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【京都幕間旅情】今宮神社,災厄の日本史-天変地異に疫病流行下でも日本人は楽しんでいたのですね

2023-04-08 14:41:25 | 写真
■ある意味凄い日本史
 観桜の大団円を飾る御室桜さえ四月一日に満開と云われますと異常気象というものを感じずには、と考えるのですがそれも一興なのだろうか。

 今宮神社、今年は桜の季節が速かった、早かったというのではなく速かったのです、けれども早すぎたことで開花と満開は、異常気象や気候変動やテンペンチイという表現で報道され、防衛省のSDFよりもSDGsだと、騒がれたものですが開花期間は、長かった。

 桜の季節、考えれば、今週末は雨だとか桜を散らす悪天候となるでしょう、というような予報が順調に外れまして、一方で開花時期と三分咲きの時機に雨天があり、満開になった後は低温が続いたことで、ほぼ、二週間は桜の季節が続いて散策を愉しめましたのは幸い。

 やすらい祭は、さくらの散る季節に執り行われるといいますので、四月第二日曜日はほぼその見立て通りとなり、なんだ異常気象というもののそれほどではないじゃあないか、といえるところです。そして祭事は昔から、執行者である朝廷と町衆の間で温度差があった。

 町衆は楽しめた、ということなのです。もっとも逆に現代となれば、疾病の原因は怨霊ではなく単なる細菌かウィルスの感染が原因という事で、疾病は祟られる高位高官の問題で町衆は単なる巻き添え、ではなく感染対策こそが肝要とされ空気が変わるのですけれど。

 朝廷の奉幣使を派遣する立場といえば、文字通り祟られる当事者ですので手抜かりはありません、すると壮麗創大な祭事行列となりますので、日常では見ることのできない風景を見られるという。すると、これは平安時代からなのですが、桟敷席などが用意されていた。

 桟敷席は有料ですが、祭事は春から秋にかけ行われます、これは中世の時代には冬は五穀実らぬ死の季節、飢餓が蔓延する時節です、ただ当たり前なのですが悲しいことに殿上人たちは飢餓の心配はなかったので、この季節には朝廷祭事はほぼほぼ行われませんでした。

 冬の祭事は寺院がかかわるものが多く、これは衆民救済という意味合いを有していたものが含まれます、要するに祭事とともに粥や大根炊きのふるまい、というように。もっともこれは寺院が国家宗教から大衆の信仰へ展開した、もう少し後の話なのですけれどもね。

 春から秋にかけ行われます祭事というのは、要するに庶民からしますと飢餓の季節である冬が終わりましたので、余暇にちょっと見物に、という事が出来てしまうのですね。行事よりも煮沸しろよ、と思われるかもしれないが、当時はまだ今のような衛生観念がない。

 祭事は、そもそも当時の日本の統治機構が定着する前であったゆえの、自由さというか無法が許された時代、桟敷席なんかは安全基準がなくかなり無茶苦茶な建てられ方がしていたようで、傾いたり倒れたり、それを逆に見物したりはやし立てたり、出店もでていた。

 今昔物語集をよみますと、爬虫類を魚類と偽って売り歩く怪しげな行商人、レンジャーじゃああるまいし山ウナギさんを売っていた訳ですか、こうしたものが横行していたという。しかし、騙しだまされ、中世の社会保障という概念そのものがない時代を人々は謳歌した。

 祭事があれば、スリや喧嘩や食い逃げなども横行していて、度が過ぎますと検非違使という、いまの警察機構に捕縛され、見世物のように棒で打たれたりもう少し厳しい仕置きがあったりしたようですが、逆に貧しい生活基盤を持たない人たちが生きてゆく道でもある。

 日本史の暗い中世、という確かに現代社会の生活環境とまともな統治機構に法執行制度、経済制度や雇用法体系に社会保障基盤というものをみますと、あんなその日暮らし時代によく生きてゆけたものと解釈してしまうところなのだけれども、日本人は楽しんでいたのですね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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