北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

令和五年度一月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2024.01.06-2024.01.07)

2024-01-05 20:21:06 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 みなさま令和六年となりましたが年始そうそう元旦に大変な災害が発生しましてごぶじでしたでしょうか。こうした中ですが今回は行事紹介ですがさて。

 第1空挺団降下訓練始め。7日に実施予定なのですが、やるのか、やらないのか、第1空挺団の発表は実施予定のままです。予定、ならば行うのだろうと思われるかもしれませんが、悩ましいのは、規模が8か国多国籍空挺部隊参加という過去にない参加部隊、対して1月1日に発生しました能登半島地震の影響、特に災害派遣部隊を拡大するのか、ということ。

 多国籍空挺部隊、さてこの編成はかなりの規模でして先ず第5空軍第374空輸航空団が輸送機を参加、アメリカ陸軍は第82空挺師団、第11空挺師団、第1特殊作戦群、アメリカ海兵隊は第3海兵遠征軍を派遣するという、インチョン上陸作戦やノルマンディー上陸作戦に臨むような陣容です。もちろん全力で参加するのではなく増強小隊規模の参加という。

 ドイツ連邦軍即応作戦師団、オランダ第11空中機動旅団、フランス第11落下傘旅団、イギリス第16空中強襲旅団、カナダ軍特殊作戦群、インドネシア第18歩兵旅団、昨年参加したイギリスとオーストラリアにアメリカという規模が霞む様なかなり大きな規模となっていまして、NATOとのパートナー提携を強化する日本の安保政策からも重要な訓練です。

 能登半島地震の発災とともに、不可能だろう、と考えたのですが、実質、COVID-19の武漢拡大の最中にも実施していたのですし、という指摘を頂きまして、しかし空挺団も御役所、三が日は昨年末の実施予定というSNS-Xの表示がそのまま。東日本大震災や阪神大震災規模の災害ではなく、北海道南西沖地震規模の災害ではありましたが、可否はどうか。

 公式発表は4日1641時に第一空挺団SNS-Xのポストとして実施予定、という発表がありました。実際、7日の予定ですから前入りする方は6日には千葉入りし、習志野訓練場界隈のホテルはほぼ満室という状況ですが、驚いたのは本日5日午前中の段階で第一空挺団SNS-Xを確認しますと、昨年末の実施予定のまま、4日のXポストが観られない状態に。

 行事予定としては、実施予定、と紹介する他ないのですが、2021年や2022年のように一般非公開で実施するのか、第1空挺団が災害派遣待機態勢に入るのか。第1空挺団は、大臣直轄部隊ですが平時には東部方面隊隷下、新潟県内の二次被害が拡大するならば第12旅団を支援する形で投入されるところでしょうが、どういう状況なのかみえないところです。

 第2師団派遣。ただ、本日状況が変わったようで、旭川の第2師団より入浴支援へ第2後方支援連隊が派遣される事が決定しました、重ねて東北方面隊と西部方面隊からも東北方面後方支援隊の派遣が開始、西部方面隊は西部方面入浴支援隊を臨時編成したとのことで、自衛隊は入浴支援へ全力、すると第1空挺団も大規模な派遣を想定し得る状況なのか、と。

 空挺団、事前訓練は実施されていますので、一般公開を行うのか、若しくは訓練内容を変更する事は有得る事です、北大路機関広報では“情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある”と記載していますとおりです。最新情報は第二北大路機関の方に掲載しますので重ねてご覧ください。

 第二北大路機関の知名度、これは毎年痛感するのですが、もう少し高めたいところです。速報性は北大路機関よりも第二北大路機関の方が投稿の容易さから素早く、能登半島地震についても1日1620時に最初の記事を投稿しています。降下訓練始め、5日1944時時点では実施予定とのことですが、どうか公式SNSなど最新の情報をご確認ください。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭

・1月7日:令和六年第一空挺団降下訓練始め

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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令和6年能登半島地震検証:初動左右した能登空港活用可否と自治体に必要なマネジメント能力

2024-01-05 07:00:06 | 防災・災害派遣
■臨時情報-能登半島地震
 テレビの前で勝手な持論を出す事は憚れるべき視座ですが、しかし検討の上で却下されたのではなく検討さえせず幾つかの重要な施策が放置されているとしたならばどうでしょう。

 能登半島地震、災害対処の様子を見ますと、能登半島自治体は昨年と一昨年に繰り返される震度六クラスの地震災害とともに、もう少し防災能力が高かったように思ったのですが、現状は情報収集は勿論、自治体能力を超えているという時点で対処能力が輻輳を起こしているように思えます。もちろん、高齢化、過疎化、財源不足、色々あるのは理解する。

 自衛隊災害派遣、しかし現行法では地方地自法や災害救助法に基づき、防災と災害対処の一義的な主役は自治体であり、能力を超える災害であっても何が足りないのかを具体的に示して足りない能力を国に依存し救援を遂行する、つまりマネジメント業務というものは首長の所管です。自己判断で独断専行を、という制度を省いて法治主義があるのだから。

 神の視線、と揶揄される現場から遠いからこそ実情を無視した発言ができるという例えはありますが、例えば今回の能登半島地震、津波が珠洲市に大打撃を与え能登半島の輪島などが道路網が寸断され4日に漸く能登空港までの道路が回復しました。能登半島北部へは現在、海上輸送とヘリコプター空輸が生命線となっているのですが十分ではない。

 能登空港を自衛隊が拠点として運用できたならば状況は随分改善していなかったか。これこそ現場を知らないカミサマの視点だと批判される覚悟で、滑走路にひびが入り停電している空港ですが、管制塔が機能せずとも小松基地管制塔が航空管制を担えば自衛隊機だけならば運用できたのではないか、事実管制塔の無い福井空港は小松が管制している。

 C-1輸送機は最短600mの滑走路で離着陸できるため、2000m滑走路がある能登空港は真ん中が使えなくとも1000m滑走路として運用できるはずで、そもそもC-2輸送機とC-130H輸送機は滑走路が駄目ならば隣の草地で発着する不整地発着能力があるし、ひびくらいならば滑走路補修マットという、空爆された際に復旧に用いる機材を敷けばよい。

 しかし、前述の通り災害派遣として自衛隊は支援する側ですが、自治体が具体的にどのくらい支援が必要なのかということを示さなければ、がんばります、以上の言葉の効果はありません、何を頑張るのですか的な。災害に関してマネジメント能力が必要とされるわけです。今回は避難所というよりもどこにどれだけ孤立しているのかが把握できていない。

 能登空港に輸送機で中型ドーザやダンプカーとバケットローダを搬入できていれば、またできたことは変わったかもしれませんし、汎用軽機動車でも運び込めば孤立地域へ多少の往来は可能となります。汎用軽機動車は中部方面隊には配備されていませんがそう重いものではない、統合任務部隊として要請するならばV-22で搬入するのも難しくありません。

 連絡幹部派遣。自衛隊は石川県庁、福井県庁、長野県庁、新潟県庁へ迅速に連絡幹部を派遣し、輪島市へも連絡幹部を派遣しています。けれども、珠洲市や能登町といった地域へは派遣していません。輪島市へ派遣できたのは輪島分屯基地という能登半島唯一の自衛隊施設近傍であった為なのですが、珠洲市などは自治体機能を超え対応できていなかった。

 県庁への連絡幹部派遣ですが、石川県庁が珠洲市の情報を考慮出来ていたならば、UH-1JでもUH-2でもいいので多用途ヘリコプターで連絡幹部と通信陸曹を珠洲市や能登町へ派遣してほしい、と要請しているだけで、随分変わったのではないか。金沢の第14連隊以外に連絡幹部は要請さえあれば上級部隊の師団や方面隊から派遣できたはずです。

 海上輸送に期待したい。石川県知事発言がありましたが、金沢港艦艇広報として、ヘリコプター搭載護衛艦ひゅうが、ヘリコプター搭載護衛艦かが、輸送艦おおすみ型などを見ているでしょうし、少なくとも報道ではこの種の艦艇の存在を知っているでしょうから発言したのでしょう。けれども、輸送艦が全て広島の呉に配備されている事は知っていたのか。

 舞鶴基地には第3護衛隊群の第3護衛隊と第14護衛隊の護衛艦が配備されていますけれども、護衛艦の輸送能力にはもともと輸送を想定したものではありませんから、艦載機であるSH-60K哨戒ヘリコプターと搭載艇による輸送となり限界がある、物資輸送よりも金沢市などへの広域避難のための輸送手段として活用した方がよかったのかもしれません。

 おおすみ型輸送艦、海上自衛隊は1日には派遣を決定し2日には出航、4日には現地へLCACエアクッション揚陸艇を派遣しています。国際情勢のように事前情報で奇襲の懸念がある、というような把握できるものと地震は異なりますので、4日にLCACを揚陸できたのはかなり頑張った方だと思うのですが、被災地からしますと遅く感じたことでしょう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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