■Ninoxとスイッチブレード
自衛隊は無人機をもう少し重視すべきだ。こう主張しますとスキャンイーグル等を並べられるのですが、部隊規模と普及度合いを並べますと現実で在るのも事実です。
陸上自衛隊と無人機について。自衛隊では無人航空機の導入そのものは比較的早かったものの、無人偵察機や無人観測機については航空法の関係上、その導入が大きく遅れるところとなりました。近年はカナダ製スカイレンジャー無人機などの導入が始まり、災害派遣用にフランス製アナフィの大量配備は行われるも、その装備数は充分とは言えません。
無人機、情報優位が戦域優位に直結する事が現代戦の常識であり、いかなる精鋭部隊でも位置が暴露すれば迫撃砲を筆頭にあらゆる火力により無力化される運命です。ただ、案かな市販無人機では電子妨害に脆弱性があり、こうした広域電子妨害は簡単には起こされないものの、ウクライナ東部紛争において実施した国が隣国にあり、油断できない事も確か。
一発逆転、日本にはむずかしいように思えるかもしれませんが、新しい区分であると考えるからこそ新部隊配置や予算の割り当てなどで問題が生じるとともに、法律の壁などの問題が普及を阻むのです。それならば既存装備の延長線として装備させてしまうならば、自衛隊では装備近代化を必要と考えれば一挙に進めた事例は通信等幾つかあります。可能だ。
航空法。もう一つの課題は結局のところ無人機が無線操縦航空機であるのか遠隔操作の有人機であるのかという問題がある為なのですが、法的な問題はあるものの必要な装備出る事は不変です。すると、幾つかの抜け道というものがあります。例えば一種の弾薬と視る事で航空法の対象外となる。もちろん、誘導弾がどの法律に制約するかは法の欠缺ですが。
RQ-4グローバルホークを筆頭に多種多様な無人航空機が存在しますが、どの作戦単位にも当てはまるものではなく、例えば普通科連隊の本部管理中隊にグローバルホークが配備されたとしても発着できる飛行場確保一つとっても持て余してしまうでしょう、他方で、小銃中隊単位までの無人航空機に絞って考えますと、幾つかの選択肢が思い浮かぶところで。
Ninox無人機とスイッチブレード無人機。喫緊の課題としてこの二つの装備が必要と考えます。Ninox無人機はイスラエルのスピア社が開発した無人機で、特に最軽量のNinox40無人機は重量250gという軽量ながら40分間の飛翔が可能という。この装備は具体的には小銃小隊単位で装備可能と考えます、こういうのもこのNinox40無人機は発射方法が凄い。
Ninox40無人機は40mm擲弾銃から発射可能です、それもアドオン式のグレネードランチャーから射撃可能であり、陸上自衛隊では89式小銃の後継として20式小銃が制式化されましたが、この備品としてイタリア製GLX160A1が採用されています。GLX160A1はイタリア陸軍制式ARX-180小銃用のグレネードランチャー、Ninox40無人機も発射可能です。
擲弾手。陸上自衛隊では06式小銃擲弾を採用し、これは通常の89式小銃からも投射可能なのですが、これとは別に110mm個人対戦車弾、所謂パンツァーファウストⅢの射手を擲弾手としています、重くて大変だとは思うのですが、元々は車載の車両自衛用の装備ですので、この際は専門射手を廃止し、GLX160A1を携行する射手に転換してはどうでしょう。
GLX160A1から40mm擲弾として投射といいますと手軽に思えますが、その監視能力は個人端末表示で昼夜対応、40分の滞空時間は近接戦闘への車両からの下車に先行してなど、用途が広いのです。そして広帯域無線機のデータ通信能力を拡張、小銃小隊単位の画像情報を連隊単位で集約し共有できる体制を構築するならば、より有為な情報収集が可能です。
スイッチブレード無人機、もう一つ必要な装備は中隊単位で運用する無人機で、徘徊式弾薬です。これは発射装置を含めた重量が2.7kgで発射器が60mm迫撃砲と形状が似ており、そして小型です。普通科中隊に編成される迫撃砲小隊や、場合によっては小銃小隊の軽対戦車誘導弾班にも装備可能です。また小型軽量ゆえに戦車小隊に配備してもよいでしょう。
エアロバイロメント社が開発したスイッチブレード、エアロバイロメント社ではRQ-11レイヴン無人機を開発生産しているメーカーで、こちらはRC飛行機のような形状の機体を手で投げる、稀に5m先に叩きつける事もあるようですが、発信すると10km先まで80分間に渡り偵察が可能、専用通信機とPanasonic製のノートパソコンにより操縦可能という。
スイッチブレードとは飛び出しナイフを意味しまして、弾薬としての威力は40mm擲弾程度ですが、電動モーターにより157km/hで飛翔し10km先までを10分間に渡り観測可能という。要するに対戦車ミサイルの代替とはなりませんが同列の装備として運用可能、滞空時間はNinox40無人機よりも短いものの、120mm重迫撃砲並の飛翔距離を誇ります。
01式軽対戦車誘導弾。理想としてはスイッチブレードは威力はそれほど大きくありませんが、01式軽対戦車誘導弾や81mm迫撃砲と併せて運用する事が望ましい、相手が戦車であっても地域目標であっても、位置を把握しなければ射撃を行えませんし、また近接戦闘部隊であっても小銃手よりは相手との間に離隔があり、端末操作中に接敵する確率が低い。
スイッチブレード600無人機という、こちらは発射装置が107mm迫撃砲のような大きさの拡大改良型がありまして、こちらはエアロバイロメント社が対戦車攻撃用に開発したものだという。こちらはシステム一式で23kgと個人携行には限界がありますが、飛翔速度は185km/hに向上し、しかも40km先の地域を20分間滞空の上で攻撃できる性能がある。
対戦車中隊は全国の普通科連隊から順次廃止されていますが、重迫撃砲中隊の中隊本部観測班を多目的観測小隊として配備する、若しくは普通科連隊の本部管理中隊情報小隊に遠隔情報小隊として、いわば現在の観測装備や情報装備の更新として導入するならば、新しい部隊を置く必要もありませんし、自衛隊の無人機運用幅は一挙に広げられるよう、思うのです。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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自衛隊は無人機をもう少し重視すべきだ。こう主張しますとスキャンイーグル等を並べられるのですが、部隊規模と普及度合いを並べますと現実で在るのも事実です。
陸上自衛隊と無人機について。自衛隊では無人航空機の導入そのものは比較的早かったものの、無人偵察機や無人観測機については航空法の関係上、その導入が大きく遅れるところとなりました。近年はカナダ製スカイレンジャー無人機などの導入が始まり、災害派遣用にフランス製アナフィの大量配備は行われるも、その装備数は充分とは言えません。
無人機、情報優位が戦域優位に直結する事が現代戦の常識であり、いかなる精鋭部隊でも位置が暴露すれば迫撃砲を筆頭にあらゆる火力により無力化される運命です。ただ、案かな市販無人機では電子妨害に脆弱性があり、こうした広域電子妨害は簡単には起こされないものの、ウクライナ東部紛争において実施した国が隣国にあり、油断できない事も確か。
一発逆転、日本にはむずかしいように思えるかもしれませんが、新しい区分であると考えるからこそ新部隊配置や予算の割り当てなどで問題が生じるとともに、法律の壁などの問題が普及を阻むのです。それならば既存装備の延長線として装備させてしまうならば、自衛隊では装備近代化を必要と考えれば一挙に進めた事例は通信等幾つかあります。可能だ。
航空法。もう一つの課題は結局のところ無人機が無線操縦航空機であるのか遠隔操作の有人機であるのかという問題がある為なのですが、法的な問題はあるものの必要な装備出る事は不変です。すると、幾つかの抜け道というものがあります。例えば一種の弾薬と視る事で航空法の対象外となる。もちろん、誘導弾がどの法律に制約するかは法の欠缺ですが。
RQ-4グローバルホークを筆頭に多種多様な無人航空機が存在しますが、どの作戦単位にも当てはまるものではなく、例えば普通科連隊の本部管理中隊にグローバルホークが配備されたとしても発着できる飛行場確保一つとっても持て余してしまうでしょう、他方で、小銃中隊単位までの無人航空機に絞って考えますと、幾つかの選択肢が思い浮かぶところで。
Ninox無人機とスイッチブレード無人機。喫緊の課題としてこの二つの装備が必要と考えます。Ninox無人機はイスラエルのスピア社が開発した無人機で、特に最軽量のNinox40無人機は重量250gという軽量ながら40分間の飛翔が可能という。この装備は具体的には小銃小隊単位で装備可能と考えます、こういうのもこのNinox40無人機は発射方法が凄い。
Ninox40無人機は40mm擲弾銃から発射可能です、それもアドオン式のグレネードランチャーから射撃可能であり、陸上自衛隊では89式小銃の後継として20式小銃が制式化されましたが、この備品としてイタリア製GLX160A1が採用されています。GLX160A1はイタリア陸軍制式ARX-180小銃用のグレネードランチャー、Ninox40無人機も発射可能です。
擲弾手。陸上自衛隊では06式小銃擲弾を採用し、これは通常の89式小銃からも投射可能なのですが、これとは別に110mm個人対戦車弾、所謂パンツァーファウストⅢの射手を擲弾手としています、重くて大変だとは思うのですが、元々は車載の車両自衛用の装備ですので、この際は専門射手を廃止し、GLX160A1を携行する射手に転換してはどうでしょう。
GLX160A1から40mm擲弾として投射といいますと手軽に思えますが、その監視能力は個人端末表示で昼夜対応、40分の滞空時間は近接戦闘への車両からの下車に先行してなど、用途が広いのです。そして広帯域無線機のデータ通信能力を拡張、小銃小隊単位の画像情報を連隊単位で集約し共有できる体制を構築するならば、より有為な情報収集が可能です。
スイッチブレード無人機、もう一つ必要な装備は中隊単位で運用する無人機で、徘徊式弾薬です。これは発射装置を含めた重量が2.7kgで発射器が60mm迫撃砲と形状が似ており、そして小型です。普通科中隊に編成される迫撃砲小隊や、場合によっては小銃小隊の軽対戦車誘導弾班にも装備可能です。また小型軽量ゆえに戦車小隊に配備してもよいでしょう。
エアロバイロメント社が開発したスイッチブレード、エアロバイロメント社ではRQ-11レイヴン無人機を開発生産しているメーカーで、こちらはRC飛行機のような形状の機体を手で投げる、稀に5m先に叩きつける事もあるようですが、発信すると10km先まで80分間に渡り偵察が可能、専用通信機とPanasonic製のノートパソコンにより操縦可能という。
スイッチブレードとは飛び出しナイフを意味しまして、弾薬としての威力は40mm擲弾程度ですが、電動モーターにより157km/hで飛翔し10km先までを10分間に渡り観測可能という。要するに対戦車ミサイルの代替とはなりませんが同列の装備として運用可能、滞空時間はNinox40無人機よりも短いものの、120mm重迫撃砲並の飛翔距離を誇ります。
01式軽対戦車誘導弾。理想としてはスイッチブレードは威力はそれほど大きくありませんが、01式軽対戦車誘導弾や81mm迫撃砲と併せて運用する事が望ましい、相手が戦車であっても地域目標であっても、位置を把握しなければ射撃を行えませんし、また近接戦闘部隊であっても小銃手よりは相手との間に離隔があり、端末操作中に接敵する確率が低い。
スイッチブレード600無人機という、こちらは発射装置が107mm迫撃砲のような大きさの拡大改良型がありまして、こちらはエアロバイロメント社が対戦車攻撃用に開発したものだという。こちらはシステム一式で23kgと個人携行には限界がありますが、飛翔速度は185km/hに向上し、しかも40km先の地域を20分間滞空の上で攻撃できる性能がある。
対戦車中隊は全国の普通科連隊から順次廃止されていますが、重迫撃砲中隊の中隊本部観測班を多目的観測小隊として配備する、若しくは普通科連隊の本部管理中隊情報小隊に遠隔情報小隊として、いわば現在の観測装備や情報装備の更新として導入するならば、新しい部隊を置く必要もありませんし、自衛隊の無人機運用幅は一挙に広げられるよう、思うのです。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)