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【防衛情報】豪州,M-1A2-SEP-V3導入とAH-64E認可にボクサー配備開始と新型水陸両用車

2021-07-06 20:12:03 | 防衛・安全保障
■特報:世界の防衛,最新論点
 今回はオーストラリア軍特集です。自衛隊と云いますか日本のほうが人口もGDPも大きいのですが、戦車定数火砲定数は兎も角として装甲車については見習いたいものです。

 オーストラリア陸軍は装備するM-1A1AIM主力戦車を最新型のM-1A2-SEP-V3で増強する方針です。これは4月29日、DSA国防安全保障協力局がアメリカ国務省による有償軍事供与の許可が出されたもので、今回はM-1A2-SEP-V3主力戦車の導入とともにM-1150工兵戦闘車が盛り込まれているとのこと。M-1A2-SEP-V3主力戦車はM-1戦車の最新型だ。

 オーストラリア軍は現在59両のM-1A1AIM戦車を運用していますが、現在機械化部隊の増強を進めており、今回新たにM-1A2-SEP-V3戦車160両を16億8500万ドルにて導入します。オーストラリア陸軍はM-113装甲車の後継としてドイツ製KF-41装甲戦闘車か韓国製K-21装甲戦闘車いずれかを選定し導入する計画で、機械化部隊は一挙に近代化される。
■ボクサー納入開始
 自衛隊もこの種の重装輪装甲車が必要ではないかと考えるのですが。

 オーストラリア陸軍はランド400フェーズ2計画に基づくラインメタル社よりボクサー装輪装甲車の初受領を開始しました。初受領となったのはオーストラリア国内のクイーンズ州レッドバンクに新設されましたラインメタル社工場において製造された25両で、今回導入されるボクサー装輪装甲車は機関砲搭載型でCRV装甲偵察車として運用されます。

 ランド400フェーズ2計画とはオーストラリア軍が装備するASLAV軽装甲車、アメリカ海兵隊の採用した25mm機関砲装備のLAV-25軽装甲車オーストラリア軍仕様で、オーストラリア軍はその後継としてCRV装甲偵察型131両を含む211両のボクサー装輪装甲車各種を52億ドルで取得します。引き渡し式ではフォンペーター国防大臣が出席しました。
■ラインメタル社合弁企業
 海外製装備を導入すると国内防衛産業が細るといわれますが現在は合弁企業方式が主流のよう。

 オーストラリア陸軍が引き渡しを開始したボクサー装輪装甲車について、ライセンス生産とともにラインメタルディフェンスオーストラリア社は様々な装備の製造能力がある、ドイツのラインメタル社では広報しています。オーストラリア軍は韓国よりK-9自走榴弾砲導入が決定していますが、装甲戦闘車についてラインメタル社が強く売り込んでいます。

 ボクサー装輪装甲車の量産はラインメタルディフェンスオーストラリア社として豪州とドイツの合弁企業が製造を担当し、オーストラリアからドイツのラインメタル社へは量産に先行して30名以上が研修として渡独しており、その量産には豪州国内企業20社が参加しています。ASLAVとボクサーは車体規模が遥かに強化されており、高性能となっています。
■リンクス装甲車にゴム履帯
 ゴム製履帯は我が国防衛装備庁でも研究が進んでいるところです。

 オーストラリア陸軍はランド400フェーズ3計画としまして韓国製装甲戦闘車とドイツ製装甲戦闘車を評価試験中となっていますが、ドイツから提案されているラインメタル社製リンクス装甲戦闘車について、ドイツのラインメタル社はクックディフェンス社製TR-40履帯の採用を発表しました。リンクス装甲戦闘車は世界で極めて重装甲の装甲戦闘車です。

 TR-40履帯はイギリス軍が採用したジェネラルダイナミクスUK製造のエイジャックス装甲偵察車等に採用されているもので、整備性と静粛性に優れたゴム製履帯となっています、このゴム製履帯は長らく強度面等で現用戦闘車両への導入に難点がありましたが、ポリマー配合や軸部分の製造新技術により充分な耐久性と操行性を備えたものとなっています。
■AH-64E輸出許可
 自衛隊のAH-64Dアパッチロングボウ後継機もこのアパッチガーディアンしかないように思うのですが、お値段はこんな感じ。

 オーストラリア軍が進める35億ドルのAH-64Eアパッチガーディアン戦闘ヘリコプター29機導入計画をアメリカ国務省が承認しました。AH-64Eアパッチガーディアン戦闘ヘリコプターはオーストラリア軍がフランスより導入したEC-665ユーロコプタータイガー戦闘ヘリコプターが豪州環境に適合せず、早期退役を経て後継機として選定されたものです。

 AH-64Eアパッチガーディアン戦闘ヘリコプターの35億ドルの契約にはT700-GE701Eエンジン64基とASQ-170目標指示装置29基および16基のAPG-78ロングボウレーダー、36基のAAR-29ミサイル警報システム、そして弾薬としてAGM-114Rヘルファイアミサイル85発、APKWS-GS70mm精密誘導ロケット弾2000発を含むものとなっています。

 オーストラリア陸軍はEC-665ユーロコプタータイガー戦闘ヘリコプター後継機導入を急いでおり、AH-64Eアパッチガーディアン戦闘ヘリコプターが選定されたのは2021年1月、輸出決定は2021年6月です。現在の計画では2026年に最初の12機が引き渡され、2028年には29機全てが引渡完了を期す、12機編成2個飛行隊と教育用に配備される計画です。
■豪州のCH-47増強へ
 自衛隊は国内でライセンス生産していますのでCH-47の増強は案外楽ですが。

 オーストラリア陸軍はCH-47輸送ヘリコプター4機の調達について2億5900万ドルにてアメリカ国務省の有償軍事供与認可を受けた、4月29日にDSA国防安全保障協力局が発表しました。現在オーストラリア陸軍はCH-47輸送ヘリコプター7機を装備しており、今回の増強は最新のCH-47F型、これにより空輸能力を大きく強化させることとなります。

 オーストラリア陸軍ではフランスから導入したEC-665攻撃ヘリコプターが欧州運用環境に稼働率を維持する事が出来ず早期退役させ、代替にアメリカからAH-64E戦闘ヘリコプターを導入する方針で、アメリカ製ヘリコプターの増強が進む。海軍には全通飛行甲板を有するキャンベラ級強襲揚陸艦が2隻配備されており、協同運用も行われる事でしょう。
■オーストラリア軍の両用車
 LARC-Vといいますと日本の94式水際地雷敷設車と似たようなものです。

 オーストラリア陸軍は次世代水陸両用車の導入計画をナバンティア社とラインメタル社の協力を受け進めています。現在オーストラリア軍は陸軍舟艇部隊がLCM-8上陸用舟艇とLARC-V水陸両用トラックを運用していますが、本格的な両用作戦に対応する車両は装備していません。そしてオーストラリアは本格的なキャンベラ級強襲揚陸艦を導入しました。

 ランド8710フェーズ1CE2 プログラムとして進められる次世代水陸両用車の導入計画は、ラインメタル社の協力を受ける事で本格的な両用強襲車輛を想定しているとされています。またナバンティア社はキャンベラ級強襲揚陸艦を建造しており、ボクサー装輪装甲車は前任のASLAVと比較し浮航能力を有さない為、新しい両用車輛の必要性が高まっています。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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