■グランドデザイン
ミサイル時代への転換を進める防衛力についてですが日本はどのような"戦争"といいますか最悪の場合での"防衛"を考えてゆくべきなのかについて。
陸上防衛のグランドデザインをどのように考えるのか。現在、陸上自衛隊は特科の時代を迎えつつある、具体的には島嶼部防衛用極超音速滑空弾大隊の創設や、地対艦ミサイル部隊の大幅な射程延伸、これにより首都圏近郊の部隊が北京さえ射程に含むこととなる、こうした意味での改編です。しかし従来型防衛力はどうあるべきか。
陸上自衛隊が全てミサイル部隊へ転換することは考えにくいのです。実際問題、地対艦ミサイル連隊についても能力向上は示されているが普通科連隊を改編するような動きはありません。一方で、普通科連隊を主体とした基盤的防衛力は既に過去のものとなりました、動的防衛力や統合機動防衛力や多次元機動防衛力整備がこれに当たる。
即応機動連隊や水陸機動連隊が続々と改編や新編されることとなりましたが、問題はこの機動連隊改編が将来の防衛力整備に合致しているのか、ということともに、この疑問符を陸上自衛隊自身が有しているからこそ、全ての普通科連隊を機動連隊へ改編することに踏み切れず、結果的に中途半端な防衛力となっていまいました。
広域師団、わたしは2005年以降、連綿と自衛隊の師団を大型化し、それはもちろん師団数が減ることに直結するのですけれども、重厚な防衛力を提示してきました。ただ、近年は即応機動連隊を基点に、この広域師団を構成する基幹部隊について、即応機動連隊型の部隊が基本編成として必要であるとの持論を展開してきました。
装甲機動旅団と航空機動旅団、この即応機動連隊型の編成を提示する前には、陸上自衛隊の編成を二つの旅団、真駒内の第11旅団型の戦車大隊をもち普通科連隊が一定程度装甲車を持つ編成に特科隊を有する編成と、相馬原の第12旅団型のヘリコプター隊を持ち、軽量だが空輸に対応した装備で揃えた普通科連隊を基幹とする。
第11旅団型の編成と第12旅団型の編成部隊で師団を構成すべき、という持論を即応機動連隊新編までは考えていたのですが、第15即応機動連隊の新編行事に際して、続々と公道を渡り式典会場に集結する機動戦闘車と、そして先に入場を終えて長い車列を組んでいる装輪装甲車に驚かされ、諸兵科連合編成に着目するようになる。
諸職種連合編成部隊はアメリカなどが諸兵科連合編成を定着させ、中国が追随し合成旅団という編成を採用しています。いわば、米中とあわせ世界の主流を構成しているように見えますし、考えればロシアのBTG大隊戦術群の編成も、砲兵偏重ではありますがこの諸兵科連合編成であり、世界の趨勢をなぞっているように思う。
しかし、これがどのような経緯により構成されたのかを理解しなければ、外側の輪郭だけ模倣しても必要な能力はえられません。アメリカの諸兵科連合編成は、自己完結型の旅団、機甲旅団戦闘団とストライカー旅団戦闘団と歩兵旅団戦闘団を編成し、師団の隷下に置く編成です。この独立旅団方式は中国も模倣しました。
重型合成旅団、中型合成旅団、軽型合成旅団、と。中国とアメリカの違いはアメリカが指揮階梯に師団を置いていますが、中国の場合は集団軍が階梯として置かれている。ただ、双方の編成は似ていますが、目的は異なります、アメリカの旅団戦闘団は師団内での部隊運用ローテーションを念頭としていました、師団ではなく。
旅団戦闘団を自己完結型のミニ師団のように位置づける。その目的は、海外派遣の増大です。アメリカは旅団戦闘団を、特にストライカー旅団の時代には、イラクとアフガニスタンに韓国、最前線を複数抱えていました。そして、一個師団をまるまる派遣しますと、ローテーションが組めず長期的な任務が対応できません。
第1騎兵師団をイラクに、第82空挺師団をアフガンに、第2歩兵師団を韓国に、これは一例なのですが、こう設定した場合、隷下の3個旅団戦闘団は、4ヶ月のサイクルでローテーションしますと、一周まわれば一年経つ、次の年は、第1機甲師団をイラクに、第101空挺師団をアフガンに、第3機械化歩兵師団を韓国に、と。
中国の合成旅団編成は、その背景が謎です。一見してアメリカをまねたように思える、ドイツやフランスは必要に応じて戦闘団を組みますので機能別編成旅団を二つの巨大師団隷下においている編成です。第1機甲師団と第3機甲師団、第1装甲師団と第10装甲師団、という方式で。NATOは即座に戦闘団を組む練度がある故だ。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
ミサイル時代への転換を進める防衛力についてですが日本はどのような"戦争"といいますか最悪の場合での"防衛"を考えてゆくべきなのかについて。
陸上防衛のグランドデザインをどのように考えるのか。現在、陸上自衛隊は特科の時代を迎えつつある、具体的には島嶼部防衛用極超音速滑空弾大隊の創設や、地対艦ミサイル部隊の大幅な射程延伸、これにより首都圏近郊の部隊が北京さえ射程に含むこととなる、こうした意味での改編です。しかし従来型防衛力はどうあるべきか。
陸上自衛隊が全てミサイル部隊へ転換することは考えにくいのです。実際問題、地対艦ミサイル連隊についても能力向上は示されているが普通科連隊を改編するような動きはありません。一方で、普通科連隊を主体とした基盤的防衛力は既に過去のものとなりました、動的防衛力や統合機動防衛力や多次元機動防衛力整備がこれに当たる。
即応機動連隊や水陸機動連隊が続々と改編や新編されることとなりましたが、問題はこの機動連隊改編が将来の防衛力整備に合致しているのか、ということともに、この疑問符を陸上自衛隊自身が有しているからこそ、全ての普通科連隊を機動連隊へ改編することに踏み切れず、結果的に中途半端な防衛力となっていまいました。
広域師団、わたしは2005年以降、連綿と自衛隊の師団を大型化し、それはもちろん師団数が減ることに直結するのですけれども、重厚な防衛力を提示してきました。ただ、近年は即応機動連隊を基点に、この広域師団を構成する基幹部隊について、即応機動連隊型の部隊が基本編成として必要であるとの持論を展開してきました。
装甲機動旅団と航空機動旅団、この即応機動連隊型の編成を提示する前には、陸上自衛隊の編成を二つの旅団、真駒内の第11旅団型の戦車大隊をもち普通科連隊が一定程度装甲車を持つ編成に特科隊を有する編成と、相馬原の第12旅団型のヘリコプター隊を持ち、軽量だが空輸に対応した装備で揃えた普通科連隊を基幹とする。
第11旅団型の編成と第12旅団型の編成部隊で師団を構成すべき、という持論を即応機動連隊新編までは考えていたのですが、第15即応機動連隊の新編行事に際して、続々と公道を渡り式典会場に集結する機動戦闘車と、そして先に入場を終えて長い車列を組んでいる装輪装甲車に驚かされ、諸兵科連合編成に着目するようになる。
諸職種連合編成部隊はアメリカなどが諸兵科連合編成を定着させ、中国が追随し合成旅団という編成を採用しています。いわば、米中とあわせ世界の主流を構成しているように見えますし、考えればロシアのBTG大隊戦術群の編成も、砲兵偏重ではありますがこの諸兵科連合編成であり、世界の趨勢をなぞっているように思う。
しかし、これがどのような経緯により構成されたのかを理解しなければ、外側の輪郭だけ模倣しても必要な能力はえられません。アメリカの諸兵科連合編成は、自己完結型の旅団、機甲旅団戦闘団とストライカー旅団戦闘団と歩兵旅団戦闘団を編成し、師団の隷下に置く編成です。この独立旅団方式は中国も模倣しました。
重型合成旅団、中型合成旅団、軽型合成旅団、と。中国とアメリカの違いはアメリカが指揮階梯に師団を置いていますが、中国の場合は集団軍が階梯として置かれている。ただ、双方の編成は似ていますが、目的は異なります、アメリカの旅団戦闘団は師団内での部隊運用ローテーションを念頭としていました、師団ではなく。
旅団戦闘団を自己完結型のミニ師団のように位置づける。その目的は、海外派遣の増大です。アメリカは旅団戦闘団を、特にストライカー旅団の時代には、イラクとアフガニスタンに韓国、最前線を複数抱えていました。そして、一個師団をまるまる派遣しますと、ローテーションが組めず長期的な任務が対応できません。
第1騎兵師団をイラクに、第82空挺師団をアフガンに、第2歩兵師団を韓国に、これは一例なのですが、こう設定した場合、隷下の3個旅団戦闘団は、4ヶ月のサイクルでローテーションしますと、一周まわれば一年経つ、次の年は、第1機甲師団をイラクに、第101空挺師団をアフガンに、第3機械化歩兵師団を韓国に、と。
中国の合成旅団編成は、その背景が謎です。一見してアメリカをまねたように思える、ドイツやフランスは必要に応じて戦闘団を組みますので機能別編成旅団を二つの巨大師団隷下においている編成です。第1機甲師団と第3機甲師団、第1装甲師団と第10装甲師団、という方式で。NATOは即座に戦闘団を組む練度がある故だ。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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