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ロシア劇場テロ事件発生!世界最大劇場クロッカスシティーホールをISIL系武装勢力ISKPが襲撃

2024-03-24 20:01:27 | 国際・政治
■臨時情報-モスクワテロ
 ロシア現地時間3月22日、モスクワ郊外クラスノゴルスクのクロッカスシティーホールにおいてISIL系武装勢力ISKPによる無差別テロ事件が発生しました。

 クロッカスシティーホールは7500名の収容が可能という世界最大の劇場です。事件当時はロシアのロックバンド“ピクニック”によるコンサートが開催中で6200名もの来場者が武装した4名のテロリストにより無差別テロの標的となりました。事件は現地時間2000時頃、同時にテロリストは可燃性液体による放火を行い、ホールは天井崩落など全焼しています。

 ロシア特殊部隊OMONが緊急出動し一時間後には現場に到着し初動を担う警備会社や警察を支援したとの事ですが、ロシア当局によれば複数名が死亡、当初は40名とされた犠牲者は日本時間24日時点で133名となりました。実行犯と関係者の押収物としてロシア当局はタジキスタンのパスポートなどを提示、事件は、国際テロ事件である事が判明します。

 アメリカ政府は情報機関などの分析から事件の48時間前にはテロ事件の可能性がある、としてロシア居留のアメリカ市民へ領事館を通じ注意喚起を行うと共にロシア政府にもテロの切迫という情報解析を通知しましたが、活かされませんでした。テロを受けロシアのプーチン大統領はウクライナが関与した可能性を示唆しましたが、ISILが犯行声明を出す。

 アフガニスタンのISIL組織であるISKPイスラミックステイトホラサンが犯行声明を出しました。プーチン大統領はテロリストの逃走先がウクライナの方角であったなど、いわば治安機関の警備失敗をウクライナによるものという偽旗作戦を考えたものの失敗、ウクライナのゼレンスキー大統領は哀悼の意とともにプーチン大統領の主張を批判しました。

 シリアのISIL拠点攻撃ではロシア軍は無誘導爆弾による爆撃機からの無差別爆撃を行いましたし、またロシアの民間軍事会社ワグネル、政府系民間軍事会社という名称を使うべきでしょうか、このアフリカ派遣要員はテロリストを捕縛した場合に欧米の治安部隊のような手続きや武装解除による社会復帰などは考えず、そのまま分り易く無力化しています。

 ISILによるロシアでのテロ攻撃は、分りやすい無力化、という方式がアフリカでは周辺住民から支持されており、この背景には社会復帰を期して釈放した後に再度戦闘員としてテロ行為を起こす事が多いという背景があるようですが、一方で、こうした片端から無力化された事は深い怨恨の源流となり、今回の劇場テロ事件となってしまったのでしょうか。

 アフガニスタンのISIL組織、さて今回の実行犯はISILの広報をWeb上で行うアマーク通信がアフガニスタン国内のISIL組織により計画した、と発表し実行犯の顔写真なども公表しました。死者数133名は2002年のモスクワ劇場占拠事件、この事件はチェチェンゲリラの犯行、この際の死者数129名を越えており、ロシア連邦建国史上最大のテロ事件です。

 アフガニスタンのISIL、ロシア軍は報復攻撃を行う場合、どこから兵力を転用するのか。アフガニスタンイスラム共和国としてタリバンが政権を維持していますが、アフガニスタン国内には治安状態が不安定で、今回事件を起こしたISKPイスラミックステイトホラサンがアフガニスタンホラサン州を制圧している状況です。しかしロシア軍には余力が無い。

 ISKPは現在のアフガニスタン政府とも敵対しており、これは良く似た事例である2001年アメリカ本土同時多発テロにおけるアフガニスタンのタリバンと首謀者であるアルカイダとの関係、協力関係にあった両者との決定的違いであり、ISKP排除へロシア軍がアフガニスタン政府へ協力を求める事は可能でしょうが、実行できるかと成れば話はべつです。

 ロシアの治安当局FSBは今回のテロ事件に関係したという11名を逮捕し、また自供しているという映像も公開しています。ただ、確認の取れない報道には押収されたパスポートの所持者は事件当時タジキスタン国内を出ていなかった事をタジキスタン外務省が発表するなど、今回の事件は逮捕された11名だけで終わるものではないのではないか、と。

 報復攻撃を行うのか今回の逮捕者だけで幕引きにするのかは現時点では不明ですが、報復攻撃に当る空挺軍は2022年からのロシアウクライナ戦争で壊滅状態、爆撃を行うにもSu-34戦闘爆撃機の可動機はウクライナでかなり損耗しており、なにより投下すべき爆弾をウクライナのアウディイフカなどで使い果たしている状況、打つ手は限られます。

 北海艦隊から巡航ミサイル潜水艦かミサイル巡洋艦をアラビア海へ派遣してISKPの本拠地へ反撃を行うのか、ロシア政府としてはアフガニスタンのISKP本拠地への報復は行わない事として幕引きを図るのか、まさか今回の事件もナチスの陰謀だとロシア政府が主張するとは思えませんが、ロシア連邦最大のテロ事件へどう対応するかは重大な関心事です。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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