■事故一週間,そうりゅう阪基へ
そうりゅう衝突事故から一週間が経ちましたが阪神基地入港、潜舵が大きく変形し痛々しいものの、30年ぶりの大事故と云うのは大袈裟すぎるだろうとのご指摘がありました。
あさしお事故。2007年11月21日に宮崎県日向市油津港沖50kmの海域でAIP実験潜水艦に位置付けられた練習潜水艦あさしお、がパナマ船籍のケミカルタンカースプリングオースターと衝突し推進装置近くの縦舵を大きく変形させる事故が生じているとお教えいただきまして、云われてみればと確認しますと、記憶よりも激しく損傷し驚かされました。
アメリカ海軍では潜水艦事故は年間4回程度、艦橋が折れるとかソナードーム全損総取換等、被害額200万ドル以上か殉職者が出た事故をクラスA事故、被害額50万ドル以上200万ドル以下をクラスB事故と区分し、2005年は5件、2006年は4件、2007年5件、2008年5件、2009年は6件、2010年は1件、2011年3件、2012年1件、2013年5件、と。
イギリス海軍と比較してみよう。日本だけを検証しては不十分であろうと思い、また最新のレーダーやソナーを装備する潜水艦でも事故は起きるのか、というコメントもお寄せいただきましたので、イギリス海軍と比較してみる事としました。イギリスは攻撃型原潜7隻と戦略ミサイル原潜4隻の潜水艦11隻体制、事故は2000年から2016年まで22件です。
セプター。2000年3月6日、造船所に入渠中ドック内で誤って全速前進し足場を破損。タイヤレス。2000年5月原子炉一時冷却装置故障で原子炉停止し補助動力作動せず漂流。ヴィクトリアス。2000年11月2日スコットランドクライド湾で座礁。トライアンフ。2000年11月19日スコットランド西海岸沖水深200mを22ノットで座礁。この年は事故が続く。
ヴィクトリアス。2001年7月26日アメリカ沿岸警備隊の艦艇と衝突事故、ただし損害は軽い。セプター。2002年1月に原子炉に暴走の危険性が発見され二年前の造船所内暴走事故とも因果関係が判明する。トラファルガー。2002年11月、教育中スコットランドスカイ島で海底衝突し3名負傷、このままでは衝突すると警告したが練習生が理解せず海底へ。
タイヤレス。2003年5月13日氷山と衝突し浸水、損傷し艦首が9度下がる。イギリス海軍が久々に実施した北極海域での航行ではあったのですが衝突直前または衝突まで目の前の氷山を探知できなかったという。セプター。2005年2月3日、非核動力系異常でジブラルタル緊急入港、破損個所が原子炉でないか放射能漏れは無いかと疑うスペインと係争に。
タイヤレス。2007年3月21日、北極近くで爆発事故2名死亡、艦内では治療できない規模の重症者が複数出た為に負傷者はアメリカ軍の支援を受けアラスカのエルメンドルフ基へ。シュパーブ。2008年5月26日スエズ運河で衝突事故、潜航不能。正確にはスエズ運河海域に含まれる紅海での事故で浮上系統のメインタンクや隔壁まで被害が及ぶ事故です。
ヴァンガード。2009年2月4日大西洋でフランスの潜水艦 トリオンファンと海中で衝突、衝突直前まで双方を認識していなかったと仏国防相の発言も。アスチュート。2010年10月22日スカイ島沖で座礁し航行不能、曳航され修理に。アスチュート。2010年12月11日、座礁修理完了当日動力系統異常により緊急帰港、と二回連続の事故に見舞われます。
タービュレント。2011年5月26日、熱交換器故障の高熱で死傷者26名が発生、潜航中に艦内が90度から100度まで上昇する非常事態に。ヴァンガード。2012年1月微細な破損によりPWR2試験炉の冷却水から放射線が検出される。アスチュート。2012年11月12日、原子炉パイプ継ぎ目の不適部品から漏えいが判明します。原子炉事故が連続してゆく。
タイヤレス。2013年2月19日原子炉冷却装置破損でデボンポートに緊急入港へ。タレント。2014年にロシア海軍監視中氷山と衝突と2015年に発表されました、事故は一年間発表されませんが新聞報道により事実を認める。ヴェンジャンス。2016年6月アフリカ沖に試験中のトライデントが米国東海岸沖へ飛翔、一歩間違えれば第三次世界大戦といえる。
トライデントミサイルは潜水艦発射弾道弾、訓練用なので核弾頭は無くフロリダは消滅を免れた。アスチュート。2016年7月20日ジブラルタル海域で浮上中に商船と衝突する。アンブッシュ。2016年7月20日ジブラルタル海域で商船アンドレアスと衝突ソナー破損する。つまりイギリスは同じ日に7隻ある攻撃型原潜の内で2隻が事故に見舞われた事に。
イギリスは16年で22件、潜水艦1隻当り2回の計算です。イギリスは原潜で自衛隊は通常動力潜水艦、一概には比較できませんが座礁して入渠とか海底に衝突して航行不能、という事故は聞きません。トライデントミサイルは積んでいませんが実弾の誤射もありません。すると30年ぶりの事故と云うのは誇大表現だったか、深く反省しているところです。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
そうりゅう衝突事故から一週間が経ちましたが阪神基地入港、潜舵が大きく変形し痛々しいものの、30年ぶりの大事故と云うのは大袈裟すぎるだろうとのご指摘がありました。
あさしお事故。2007年11月21日に宮崎県日向市油津港沖50kmの海域でAIP実験潜水艦に位置付けられた練習潜水艦あさしお、がパナマ船籍のケミカルタンカースプリングオースターと衝突し推進装置近くの縦舵を大きく変形させる事故が生じているとお教えいただきまして、云われてみればと確認しますと、記憶よりも激しく損傷し驚かされました。
アメリカ海軍では潜水艦事故は年間4回程度、艦橋が折れるとかソナードーム全損総取換等、被害額200万ドル以上か殉職者が出た事故をクラスA事故、被害額50万ドル以上200万ドル以下をクラスB事故と区分し、2005年は5件、2006年は4件、2007年5件、2008年5件、2009年は6件、2010年は1件、2011年3件、2012年1件、2013年5件、と。
イギリス海軍と比較してみよう。日本だけを検証しては不十分であろうと思い、また最新のレーダーやソナーを装備する潜水艦でも事故は起きるのか、というコメントもお寄せいただきましたので、イギリス海軍と比較してみる事としました。イギリスは攻撃型原潜7隻と戦略ミサイル原潜4隻の潜水艦11隻体制、事故は2000年から2016年まで22件です。
セプター。2000年3月6日、造船所に入渠中ドック内で誤って全速前進し足場を破損。タイヤレス。2000年5月原子炉一時冷却装置故障で原子炉停止し補助動力作動せず漂流。ヴィクトリアス。2000年11月2日スコットランドクライド湾で座礁。トライアンフ。2000年11月19日スコットランド西海岸沖水深200mを22ノットで座礁。この年は事故が続く。
ヴィクトリアス。2001年7月26日アメリカ沿岸警備隊の艦艇と衝突事故、ただし損害は軽い。セプター。2002年1月に原子炉に暴走の危険性が発見され二年前の造船所内暴走事故とも因果関係が判明する。トラファルガー。2002年11月、教育中スコットランドスカイ島で海底衝突し3名負傷、このままでは衝突すると警告したが練習生が理解せず海底へ。
タイヤレス。2003年5月13日氷山と衝突し浸水、損傷し艦首が9度下がる。イギリス海軍が久々に実施した北極海域での航行ではあったのですが衝突直前または衝突まで目の前の氷山を探知できなかったという。セプター。2005年2月3日、非核動力系異常でジブラルタル緊急入港、破損個所が原子炉でないか放射能漏れは無いかと疑うスペインと係争に。
タイヤレス。2007年3月21日、北極近くで爆発事故2名死亡、艦内では治療できない規模の重症者が複数出た為に負傷者はアメリカ軍の支援を受けアラスカのエルメンドルフ基へ。シュパーブ。2008年5月26日スエズ運河で衝突事故、潜航不能。正確にはスエズ運河海域に含まれる紅海での事故で浮上系統のメインタンクや隔壁まで被害が及ぶ事故です。
ヴァンガード。2009年2月4日大西洋でフランスの潜水艦 トリオンファンと海中で衝突、衝突直前まで双方を認識していなかったと仏国防相の発言も。アスチュート。2010年10月22日スカイ島沖で座礁し航行不能、曳航され修理に。アスチュート。2010年12月11日、座礁修理完了当日動力系統異常により緊急帰港、と二回連続の事故に見舞われます。
タービュレント。2011年5月26日、熱交換器故障の高熱で死傷者26名が発生、潜航中に艦内が90度から100度まで上昇する非常事態に。ヴァンガード。2012年1月微細な破損によりPWR2試験炉の冷却水から放射線が検出される。アスチュート。2012年11月12日、原子炉パイプ継ぎ目の不適部品から漏えいが判明します。原子炉事故が連続してゆく。
タイヤレス。2013年2月19日原子炉冷却装置破損でデボンポートに緊急入港へ。タレント。2014年にロシア海軍監視中氷山と衝突と2015年に発表されました、事故は一年間発表されませんが新聞報道により事実を認める。ヴェンジャンス。2016年6月アフリカ沖に試験中のトライデントが米国東海岸沖へ飛翔、一歩間違えれば第三次世界大戦といえる。
トライデントミサイルは潜水艦発射弾道弾、訓練用なので核弾頭は無くフロリダは消滅を免れた。アスチュート。2016年7月20日ジブラルタル海域で浮上中に商船と衝突する。アンブッシュ。2016年7月20日ジブラルタル海域で商船アンドレアスと衝突ソナー破損する。つまりイギリスは同じ日に7隻ある攻撃型原潜の内で2隻が事故に見舞われた事に。
イギリスは16年で22件、潜水艦1隻当り2回の計算です。イギリスは原潜で自衛隊は通常動力潜水艦、一概には比較できませんが座礁して入渠とか海底に衝突して航行不能、という事故は聞きません。トライデントミサイルは積んでいませんが実弾の誤射もありません。すると30年ぶりの事故と云うのは誇大表現だったか、深く反省しているところです。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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やはり、日本の建造技術と海自のメンテナンスや訓練はしっかりしてると思いましと。
それでも事故が起こるということは、潜水艦の浮上時における根本的な技術革新が必要なのではないでしょうか。