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ウクライナ情勢-ロシア軍トクマク近郊に陣地構築中,第25諸兵科連合軍の前倒し投入

2023-09-21 07:00:35 | 防衛・安全保障
■防衛情報-ウクライナ戦争
 徴兵制の有用性をウクライナ軍が示したという視点と徴兵制の限界をロシアが示したという視点があります。

 イギリス国防省ウクライナ戦況報告9月13日付発表によれば新編されたロシア軍第25諸兵科連合軍がウクライナ戦線に初投入されたとのこと。第25諸兵科連合軍は志願兵も編成に加えられており、ロシア国内では志願兵向けの情報として第25諸兵科連合軍の戦線投入は12月であるとしていたため、その投入が三ヶ月前倒しになったということになる。

 第25諸兵科連合軍の前倒し投入はロシア軍予備戦力の枯渇を示す何よりもの証拠で、部隊はウクライナ北東部のルハンスク州に集中投入されているとのこと。ウクライナ軍は反攻を一点集中せず三点に分散しているため、ロシア軍は三方面に大きく占領軍を分散させることを強いられており、結果的にウクライナ以上の兵力分散を強いられています。
■トクマク近郊
 前線から後方16kmでの動き。

 ウクライナのメリトポリ市長イヴァンフェドロフ氏が9月13日に発言した内容によれば、ロシア軍がトクマク近郊に竜の歯対戦車障害物や防御陣地を複数設置した、ISWアメリカ戦争研究所9月13日付戦況報告に概況が示されています。メリトポリは今夏におけるウクライナ軍反転攻勢の目標とされており、南部戦線でウクライナ軍は前進中だ。

 トクマク近郊に設置されている新しい防御陣地は、ウクライナ軍が防衛線第一線を突破し戦果口調とともに第二次防衛線に迫っていることを示しており、ロシア軍が後方に新しい防衛線を構築することを余儀なくされた状況です。ウクライナ軍はオリヒフの南12kmロボティネ地区において限定的な前進に成功したとISWアメリカ戦争研究所は分析します。
■リウネ原発への燃料補給
 ロシア軍によるウクライナ冬季のインフラへの攻撃へある程度対応できることとなるのでしょうか。

 ウクライナの電力会社エネルゴアトムは欧米製核燃料を用いてリウネ原発の原子炉への燃料補給に成功したと発表しました。イギリス国防省ウクライナ戦況報告9月14日付報告によれば、ウクライナでは原子力発電が電力需要の半分を担っており、そして原発核燃料は開戦前までロシアから供給されていたものが現在供給停止となっている状況です。

 エネルゴアトムはロシアウクライナ戦争開戦を受け、核燃料の代替調達先確保に奔走しており、ロシア製原子炉に適合する核燃料を欧米諸国から調達することに成功しました。ウクライナは冬季に電力インフラへのロシア軍攻撃により大きな社会不安を受けていますが、同時に電力不足の不安というものを今回の成功が部分的に払拭したことを意味します。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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