそペスカトーレを〆にしました。

 京都駅の中、といいますか此処は近鉄京都駅の真下ですので、響いて来ますのは近鉄電車の行き交う音なのですけれどもSERENO,セレーノ食堂さんは、京都駅まで戻ってきた際にがつんと美味しいもので充実感を感じたいときに、そう、ちょっぴりおすすめなのです。

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【京都発幕間旅情】阪急9000系電車と梅田駅,10分毎の京都本線・宝塚本線・神戸本線の特急急行同時発車

2023-10-15 07:00:41 | コラム
■阪急電鉄の三本線拠点駅
 梅田駅というのは最近は正確には大阪梅田駅というようですがわたしにとってはそんな長く名前を言う事無くよぶのは梅田駅、と。

 阪急梅田駅。日本全国にはいろいろな駅が有るのでしょうけれども、この梅田駅よりも凄いと思った駅とは出会いません、大阪駅は屋根が凄いけれども次の建て替えが数十年後にあればかわってしまいそうだし、札幌駅は大きいが薄暗い、東京駅は屋根が採って付けだ。

 都市的、というのでしょうか、商業ビルの真上に位置するように梅田駅は整備していますし、だれがみてもどの方面に向かい発車するか一目瞭然だし、なにより煌々と照らされたホームはなんとも均整がとれていて、そこから確実に満員電車は出発してゆくのだから。

 京都本線に神戸本線と宝塚本線、梅田駅を凄いなあ、と思わせるのは10分に一度、三本線の特急急行電車が一斉に発車する、時針分針をみればそうかXXX0時か、と時刻を知らせる様に一斉に発車する様子が、梅田駅を活気づけているのでしょう、しかもほぼ満員でね。

 特急電車、神戸本線と京都本線は特急で宝塚本線は急行電車なのだけれども、一斉に発車して同時刻に淀川を超えて十三駅に入線し、そこから神戸三宮と京都河原町と宝塚へと走り去る、到着は若干秒間の時間差があるのだけれども、それが競争のようで何か景気づく。

 三本線同時発車、東京駅でも新幹線と山手線と東海道本線と京浜東北線を同時発車するダイヤを組められるのかもしれないけれども、意味が無いからそうしないけれども阪急は沿線開発で10分間隔の三本線同時発車を行っても丁度旅客輸送需要に見合うよう整備した。

 9000系電車は京都本線には運行されず、9300系の転換式クロスシート車をロングシートに、しかし9000系のほうが少し先に運用開始になった車両なのですけれども、梅田駅でこれら車両が、いや新旧車輛も含めて一堂に会する情景というものは、気づけばいい日常です。

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臨時情報-イスラエル情勢,ガザ地区ハマス攻撃事案へイスラエル軍地上戦開始間近の懸念

2023-10-15 00:44:41 | 国際・政治
■臨時情報-イスラエル情勢
 イスラエル軍のガザ軍事行動に関する今回の目標について。一週間前の市民を示威的な標的としての攻撃と非戦闘員の組織的拉致を行った事へ報復は別として再発防止措置を執る事は絶対避けて通れません、その方向性について。

 ハマス壊滅を目指す、とネタニヤフ首相は発言していますが、200万と名古屋市なみの人口を有するガザに対して、考えにくいのは徹底的な焦土作戦を行うことで、市街戦は防御側に有利であることを歴史が示しています。すると、現在イスラエル軍は人道回廊を二本設定していますが、攻撃軸はこの二本の人道回廊で、錯綜地形に入ることはないのではないか。

 市街戦。もちろん完全に回避することは出来ない、特に、ハマスは多数の拉致被害者とともにガザ地区へ籠っている、何名生存しているかは別としてイスラエル市民を相当数の外国人とともに人質としています。ただ、イラク戦争のファルージャ市街戦のような総力を挙げての掃討戦は行わず、空挺部隊と特殊部隊サイエレットなどに限定し、行うのではないか。

 攻撃軸は人道回廊で、恐らく先ず防護壁の数カ所からと、海軍の支援の及ぶ沿岸部に設定された人道回廊まで現役兵を中心とした攻撃部隊を一気に送り込み、ガザ包囲部隊と連携し、建物に対する攻撃を行う。人道回廊であれば2007年南レバノン戦争の時のような、道路の真下に機雷を敷設され、メルカヴァMkⅣさえも吹き飛ばされる、ということは起こり難い。

 人道回廊が一本から二本に拡大されまして、人道回廊を使える時間を区切るとともに、恐らくイスラエル軍は最大限この人道回廊を監視し、もちろんハマスの移動手段として用いることを阻止しつつ、監視によりどの程度人道回路設定期間終了後にイスラエル軍の攻撃軸として用いられるかを慎重に評価しているのではないか。市街戦は可能な限り避けるべく。

 人道回廊を設定し、住民退避に活用しつつ、この回廊を徹底的に監視して安全性を確認したうえで、拠点となる、もしくはなり得る建物を破壊することで、力の示威、住民からしましたらたまったものではないけれども、建物は後で修復させることが、少なくとも人命よりは修復が可能という、その上で、ガザ地区住民とハマスの隔離を目指すのではないか、と。

 殲滅戦はイスラエルも歓迎しない、もちろん殲滅戦以外の選択肢がなくなれば、これを選ばざるを得なくなるのですが、ハマスが民衆からの支持を失い、若しくは最後に占拠を起こいなってから相当期間を経ていますので、これでも武装闘争を続けるハマスを支持するということで良いのですね、という徹底した破壊を示威行動として見せるけることの方が重要だ。

 2007年の選挙においてハマスは勝利し、民主的な正当性を得た、と説明されますが、これももう16年前の選挙であり、結果的に、”武装闘争を掲げるハマス”と”ハマスを支持する民主主義の正当性と正統性”というものが、16年間の選挙を行わない事による正統性の確認が取れ得ない状況になっている、住民は武装闘争を支持しているのか、疑問符に繋がる。

 イスラエル軍が圧倒的な動員兵力によりガザ地区攻撃を行う、ハマスとしてはここで得意の近接戦闘に持ち込み出血を強要する、という運用が考えられるのですが、人道回廊を攻撃軸として、それほど錯綜した市街地に立ち入らない事で、簡易爆発物などの脅威に接近せず、戦車砲と砲迫火力を駆使し、そしてハマスを殲滅するのではなく民主支持から遠ざける、と。

 長期戦は難しい、何故なら人口900万のイスラエルが36万の兵力を動員し、現役兵と合わせ50万の兵力を一時的に確保している、貴重な労働力が動員されている状況ですので、長引けばイスラエル経済に深刻な影響が及ぶ、これはイスラエルも、ハマスも理解しているはずです。ただ、短期間で出血を強要される状況も避けなければ。すると行えることは。

 民衆支持から遠ざける、という任務は、要するに都市部を瓦礫の山に変えるとともに、ハマスを支持する武装闘争ではなく、同じパレスチナ自治区のヨルダン川西岸地区で正統性を保つファタハのような、イスラエルとの共存路線に転換する支持層が生まれるよう、やや強要する動きではあるのですけれども、ハマスから支持を遠のかせ干上がらせるということ。

 人道回廊を当初一本設定していましたが、一本だけでは側面を突かれた際にマーケットガーデン作戦の二の舞、つまり寸断されやすくなる状況に陥るのですが、二本設定した人道回廊ならば、相互に連携ができる、ガザ地区は海岸に面して細長いために内部に入らずとも挟撃はしやすい地形を生かし、近接戦闘より火力を活かした攻撃を行うのでは、と思うのです。

 市街戦を避ける選択肢はないのか。最後に、こうした素朴な問いに対してですが、今回、不随被害ではなく明白な標的として市民だけを選んで殺害した行為は、ハマスのテロ行為に当たります、あんなものはイスラエルでもブチャでも許されません、勿論東京でも。しかし、ガザ地区が自治政府を通じて実行犯の武装解除と捕虜としての投降を行えば、話は別です。

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