■特報:世界の防衛,最新論点
今回は各国の最新鋭水上戦闘艦の情報を紹介します、海上自衛隊の護衛艦建造などについても参考となる点は多いかもしれません。
アメリカ国防総省はイタリアのフィンカティエリ社に対しコンステレーション級ミサイルフリゲイト二番艦を5億5380万ドルで建造させる決定を発表した。これは5月21日に発表されたもので2020年4月30日の一番艦建造契約に続くものである。フィンカティエリ社はコンステレーション級ミサイルフリゲイトをアメリカウィスコンシン州で建造する。
コンステレーション級ミサイルフリゲイト二番艦の艦名はコングレス、この名前は1795年に初代大統領ジョージワシントンへ提出されたアメリカ海軍初の水上戦闘艦建造計画6隻のうちの一隻の名を継承したこととなる。新しく建造されるコンステレーション級フリゲイトはイタリア海軍のカルロベルガミーニ級フリゲイトをアメリカ海軍仕様としたものだ。
コングレスとコンステレーション級ミサイルフリゲイトはアーレイバーク級ミサイル駆逐艦を補完する低コスト艦として要求されたものだが、全長151mと満載排水量は7291tと大型でSPY-6(V)3レーダーを三面に装備しMk.41VLSを32セル、また長射程のNSM対艦ミサイル16発と57mm艦砲という極めて強力な水上戦闘艦だ。当面20隻が量産される。
■テグ級フリゲイトのテージョン
韓国海軍の水上戦闘艦は大型艦へ転換していますが重武装過ぎ荒天下での航行は大丈夫なのか心配してしまう。
韓国海軍はテグ級フリゲイトのテージョンを受領しました。テグ級フリゲイトは旧式化するウルサン級フリゲイトの後継艦として量産が進められる近海用フリゲイトです。ウルサン級は大量の艦砲と機関砲を搭載し北朝鮮軍が大量に保有する魚雷艇の飽和攻撃に対処する設計でしたが、そのために警戒監視任務など汎用性は限られたものとなっていました。
テグ級フリゲイトは基準排水量2800t、満載排水量3650t、全長122mで乗員は120名となっています。機関砲を重視していたウルサン級と比較し最大の相違点は対艦ミサイル戦を相応に重視したステルス設計と、そしてヘリコプター運用能力で後部には格納庫を有しています。127mm砲と海弓対空ミサイルをVLSに16発、海星対艦ミサイルを8発搭載する。
テージョンはテグ級フリゲイトの五番艦としてデーウー造船のオクポ造船所にて建造されました。テグ級フリゲイトは比較的強力な武装を有していますが、あくまで近海用であり乾舷が非常に低く、明らかに荒天時の日本海などは航行する事は出来ません。現在、韓国海軍は本型を一回り大型化したFFX-Ⅲを計画しており2024年から竣工を目指しています。
■31型フリゲイトの艦名
31型フリゲイトの艦名が一斉に発表されました。
イギリス海軍が建造を進める31型フリゲイトはアクティブ、ブルドッグ、キャンベルタウン、フォーミダブル、ベンチャー、と命名される、イギリス海軍第一海軍卿トニーラダキン提督が発表しました。31型フリゲイトは2027年から竣工が開始される最新鋭フリゲイトで、現在建造が進められている26型フリゲイトに続く23型フリゲイトの後継艦です。
31型フリゲイトは国防計画SDSR2015に基づき建造される水上戦闘艦で、ペルシャ湾岸地域やアジア太平洋地域での長期任務を想定した設計という。イギリス海軍では高性能な26型フリゲイトを英連邦のカナダやオーストラリアとともに建造していますが、31型フリゲイトはこれを廉価版とし、必要な数を揃えるハイローミックスの視点で建造されるもよう。
アクティブ、ブルドッグ、キャンベルタウン、フォーミダブル、ベンチャー、これらの艦艇は満載排水量5700tで全長138m、乗員は80名から100名で最大160名が乗艦、射程25kmのシーセプター対空ミサイルをVLSに24発搭載し57mmを1基と40mm機関砲2基及びAW-159やAW-101ヘリコプターの運用能力を持ち、28ノットの速力を発揮します。
■ポポヤンマー級コルベット
ポポヤンマーは現在機雷敷設艦に冠せられている名前を継承するもよう。
フィンランド海軍は新しく建造するポポヤンマー級コルベットへドイツのレンク社製WEドライブ電機推進統合ドライブ装置の導入を決定しました。30メガワットの統合電力を40000 hpのディーゼル発電機及びガスタービン発電機により適宜電力供給する能力が求められ、またフィンランド海軍の管轄海域である寒冷地での確実な動作が求められます。
ポポヤンマー級コルベットは満載排水量3900tとフィンランド海軍史上最大の水上戦闘艦となり、2028年までに4隻が建造されます。建造費用は13億ユーロで、フィンランド海軍では機雷敷設艦や400tクラスのミサイル艇複数を置換えるとのこと。水上戦闘から機雷戦まで対応するという設計はアメリカの沿海域戦闘艦運用思想を反映したものとされます。
ポポヤンマー級コルベットはフィンランド海軍艦艇として初めてヘリコプター格納庫を有し、57mm艦砲に加えイスラエル製ガブリエル3対艦ミサイルを搭載する強力な水上戦闘艦ですが、フィンランド最大の水上戦闘艦はヘルシンキ級ミサイル艇など500t程度のミサイルコルベットであることから、新型艦はフィンランドに過大だとの議論もあるようです。
■時事:フィリピン軍事故
ここからは水上戦闘艦特集から時事特集として最新の情報をお伝えします。
フィリピン空軍ではポーランド製ブラックホーク導入を進めつつ安全を確認している。2021年6月23日、フィリピン空軍第205戦術ヘリコプター飛行隊のS-70i多用途ヘリコプターが夜間飛行中に墜落した、事故機は現地時間2000時頃にクラーク空軍基地を発進し、その後墜落している。S-70iはポーランドのPZL社が組み立てたシコルスキーS-70である。
S-70i多用途ヘリコプターは軍用型としてシコルスキー社が製造するUH-60よりも安価で、15名の兵員を空輸、フィリピン政府は2019年に16機を2億4146万ドルにて取得契約し、事故発生までに11機を取得、また六月初旬に最後の5機がフィリピンへ空輸され最終試験中であるが、フィリピン空軍では事故発生を受け原因究明まで飛行を停止させる方針だ。
■時事:フィリピン輸送機墜落
事故は連続するといいますが。事故の根本原因が顕在化しますと墜落に居たり再発防止措置が効果を奏するまで同様条件での事故が続く構図なのでしょう。
フィリピン空軍では事故が相次いでいる、7月4日、フィリピン空軍最新鋭のC-130J輸送機がスールー州ホロ島の飛行場付近で着陸中墜落した。事故発生後10時間の報道で墜落機には92名が搭乗しており17名が死亡、40名が救助されたと報じられたが、事故20時間後の報道では死者53名と負傷者50名となり、地上の市民を巻き込む事態となっている。
C-130Jにはスールー州でのイスラム過激派への掃討作戦へ訓練を終えた兵士が搭乗している。フィリピン軍は長く国内治安作戦に特化した軍隊であったが、1992年にフィリピン政府がピナトゥボ火山噴火を契機に在比米軍駐留継続手続きを終了した結果、中国軍事圧力に曝されるところとなり、2010年代から過去例が無い程の最新装備導入を進めている。
■時事:シリアにキンジャール
アメリカのアフガニスタン撤収が進みますが、その間隙を縫うように戦力空白地帯をロシア軍が埋める状況です。F-2のような対艦攻撃機ではなく今後はこの種の装備が主流となるのやも。
ロシア軍はシリアフメイミム空軍基地へKh-47M2キンジャール極超音速ミサイルを搭載したMiG-31K戦闘機を展開させた。MiG-31のシリア展開は2015年8月に一度行われたとされている、トルコ国内報道が報じたがロシアは否定した。しかし今回MiG-31K戦闘機展開は発着の様子が確認され機体にはキンジャール極超音速ミサイルが装着されていた。
MiG-31は高高度超音速迎撃能力に特化したMiG-25戦闘機の発展型にあたり、高度3万mまで4分で上昇、5平方mの目標を282kmの距離で探知する能力があり、また複数のMiG-31を200kmの離隔で横一列で飛行させデータリンクにより結ぶことで擬似的な早期警戒機の機能を発揮する。ただ、特性上、防空専用機として以外の用途は限られていた。
Kh-47M2キンジャール極超音速ミサイルは9K720イスカンダル短距離弾道弾の空中発射型である、MiG-31の卓越した上昇性能を利用し、INF中距離核戦力全廃条約を受け射程を550kmとしていたイスカンダルを高高度から発射する事で射程を2000kmに延伸するとともに落下速度をマッハ10以上まで加速させ、ミサイル防衛システムを突破可能とされる。
■時事:シリア展開のロシア軍
ロシア軍の地中海展開は着々と演習などを通じ実績を伸ばしているようです、スラヴァ級は古い艦ではありますが実物を見ますと現代の砲艦外交という面持ち。
ロシア軍はシリアへの展開兵力を2021年に入り強化させている。ロシア国防省はフメイミム空軍基地へシリアとの合同演習時の写真を発表し、その写真にはKh-47M2キンジャール極超音速ミサイルを搭載したMiG-31K戦闘機が含まれている。またTu-22M3超音速爆撃機やIl-38対潜哨戒機展開も確認され、地中海沿岸にロシア軍の強力な兵力が展開した。
シリアのタルタス海軍基地にはミサイル巡洋艦モスクワが入港した、スラヴァ級ミサイル巡洋艦である。この他フリゲイト複数の展開と潜水艦の入港が確認されている。ロシア軍は黒海でのNATO軍行動を牽制すべく東地中海へ巨力な打撃力を展開させた構図で、フメイミム空軍基地とタルタス海軍基地の存在はNATOの地中海での行動に大きな影を落とす。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
今回は各国の最新鋭水上戦闘艦の情報を紹介します、海上自衛隊の護衛艦建造などについても参考となる点は多いかもしれません。
アメリカ国防総省はイタリアのフィンカティエリ社に対しコンステレーション級ミサイルフリゲイト二番艦を5億5380万ドルで建造させる決定を発表した。これは5月21日に発表されたもので2020年4月30日の一番艦建造契約に続くものである。フィンカティエリ社はコンステレーション級ミサイルフリゲイトをアメリカウィスコンシン州で建造する。
コンステレーション級ミサイルフリゲイト二番艦の艦名はコングレス、この名前は1795年に初代大統領ジョージワシントンへ提出されたアメリカ海軍初の水上戦闘艦建造計画6隻のうちの一隻の名を継承したこととなる。新しく建造されるコンステレーション級フリゲイトはイタリア海軍のカルロベルガミーニ級フリゲイトをアメリカ海軍仕様としたものだ。
コングレスとコンステレーション級ミサイルフリゲイトはアーレイバーク級ミサイル駆逐艦を補完する低コスト艦として要求されたものだが、全長151mと満載排水量は7291tと大型でSPY-6(V)3レーダーを三面に装備しMk.41VLSを32セル、また長射程のNSM対艦ミサイル16発と57mm艦砲という極めて強力な水上戦闘艦だ。当面20隻が量産される。
■テグ級フリゲイトのテージョン
韓国海軍の水上戦闘艦は大型艦へ転換していますが重武装過ぎ荒天下での航行は大丈夫なのか心配してしまう。
韓国海軍はテグ級フリゲイトのテージョンを受領しました。テグ級フリゲイトは旧式化するウルサン級フリゲイトの後継艦として量産が進められる近海用フリゲイトです。ウルサン級は大量の艦砲と機関砲を搭載し北朝鮮軍が大量に保有する魚雷艇の飽和攻撃に対処する設計でしたが、そのために警戒監視任務など汎用性は限られたものとなっていました。
テグ級フリゲイトは基準排水量2800t、満載排水量3650t、全長122mで乗員は120名となっています。機関砲を重視していたウルサン級と比較し最大の相違点は対艦ミサイル戦を相応に重視したステルス設計と、そしてヘリコプター運用能力で後部には格納庫を有しています。127mm砲と海弓対空ミサイルをVLSに16発、海星対艦ミサイルを8発搭載する。
テージョンはテグ級フリゲイトの五番艦としてデーウー造船のオクポ造船所にて建造されました。テグ級フリゲイトは比較的強力な武装を有していますが、あくまで近海用であり乾舷が非常に低く、明らかに荒天時の日本海などは航行する事は出来ません。現在、韓国海軍は本型を一回り大型化したFFX-Ⅲを計画しており2024年から竣工を目指しています。
■31型フリゲイトの艦名
31型フリゲイトの艦名が一斉に発表されました。
イギリス海軍が建造を進める31型フリゲイトはアクティブ、ブルドッグ、キャンベルタウン、フォーミダブル、ベンチャー、と命名される、イギリス海軍第一海軍卿トニーラダキン提督が発表しました。31型フリゲイトは2027年から竣工が開始される最新鋭フリゲイトで、現在建造が進められている26型フリゲイトに続く23型フリゲイトの後継艦です。
31型フリゲイトは国防計画SDSR2015に基づき建造される水上戦闘艦で、ペルシャ湾岸地域やアジア太平洋地域での長期任務を想定した設計という。イギリス海軍では高性能な26型フリゲイトを英連邦のカナダやオーストラリアとともに建造していますが、31型フリゲイトはこれを廉価版とし、必要な数を揃えるハイローミックスの視点で建造されるもよう。
アクティブ、ブルドッグ、キャンベルタウン、フォーミダブル、ベンチャー、これらの艦艇は満載排水量5700tで全長138m、乗員は80名から100名で最大160名が乗艦、射程25kmのシーセプター対空ミサイルをVLSに24発搭載し57mmを1基と40mm機関砲2基及びAW-159やAW-101ヘリコプターの運用能力を持ち、28ノットの速力を発揮します。
■ポポヤンマー級コルベット
ポポヤンマーは現在機雷敷設艦に冠せられている名前を継承するもよう。
フィンランド海軍は新しく建造するポポヤンマー級コルベットへドイツのレンク社製WEドライブ電機推進統合ドライブ装置の導入を決定しました。30メガワットの統合電力を40000 hpのディーゼル発電機及びガスタービン発電機により適宜電力供給する能力が求められ、またフィンランド海軍の管轄海域である寒冷地での確実な動作が求められます。
ポポヤンマー級コルベットは満載排水量3900tとフィンランド海軍史上最大の水上戦闘艦となり、2028年までに4隻が建造されます。建造費用は13億ユーロで、フィンランド海軍では機雷敷設艦や400tクラスのミサイル艇複数を置換えるとのこと。水上戦闘から機雷戦まで対応するという設計はアメリカの沿海域戦闘艦運用思想を反映したものとされます。
ポポヤンマー級コルベットはフィンランド海軍艦艇として初めてヘリコプター格納庫を有し、57mm艦砲に加えイスラエル製ガブリエル3対艦ミサイルを搭載する強力な水上戦闘艦ですが、フィンランド最大の水上戦闘艦はヘルシンキ級ミサイル艇など500t程度のミサイルコルベットであることから、新型艦はフィンランドに過大だとの議論もあるようです。
■時事:フィリピン軍事故
ここからは水上戦闘艦特集から時事特集として最新の情報をお伝えします。
フィリピン空軍ではポーランド製ブラックホーク導入を進めつつ安全を確認している。2021年6月23日、フィリピン空軍第205戦術ヘリコプター飛行隊のS-70i多用途ヘリコプターが夜間飛行中に墜落した、事故機は現地時間2000時頃にクラーク空軍基地を発進し、その後墜落している。S-70iはポーランドのPZL社が組み立てたシコルスキーS-70である。
S-70i多用途ヘリコプターは軍用型としてシコルスキー社が製造するUH-60よりも安価で、15名の兵員を空輸、フィリピン政府は2019年に16機を2億4146万ドルにて取得契約し、事故発生までに11機を取得、また六月初旬に最後の5機がフィリピンへ空輸され最終試験中であるが、フィリピン空軍では事故発生を受け原因究明まで飛行を停止させる方針だ。
■時事:フィリピン輸送機墜落
事故は連続するといいますが。事故の根本原因が顕在化しますと墜落に居たり再発防止措置が効果を奏するまで同様条件での事故が続く構図なのでしょう。
フィリピン空軍では事故が相次いでいる、7月4日、フィリピン空軍最新鋭のC-130J輸送機がスールー州ホロ島の飛行場付近で着陸中墜落した。事故発生後10時間の報道で墜落機には92名が搭乗しており17名が死亡、40名が救助されたと報じられたが、事故20時間後の報道では死者53名と負傷者50名となり、地上の市民を巻き込む事態となっている。
C-130Jにはスールー州でのイスラム過激派への掃討作戦へ訓練を終えた兵士が搭乗している。フィリピン軍は長く国内治安作戦に特化した軍隊であったが、1992年にフィリピン政府がピナトゥボ火山噴火を契機に在比米軍駐留継続手続きを終了した結果、中国軍事圧力に曝されるところとなり、2010年代から過去例が無い程の最新装備導入を進めている。
■時事:シリアにキンジャール
アメリカのアフガニスタン撤収が進みますが、その間隙を縫うように戦力空白地帯をロシア軍が埋める状況です。F-2のような対艦攻撃機ではなく今後はこの種の装備が主流となるのやも。
ロシア軍はシリアフメイミム空軍基地へKh-47M2キンジャール極超音速ミサイルを搭載したMiG-31K戦闘機を展開させた。MiG-31のシリア展開は2015年8月に一度行われたとされている、トルコ国内報道が報じたがロシアは否定した。しかし今回MiG-31K戦闘機展開は発着の様子が確認され機体にはキンジャール極超音速ミサイルが装着されていた。
MiG-31は高高度超音速迎撃能力に特化したMiG-25戦闘機の発展型にあたり、高度3万mまで4分で上昇、5平方mの目標を282kmの距離で探知する能力があり、また複数のMiG-31を200kmの離隔で横一列で飛行させデータリンクにより結ぶことで擬似的な早期警戒機の機能を発揮する。ただ、特性上、防空専用機として以外の用途は限られていた。
Kh-47M2キンジャール極超音速ミサイルは9K720イスカンダル短距離弾道弾の空中発射型である、MiG-31の卓越した上昇性能を利用し、INF中距離核戦力全廃条約を受け射程を550kmとしていたイスカンダルを高高度から発射する事で射程を2000kmに延伸するとともに落下速度をマッハ10以上まで加速させ、ミサイル防衛システムを突破可能とされる。
■時事:シリア展開のロシア軍
ロシア軍の地中海展開は着々と演習などを通じ実績を伸ばしているようです、スラヴァ級は古い艦ではありますが実物を見ますと現代の砲艦外交という面持ち。
ロシア軍はシリアへの展開兵力を2021年に入り強化させている。ロシア国防省はフメイミム空軍基地へシリアとの合同演習時の写真を発表し、その写真にはKh-47M2キンジャール極超音速ミサイルを搭載したMiG-31K戦闘機が含まれている。またTu-22M3超音速爆撃機やIl-38対潜哨戒機展開も確認され、地中海沿岸にロシア軍の強力な兵力が展開した。
シリアのタルタス海軍基地にはミサイル巡洋艦モスクワが入港した、スラヴァ級ミサイル巡洋艦である。この他フリゲイト複数の展開と潜水艦の入港が確認されている。ロシア軍は黒海でのNATO軍行動を牽制すべく東地中海へ巨力な打撃力を展開させた構図で、フメイミム空軍基地とタルタス海軍基地の存在はNATOの地中海での行動に大きな影を落とす。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
Bofors/BAEの57 mm 3P 速射砲を1門、40 mm 3P Mk.4 機関砲を2門と、SeaCeptorのCAMMミサイルランチャーを12セル保有します。ソナーは当面搭載しません(Fitted for but not with FFBNWと呼ばれる仕組み。「もがみ」型のVLSや、「あぶくま」型のRAMみたいなものです)。
船体も主エンジンも同じで、軽量化した分むしろ速力は上がるはずですが、デンマークIH級の30+ knot と比較して 29 knots となっています。おそらく英海軍の「最大速力」の条件が、デンマークと異なるのだろうと言われています(海況や満載状態か、かなど)。
「もがみ」型も真っ青なくらい割り切った設計で、フリゲート艦の船体に、コルベットの武装を施したものです。なにしろ 57mm/40mm 砲のFCSすら、レーダーなしの可視光・赤外・レーザー測距のものです。
兵装が軽すぎて物議を醸しています。が、そもそも 「4000t級の船体に、コルベットレベルの武装を施し、安価に仕上げる」という要求だったものを(T31 RFI ドキュメント参照)、Babcock社がデンマークのOMT社の設計のライセンスを得て、かなり大型の船体で提案したものが採用されましたので、むしろ、要求に比べて、船体が1.5倍ほど大きい、という面白い船です。
前線に長期展開して、哨戒任務に当たるとされています。
情報共有まで。。。
情報どうもです
すると、Iver Huitfeldt 級の繋がりで、アブサロン級の遠い親戚、となるのでしょうか
日本のFFMが落選し、イタリアのFREMMが採用された、インドネシアの新フリゲート計画にも提案されていましたが、落選しています。
この艦のコンセプトは、内部の容積を大きく取って、建造後のシステム実装を容易にする、というもので、要はがたいの割には内部容積の使い勝手は良くない=各パートに大きな余裕がある設計です。小さな空間に高度な戦闘システムを実装するのはとても値段がかかるので、一つの方法と思います。デンマークのIH級に至っては戦闘システムの艤装をデンマーク海軍自身が実施しています(世界で唯一じゃないでしょうか)。そのためもあって、IH級は非常に安価だと喧伝されているのですが(予算上はそう見える)、各国に提案されては落選してきた設計なので、実際の普通に造船所で偽装するとそうそう安価ではなかったのでしょうね。イギリスの T31が初の「輸出」です。面白いことに、額面ではデンマークの重武装なIH級よりT31の方が遥かに高価なのですが、大幅な簡素化により性能は遥かに格下です。
#個人的には、デンマーク海軍すげえ、って思っています。