北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【防衛情報】新空母福建電磁カタパルト試験と054B型フリゲイト一番艦進水式,J-16戦闘機ARゴーグル整備能力

2024-01-29 20:23:21 | 先端軍事テクノロジー
■防衛フォーラム
 Su-30戦闘機のインド空軍運用機の実物を百里基地で前に見ましたが巨大な機体を中国は電磁カタパルトで飛ばそうとしている。

 中国海軍が導入する新空母福建が電磁カタパルト試験を実施したもようです。これは11月、造船所において建造中の福建前方に大きな水柱が立つ映像とともに、福建艦上では巨大なダミーペイロードの設置が確認されていて、電磁カタパルトの実用化がみのればアメリカ海軍のジェラルドFフォード級原子力空母につづいての世界第二例目となります。

 福建はこれまで中国海軍が導入、そして建造した航空母艦がスキージャンプ台方式の発艦装置を採用、これは艦載機の発艦重量を著しく制約するもので航空燃料や兵装を制約するものでした。アメリカ海軍やフランス海軍などは蒸気カタパルトを採用し、しかし中国も過去幾度か研究は行ったものの蒸気カタパルトの取得や開発に成功していません。

電磁カタパルトは大量の電力を消費するため、福建の発電能力が一日当たりの空母発艦能力を左右することとなりますが、複雑な蒸気機構と蒸気を用いる際の宿命となる動作機構への蒸気による劣化という問題を考慮せずとも良い利点はあります。実用艦に搭載される異常は十分技術蓄積が為されていると考えますが、その程度は現段階で未知数です。
■054B型フリゲイト
 むらさめ型護衛艦と同程度の水上戦闘艦ということで江田島の写真で代用ですが中国海軍の倍は造船所の多さから建造速度が凄い。

 中国海軍は最新型の054B型フリゲイト一番艦の進水式を実施したもようです。これは広州黄埔文沖造船廠において進められている次世代水上戦闘艦で、中国海軍がこの二十年間にわたり大量建造してきました、一万tクラスの055型防空駆逐艦や052D型防空駆逐艦とは異なる設計思想と運用思想に基づく水上戦闘艦となるもよう。

 055型防空駆逐艦や052D型防空駆逐艦は、中国海軍が2010年代を中心に重点的に進めてきました空母機動部隊における護衛艦という位置づけであり、ようやく実現した航空母艦を対艦ミサイルや航空攻撃から防衛するための運用思想に最適化されたものでした。しかし、054B型フリゲイトは054型フリゲイトなど、単体運用を念頭に置いています。

 054B型フリゲイトは054A型フリゲイトよりも全長で一割以上延長し、全長は推測値で150m弱、全幅も17m程度ある、中央船楼部分には多機能レーダーを頂点に備えたマストと、後部にアンテナポール式マストを備え、またVLS垂直発射装置も052型防空駆逐艦と同程度まで大型化し、アフリカ沖など遠隔地運用に耐える大きさとなりました。
■057型コルベット
 日本の護衛艦ゆうばり型を進化させたような感じの小ぶりな水上戦闘艦だ。

 中国海軍は新しく057型コルベットの建造を開始しました。これは旅順工廠において進められている新型艦の建造が中国国内Web媒体などで掲載されているもので、大量に建造された056型コルベットの後継艦と目されています、056型コルベットは中国では江島級コルベットといい、2012年から2020年に掛け72隻が建造されています。

 056型コルベットは満載排水量1500t、しかし中国海軍が1980年代から1990年代にかけ大量建造した魚雷艇やミサイル艇を一気に置き換える計画でステルス性を重視した船体には76mm艦砲とYJ-83艦対艦ミサイルにHHQ-10個艦防空ミサイルとYu-7短魚雷発射装置、無人機用飛行甲板を備えるなど相応に重武装を備えた設計を採用しました。

 057型コルベットは、この056型コルベットよりも重武装化していることが画像などから判明しており、少なくともVLS垂直発射装置を備えていて、艦橋構造物も前甲板のVLS搭載に併せて拡大しているほか、76mm艦砲はステルスシールドに遮蔽される本格的なステルス艦となるもようです。なお、大量に建造されるのかについては未知数です。
■ARゴーグル
 ARゴーグルがあれば確かに新兵さんでも複雑な整備が可能となるのかもしれません。

 中国空軍はJ-16戦闘機へARゴーグルによる整備能力を付与しました。これは中国CCTVが12月7日に放映した軍事特集において示されたもので、AR拡張型現実の能力を活かして整備兵が装着したARゴーグルの先に航空機のどの部分をどのように整備するかの情報を投影するもの。理論上は全く未経験の整備兵も新型戦闘機を整備できるもの。

 J-16戦闘機は元々の設計がソ連製Su-27戦闘機を基本としたものであり、これは徴集された兵士に対して整備を行うようある程度単純な設計を採用していましたが、中国の独自性能盛り込みにより能力向上が続けたれ、エンジンの換装とともにSu-30戦闘機と比較した場合でも優位点の多い機体となった一方、整備なども煩雑なものとなっていました。

 AR拡張型現実によるARゴーグルは既に産業分野において、特に製造業で実施されています。これは第二次世界大戦中に日本でも実施していた方式の円緒戦上で、幻灯機、プロジェクターを組み立てや作業部材に照射し生産性を高めていた方法をさらに洗練させたものですが、中国ではこれを軍事分野に応用し、航空機稼働率を高める狙いです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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臨時情報-ミサイル防衛:北朝鮮軍,日本海に向け新型プルファサル3-31型巡航ミサイル連続発射

2024-01-29 07:00:26 | 防衛・安全保障
■臨時情報-ミサイル防衛
 この二年間で北朝鮮はロシアへのウクライナ侵攻軍事物資援助を強化し、逆にその見返りとして何らかの技術支援や物資支援を受けていると思われてきました。

 北朝鮮軍は先週と今週、日本海に向け複数の巡航ミサイル発射実験を実施した、韓国統合参謀本部が発表しました。日本海におけるミサイル防衛は自衛隊は弾道ミサイルに偏重しており巡航ミサイル防衛は今後何らかの準備を整える必要があるのかもしれません、それは巡航ミサイルが弾道ミサイルと比較して迎撃は容易であるものの、探知の難しさです。

 プルファサル3-31型巡航ミサイル、発射されたのはプルファサル3-31型巡航ミサイルという北朝鮮が核弾頭搭載可能である戦略巡航ミサイルとして新しく開発したもので、射程から自衛隊基地や在日米軍基地を攻撃するものと考えられるもの。発射は24日と28日に行われています。そして韓国統合参謀本部によれば、更なる発射の兆候もあるとのこと。

 早期警戒機による上空警戒の必要性が生じる。巡航ミサイルの迎撃は、巡航ミサイルが弾道ミサイルと比較して低速であり、ペトリオットミサイルや03式中距離地対空誘導弾は勿論、護衛艦に搭載するESSMや師団と旅団などに配備している11式短距離地対空誘導弾でも撃墜はそれほど難しい物ではありません、問題は低空を飛行するという点にあります。

 日本海側のレーダーサイトは低空目標でも100km以遠で探知する事は可能でしょうが、亜音速で飛翔する巡航ミサイルは100kmの距離を数分で突破してしまうため、低空を警戒可能である早期警戒機が必要となります。もちろん、1976年のMiG-25函館亡命事件を契機に航空自衛隊はE-2C早期警戒機を導入、日本海での警戒監視を実施した実例がありました。

 2013年の沖縄中国機領空侵犯事件でもE-2C早期警戒機を那覇に前方展開、後に早期警戒機を増強して新しい飛行隊を創設しました。自衛隊は既に浜松基地にE-767早期警戒管制機を導入していますが、何れも運用開始から25年前後を経ており、老朽化も進んでいます。もっともNATOやアメリカとサウジアラビアのE-3早期警戒管制機がより長いのですが。

 E-767は4機のみであり、もちろん大型のボーイング767を利用した航空機である為に交代要員の待機区画が有り飛行時間は10時間を超え、KC-767空中給油輸送機の空中給油支援を受けるならば更に滞空時間を延伸させる事は可能です。しかしそれでも4機だけの早期警戒管制機により永続的な上空待機は難しいため、何らかの措置を取る必要がある。

 E-2D早期警戒機という、自衛隊は更に小型の早期警戒機を配備し増強していますが、空母艦載機であるE-2Cの後継機であるE-2Dは機内が狭く、交代要員が搭乗できず休憩区画は勿論、実質トイレに移動する事さえ、朝の山手線や京都線新快速を隣の隣の車両に移動するような、困難さを伴うために現実的ではなく、五時間以上の滞空は現実ではありません。

 E-7A早期警戒機、残念ながら地対空ミサイルや空対空ミサイルの長射程化により従来の後方から戦域全般を管制するという早期警戒管制機の安全は以前ほど盤石ではなく、実際今年に入りロシアのA-50早期警戒管制機がウクライナ空軍に撃墜されています。このため、ボーイング737を用いたE-7A早期警戒機がアメリカやNATO,イギリスで採用され始めた。

 RQ-4グローバルホークを滞空させるという選択肢はありますが、無人機である故に36時間の滞空が可能ですが偵察機である為にレーダーセンサーの性能が限られます。すると、E-767の後継機を選定する際にE-7A早期警戒機とした際、機内容積が狭い為という事情を着けてでもE-767の4機を8機程度に増強するなど、何らかの措置が必要になるでしょう。

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