北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

令和五年度一月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2024.01.20-2024.01.21)

2024-01-19 20:22:05 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 残念ですが入間航空祭は中止となっていますのでお出かけ予定の方は最新情報をご留意ください。

 今週末は入間基地航空祭が開催される予定でしたが、残念ながら能登半島地震災害派遣が優先され、入間基地航空祭は中止となりました。入間基地はC-1輸送機が配備されている実任務部隊として最後の部隊であり、かつC-1輸送機は年度末に退役が予定されているため、最後の航空祭となる見通しでしたが、災害派遣が優先となりますと仕方ありません。

 航空祭は、特に展示飛行を実施する為、先ず飛行展示が航空法や航空機性能と比較して可能なのかを精査し、その上で練成飛行を経て予行に臨み、そして本番の飛行展示を行います。このため、20日の航空祭本番を迎えるならば12月より準備しているものを1月の訓練始めの後に直ぐに予行を開始しなければならない、そんな時期に発生しました地震です。

 C-1輸送機、速度と機動性を重視し錯綜地形の覆い日本本土での運用を第一に設計された素晴らしい輸送機なのですが、なにしろその設計はお故意縄返還前の時代のもので、航続距離の限界とともに、耐用年数も限界を迎えています。ただ、航空祭は最後の晴れ舞台でもありましたから、そのC-1輸送機が震災で晴れ舞台も無くなる事はただただ残念という。

 入間基地、今回の能登半島地震により能登半島が被災し、現地には航空自衛隊輪島分屯基地、レーダーサイトがあったことからレーダーサイトは震災初日に被災者収容や輪島市へのリエゾン派遣などを実施しています。そしてこの分屯基地、という位置づけなのですが、入間基地の分屯基地、そして部隊は中部方面警戒管制団の隷下部隊となっている事情が。

 中部方面警戒管制団司令が入間基地司令であり、要するに入間基地司令の隷下部隊が被災地にあり、入間基地の分屯基地が被災している状況なので、災害派遣に注力したい、入間基地HPにはこう記されたうえで航空祭の中止が発表されています。航空祭、例年では儒一月三日文化の日に開催されるのですが、今年度は航空観閲式実施により延期されていて。

 C-1輸送機は、31機が量産されました。いや当初は60機程度の量産が見込まれていたのですが、量産開始後に1973年のオイルショック、第一次石油危機が発生、この為に防衛費もインフレによる狂乱物価のため、防衛費を増額しても製造費増大を抑えられない状況に陥り、結果的にほぼ半減した、という厳しい歴史がありまして、2個航空隊へ配備された。

 C-1輸送機には、アメリカのC-141輸送機のような胴体延長改修なども検討されたとはいうのですが、なにしろ実質的に調達数が半減しており、改造の為の試験費用も機数で割ればかなりの額となる為、航空自衛隊は不足する輸送機をC-1輸送機生産終了後、C-130H輸送機の導入により代替しています。そしてそのC-1,後継には国産のC-2輸送機が製造中だ。

 C-2輸送機については、当初26機の製造が計画されていたものの輸送機が大型化した為に輸送需要を機数削減した場合でも担える、という結論から調達数が削減される見通しです。C-1の後継機に1990年代にはアメリカのC-17輸送機が検討されたものの、輸送力の大きさから1個航空隊に2機あれば十分という財務当局の指摘を受け断念した歴史があります。

 C-1輸送機2個飛行隊の後継を極論ではあるものの、4機のC-17で置換えてしまっては即応機が確保出来ないなど問題が生じるため、C-2輸送機に、これまた政治的に収まったのですが、しかし結局2機とはいわないまでも飛行隊定数は削減されることとなり今に至る。その過渡期の航空祭というだけに期待していました故、ちょっと中止が残念なのですね。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭

・行事予定:特になし

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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臨時情報-イラン周辺情勢:イラン軍・革命防衛隊,イラク・パキスタンを相次ぎ攻撃しパキスタン軍が反撃

2024-01-19 07:00:40 | 国際・政治
■臨時情報-イラン周辺情勢
 安保法適用要件ではないのか。いま日本は能登半島地震や政治とカネの問題に耳目が集中していますが紅海航路封鎖危機とこの数日間の中東情勢変化により危機が醸成されています。

 イラン周辺情勢がここ数日間で急激に緊迫の度合いを増しています、それはイラン革命防衛隊が周辺国を次々に攻撃しており、口実はいずれも武装勢力やイスラエル秘密組織攻撃を掲げていますが、同様にイラン革命防衛隊が武器支援を行うイエメン武装勢力フーシ派により紅海海上の船舶攻撃が行われ続け、緊張がアラビア海とインド洋に拡大しかねない。

 イラク北部を攻撃。CNNが1月16日に報じたところによればイラン革命防衛隊は15日にイラク北部アルビルを弾道ミサイルで攻撃しました。革命防衛隊の主張によれば、アルビルにはイスラエル情報機関モサドの秘密基地があり、イラン反体制派テロ組織の拠点もあるとしています。ただ、この地域はクルド族自治区で少なくとも民間人4名が死亡した。

 アルビル攻撃に弾道弾が仕様されたとしていますが、弾道弾の命中精度は距離や機種にもよりますが決してピンポイント攻撃が出来るものではなく、イラン側が主張する秘密基地が在ったとして、飛行場規模や軍港規模のものではないかぎり弾道ミサイルでは命中させられません、そして衛星写真を見る限り弾道ミサイルの制度で狙える標的もありません。

 パキスタンを攻撃。CNNが1月17日に報じたところによれば、今度はイラン軍がパキスタン南西部を攻撃しました。イラン側の主張ではイラン国内の南西部バルチスタン州にある武装勢力ジャイシュアルアドルの基地2箇所を攻撃、CNNはイランのタスニム通信が報じた内容を引用しています。イランからの攻撃をパキスタン政府は厳しく抗議している。

 イランへパキスタン軍が報復攻撃を実施した、ロイター通信が1月18日に報じたところによれば、パキスタン外務省の発表としてパキスタン軍はイランのシスタンバルチェスタン州へ軍事攻撃を加え複数のテロリストを無力化したと発表しました。パキスタン外務省はパキスタン政府にこれ以上の状況拡大に関する関心は無い、と発言し沈静化を望んでいる。

 パキスタン軍の攻撃は、イラン軍に向けられたものではなく、イラン軍がパキスタン領内へ攻撃を行った事への報復措置ではあるもののイラン軍がパキスタンに行ったようにパキスタンがイラン領内の武装勢力を攻撃する事で双方の直接衝突を避ける狙いがあるとも解釈できますが、16日のイラクへの攻撃を含め、イランの行動が先が読めないという問題が。

 紅海での船舶攻撃が現在拡大しており、2023年12月25日にロイター通信などが報じたように、インド洋のインドから200浬海域においてリベリア船籍の日本タンカーが国籍不明無人機の攻撃を受けた事案があり、インド政府が衝撃を受けました。イランは関与を否定していますが、過去イランが船舶攻撃を認める事例も多くはない為、懸念が生じています。

 日本タンカー攻撃事案は、インド洋のインド近海まで飛翔させる航続距離の大きな無人機は、イエメンから飛翔したとは考えにくく、イラン政府が関与を否定したとしてもどうしてもイラン領内から、イラン政府とは独立している革命防衛隊等が関与したと解釈せざるを得ない状況があり、現在の紅海シーレーンへの脅威が一挙に広範囲化する懸念がある。

 欧州アジア航路は多くの船舶が現在紅海を避けスエズ運河を通らず喜望峰経由航路に変針している、これはスエズ運河通行料が国家財政の基幹であるエジプト政府へも衝撃を与えていますが、更にアラビア海やインド洋北部を避けねばならない場合、オーストラリア経由航路を執らざるを得なくなる可能性もあります。スエズ運河とともにもう一つの問題が。

 パナマ運河の水位低下がもう一つの問題です、閘門方式を用いるパナマ運河は現在雨量不足から水位低下による閘門使用制限という問題が生じていて、スエズ運河に代えてパナマ運河から欧州とアジアを結ぶという選択肢も難しくなっています。すでにフーシ派船舶攻撃開始以降、30ftコンテナ欧州アジア輸送料は2.3倍に高騰、更に上昇の懸念があるのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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