北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

陸上防衛作戦部隊論(第十九回):広域師団と方面隊の任務区分について

2015-07-11 21:49:04 | 防衛・安全保障
■師団と方面隊
広域師団と方面隊とのに任務区分ですが、方面隊は基本的に統合任務部隊指揮と防衛基盤及び戦闘基盤の維持に重点を置くこととなります。

もちろん、戦闘支援部隊にあって、移動可能な部隊や後方支援部隊の戦闘支援部隊等は有事の際、統合任務部隊を編成し、起動する場合は想定されるのですが、この場合は統合任務部隊が事態当該地域管区方面総監を統合任務部隊司令官として任務に当たる事となり、この指揮下に就くという事になるでしょう。

師団と方面隊は、師団が戦闘部隊の最大単位として、航空機動と装甲機動という二つの旅団を駆使し広い正面戦闘を担うのに対し、方面隊は師団の側面への脅威へ複数の師団を指揮する全般戦闘、更に師団が戦闘を継続できるよう、補給路を維持し後方を警戒、車両重整備や負傷者後送に燃料弾薬などの供給と戦闘支援を最大限担う基盤を構築します。

総監部、全般防空、戦域情報管理、警務全般、補給処、全般輸送、建設施設、予備役訓練、共通教育、陸曹教育、駐屯地業務、基地通信、これらは第一線部隊の機動運用には適合するものでは無く、また廠舎を必要とするものが多い為、機動運用する場合にはそもそも移動できません。

重整備施設などを機動可能とするならば有事の際に第一線付近に車両改修や損耗車両の復帰を支援できる点で有用な施策ですが、民間の自動車整備が移動式ではなく施設を有しているように機材全てを輸送可能とした場合、その輸送基盤だけでも看過できない負担となりましょう、防衛基盤と機動運用部隊の区分はこのため。

この種の施設を、かなりの部分で機動展開可能としている組織は無く、米軍でも本土に施設を有しています。また、補給処の燃料支処や弾薬支処等は、やはり移動できるものではありません。米軍も事前集積船等に搭載し機動運用する事例はありますが、本土防衛を主眼とする陸上自衛隊には、事前集積船を多数配備し運用する選択肢はありません。

方面総監部は、幕僚副長、政策補佐官、総務部総務課、同地域連絡調整課、同会計課、人事部人事課、同募集課、同厚生課、同援護業務課、情報部情報課、同資料課、防衛部防衛課、同訓練課、装備部後方運用課、同装備課、同需品課、同施設課、医務官、監察官、法務官、方面総監部付隊、以上を以て編成されています。

更に方面隊直轄部隊として後送しますのは既存の編成とあわせ、方面混成団、施設団、高射特科群、方面通信群、方面情報隊、方面後方支援隊、方面特科隊、方面航空隊、方面会計隊、方面衛生隊、補給処、方面音楽隊、方面指揮所訓練支援隊が方面隊隷下部隊として配備されています。

次回以降にここに提示しました方面隊直轄部隊の位置づけやその編成案について掲載する事とします。基本的に戦闘部隊は後方策源地等を防護する、若しくは戦闘支援部隊という位置づけではありますが、この方面隊の任務は広域師団と装甲機動旅団や航空機動旅団においても代わるものでは無いでしょう。

北大路機関:はるな くらま
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平成二十七年度七月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2015.07.11-12)

2015-07-10 23:28:46 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 三個台風が同時に極東を北上する稀有な気象状況下ですが今週末の自衛隊関連行事について。

 今週末の自衛隊関連行事は北海道と東北、台風は南西諸島に接近していますので何とかなりそうでしょう。今週末の行事の一つ、八雲分屯基地祭は興味深い行事です、第6高射群隷下の第20高射隊と第23高射隊が展開する北海道の基地ですが、有事の際に補助飛行場として運用可能な1800m滑走路を有する八雲飛行場があるところです。

 車力分屯基地、青森県つがる市の分屯基地で、第6高射群の第21高射隊と第22高射隊がペトリオットミサイルにより防空に当たると共に、航空システム通信隊移動通信群第4移動通信隊が展開し、通信基盤と基地機能維持に関する部隊です。移動通信装備は大型車両にパラボラを搭載、中々の迫力です。上記八雲と車力、共に飛行展示が他基地より実施されるとのこと

 稚内分屯地開庁記念行事、陸上自衛隊第301沿岸監視隊、海上自衛隊大湊地方隊稚内基地分遣隊、航空自衛隊第18警戒隊と作戦情報隊電波情報収集群収集隊が駐屯しています、最北のロシア軍監視の中枢であり、もちろん目立つ装備は展示されませんが、防衛最前線の雰囲気が感じられる、という意味で貴重な行事といえるでしょう。
 
■駐屯地祭・基地祭・航空祭
・7月12日:稚内分屯地創設61周年記念行事・・・http://www.mod.go.jp/asdf/nacw/hp/gp_sq/p18/p18.html
・7月12日:八雲分屯地創設38周年記念行事・・・http://www.mod.go.jp/asdf/shariki/
・7月12日:車力分屯地創設35周年記念行事・・・http://www.mod.go.jp/asdf/yakumo/

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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将来航空自衛隊練習機体系への一考察(第九回):次期練習機としてのM-346,イタリア製練習機を検証する

2015-07-09 21:45:49 | 防衛・安全保障
■M-346練習機
練習機に軽攻撃機運用を想定する方式はSu-27やSu-30の脅威を想定する我が国としては難しいという視点を前回までに示したところ。

こうしますと、現在開発され入手可能な航空kにあって航空自衛隊が採用し得る将来練習機として妥当な案は、T-4練習機改良型と、海外機ではイタリアのアレニアアエルマッキ製M-346、米韓共同開発のT-50練習機、でしょう。スコーピオン練習機やホーク練習機なども一応候補に挙がりうるかもしれません、画。

M-346はイタリア空軍とロシア空軍の将来練習機計画より開始されたもので1990年代の航空機です、ただロシア空軍は軽攻撃機としての運用を重視し、練習機としての運用を重視するイタリアと温度差が生じ、結果的にイタリアとロシアの開発計画が分離、ロシアはYak-130として完成させています。

イタリアはM-346の開発に際し、イタリアが冷戦期にブラジルと共同開発したAMX軽攻撃機の部品と一部を供使させる事で設計費用を抑えると共に量産や整備基盤に部品備蓄などを効率化しました。AMX軽攻撃機は亜音速の攻撃機ですが整備費用や維持費が少なく近接航空支援などの使い勝手がよいといわれるもの。

イタリア空軍ではまず15機が配備されたほか、比較的海外での評価が高く、ポーランド空軍新練習機として2006年より検討が開始、その後災害などによる財政悪化により制式採用は2014年にずれ込みましたが8機が採用され、2010年にはシンガポール空軍がホーク練習機の後継として12機の導入を決定、2012年にはイスラエル空軍がTA-4練習機後継に30機の採用を発表しました。

練習機型に加えて軽攻撃型の提案が為されており、アフターバーナーを搭載していない事から推力に限界があると共に超音速飛行は想定されていませんが、機体には一応3tまでの装備を搭載可能、近接航空支援や航空阻止に対応し、軽装備であれば550mの滑走路で離着陸が可能です。

AIM-9Lサイドワインダー空対空ミサイルの運用能力があり近距離での空対空戦闘に対応する他、海上自衛隊も運用するAGM-65マーベリック空対地ミサイルや500ポンド爆弾、ハイドラ70ロケット弾発射器など、搭載が可能とのこと。ただ、難点はジェット練習機としては機体性能が比較的高い、というもの。

イタリア空軍ではジェット練習機としてアエルマッキMB-339と併用し運用しています。アエルマッキMB-339は1979年に運用開始した航空機で、機体重量はM-346の半分程度、ジェット練習機であるMB-339を経て高等練習機であるM-346に移行する方式を採っています。すると、無視できない問題が生じるでしょう。

この問題は、航空自衛隊のT-4練習機に当たるイタリア製の航空機はM-346ではなくむしろMB-339に当たるのですが、MB-339は改良型の生産が続いているものの機体の取得費用面ではT-4練習機と比較し特に利点がある訳ではなく、量産度合いも低下していますので費用面ではT-4練習機を近代化改修する案とあまり変わりません。そしてMB-339とM-346の二機種を導入するというのは少々非効率といえるやもしれません。

北大路機関:はるな くらま
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陸上防衛作戦部隊論(第十八回):広域師団直轄部隊案、後方支援の師団と旅団

2015-07-08 22:10:45 | 防衛・安全保障
■師団後方支援部隊
広域師団直轄部隊案、後方支援の師団と旅団の関係について。今回は師団と旅団の区分における師団の役割、その他の方面隊後方支援体制と旅団後方支援については次回以降に。

後方支援隊、師団後方支援隊は師団直轄部隊に対する支援に重点を置くべきでしょう。米陸軍では例えば軍団隷下に軍団支援司令部を置き、司令部隷下に装備管理部、機動統制部、3個支援群、輸送大隊、衛生大隊を置き、各支援群は隷下に輸送大隊と整備大隊及び軍団支援大隊に支援大隊を置き師団を支援しています。

そして師団は師団支援司令部を師団隷下に置き、その編成は装備管理部、主支援大隊、3個前方支援大隊、航空支援大隊、という編成となっています。前方支援大隊3個は師団隷下の歩兵旅団支援に充てるもので、航空支援大隊は師団航空旅団の支援にあたる部隊、という編成なのですが。

これを広域師団に代入しますと、装備管理部と主支援大隊、装甲機動旅団支援へ前方支援大隊、航空機動旅団支援に航空整備大隊、という形になるのでしょうが、この編成は米軍の師団隷下の旅団が後方支援部隊に当たる戦闘支援能力の多くを師団に依存しているところからきております。

この場合広域師団個装甲機動旅団と航空機動旅団に後方支援連隊や後方支援隊を配置するか否かがこの編成を採るか、直轄部隊のみの後方支援部隊に特化するかが影響してくるところ。米軍の編成を観ますと、全般支援大隊の編成は本部付隊、整備中隊、補給中隊、衛生中隊、との編成というもの。

整備中隊が2個戦車システム支援小隊と2個機械化歩兵システム支援小隊、という編成、自衛隊の第1整備大隊が米軍の主支援大隊で第2整備大隊が前方支援大隊を、即ち戦車直接支援小隊や普通科直接支援中隊という自衛隊の後方支援部隊の編制がこの部分を参考としているところが読み取れます。

衛生部隊、難しい所で旅団策源地へ野戦病院を開設し野外手術システムと救急車小隊を集約運用するのか、救急航空隊を師団隷下に置き航空機による負傷者搬送体制を構築し、師団策源地を置き十分な医療体制を構築するのか、方面隊が対処するのかと選択肢はいくつか考えられるでしょう。

この第一線救命救急、米軍では軍団隷下に衛生航空隊を配置しUH-60多用途ヘリコプター32機程度を集約し、航空救急体制を構築しています、ただ、これを行うと航空機動旅団のヘリコプター隊に匹敵する航空機が必要となる他、自衛隊は外征型ではなく専守防衛であるため、米軍の戦域の縦深と分けて考える必要があり、この当たりは方面隊の項目にて再検証する事とします。

航空支援大隊は、本部と補給中隊に地上整備中隊と航空整備中隊という編成です。そして主支援大隊は、本部付隊と補給支援中隊に自動車輸送中隊と重整備中隊と電子整備中隊に衛生支援中隊、というもの。選択肢としては直轄部隊以外に全般支援のみを扱うというものが考えられるでしょう。

広域師団に現在の自衛隊後方支援連隊での第1整備大隊を二つの機動旅団より抽出し、後方支援隊ではなく後方支援連隊とし、旅団に米軍の前方支援大隊としての機能を自衛隊方式でいうところの第2整備大隊の機能と補給及び衛生機能を付与し後方支援隊、とする選択肢も考えられるやもしれません。

しかし、航空機動旅団と装甲機動旅団は進出速度が異なりますし、広域を管区として作戦を担当できるが故の広域師団の呼称、旅団の独立した運用能力を付与させる観点からは、必ずしも師団からの全般支援に関する支援を受けずとも、指揮統制のみに特化し自由に機動運用する観点からは、独立した後方支援能力を有する事が望ましいでしょう。

北大路機関:はるなくらま
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陸上防衛作戦部隊論(第十七回):広域師団直轄部隊案、電子隊と飛行隊

2015-07-07 22:49:05 | 防衛・安全保障
■師団電子隊と飛行隊
広域師団直轄部隊案、師団の情報優位を担う電子隊、そして師団飛行隊について今回は案を提示してみます。

電子隊については、自衛隊は電子戦を通信大隊など津新部隊の任務としていますが副次的な任務であり、専門部隊は多くありません。しかし、所謂攻勢電子戦は、例えば通信量等から敵指揮所位置の標定や野戦部隊の行動など火力戦闘における目標情報は極めて重要度の高い情報です。

運用としては妨害電波などの電子戦も任務に含まれますが、電子標定装置を電波方向走査用に搭載し、通信量などから重要通信基点などを索敵、敵指揮中枢の破壊に用います。自衛隊では、特に旧ソ連軍がこの種の電子標定能力を重視した関係から、通信部隊は対標定を想定し、変換訓練などを重視してきました。

師団電子隊は、電波方向の索敵等戦域電子情報を一元管理指摘指揮所の把握やレーダーなどの戦略情報収集を行うもので、北部方面隊に配置されている電子隊に準じる装備を想定します。専門部隊と器材が必要な任務、標定中隊と対電子小隊を通信大隊とは別に配置し、対処すべきでしょう。

難しいのは電子戦能力を師団とする案を提示した訳ですが、方面隊にも特に防衛基盤という方面隊の位置づけ、野戦部隊としての師団とその隷下部隊の関係、そして第一線の旅団、ともに電子戦能力は必要です、この中でも方面隊は地対艦ミサイル連隊を有して着上陸警戒に当たりますので、洋上の目標情報を得る為にも電子標定能力は欠かせません。

電子戦能力、しかし限られた人員と器材を全ての部隊に配置しては全体の均衡が取れなくなります。そこで、用い得る選択肢ですが、師団電子隊は増強中隊規模とし、方面隊電子隊は北部方面隊第1電子隊のように増強大隊規模とする、国土防衛戦においては方面隊は着上陸地域の電子標定を主力として担いつつ、しかし第一線付近の地域は師団の電子隊が挺進に近い形で対処する、という方策を考えました。

飛行隊について。航空機は航空機動旅団の他に指揮官連絡業務や軽輸送へ、軽輸送ヘリコプター乃至観測ヘリコプターに軽輸送能力を有する機種を以て対応します。規模として大きなものでは無く、即応航空機を若干数配備し、連絡任務に充て、情報収集や空中機動などの任務は航空機動旅団に依存する事とします。

軽ヘリコプター、具体的にはOH-6D観測ヘリコプターか海上自衛隊のTH-135練習ヘリコプター程度の機体を常時1機から2機、稼働状態に置く規模としまして、数十名規模の飛行隊を置く、この程度であれば、予算面や整備面の負担は必ずしも大きくない、といえるでしょう。

ただ、管理替えとして分遣隊を受ける方式をとらなかったのは整備能力の分散などや、航空機動旅団の航空部隊全般による空中機動作戦祖阻害しない為に独立性を確保しなければならない為、師団司令部が独自に必要とする機能に飛行隊を提示しました。師団司令部付隊に飛行小隊か飛行班として位置付けても良いやもしれません。

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現代日本と巡洋艦(第十一回):日本に必要な巡洋艦案と新時代の長射程艦砲技術

2015-07-06 21:49:11 | 防衛・安全保障
■新技術の長射程艦砲
前回、巡洋艦に搭載すべき装備についての視点で艦砲を扱いました、近年はロケット補助推進方式の長射程艦砲が開発されている、と。

しかし、現代にはロケット補助推進方式ではなく、従来型砲弾に新しい潮流が形成されつつあります。こんごう型ミサイル護衛艦、たかなみ型護衛艦が搭載するOTOメララ127mm単装砲は、新型砲弾としてボルケーノ射程延伸弾が開発されていまして、これは戦車砲のAPFSDS弾の方式を応用したもの。

APFSDS弾のように装弾筒を着用し投射することで、射程を120kmと従来の艦対艦ミサイルなみに大きく向上させたものがあります。ボルケーノ射程延伸弾は、GPS誘導弾頭と赤外線誘導弾頭が開発中で、GPS誘導弾頭は海上からの連続発射により高度な対地攻撃能力を発揮させます。

特筆すべきはAPFSDS弾と同様に127mm砲弾の口径に比して、弾体が小型化されている点でして、これは威力を低下させます、威力低下は負の要素とうけとめられがちですが、付随被害の局限に寄与するという点を忘れてはなりません。赤外線誘導弾頭を装備するボルケーノ砲弾は、対艦用として開発されました。

弾速が初速で音速の三倍程度、さらに弾体が非常に小型ですので、どの程度誘導できるのか、捜索範囲はどの程度の海域なのかについての赤外線誘導精度が大きく性能を左右することとなるでしょうが、小型は即ちレーダー反射面積の低減を意味しますので、射撃前の目標位置情報という命題は残りますが、対水上戦闘を大きく変革する可能性をもつもの。

AGS155mm、ズムウォルト級駆逐艦用に開発された新型砲で、対地攻撃を重視したものです。かなりコストが大きくなるもので、重量は106t、非常に重い砲であるとともに最新型ですので有償供与が実現するかは難しいところですが、軽量型のAGSーLは51t、AGSは毎分10発の射撃能力にたいしAGS-Lは毎分6発と、低く対空戦闘能力には対応できません、が。

AGS-Lのマウント重量51tは、確かに重いですが、ヘリコプター搭載護衛艦はるな型、しらね型のMk42/73式127mm単装砲のマウント重量は58tですから、これよりは若干軽く、実際AGS-Lは対地攻撃能力向上の一環としましてアーレイバーク級ミサイル駆逐艦のMk45/127mm砲の代替として改修のさいに搭載する検討はなされています。

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富士学校創設61周年記念行事富士学校祭 PowershotG-16撮影第一報

2015-07-05 23:58:59 | 陸上自衛隊 駐屯地祭
■富士学校祭
 本日、富士学校祭に行ってきました、少々体調が悪いのでまず速報までに。

 関東地方の一部に大雨洪水警報が発令されるなど、少々厳しい気象条件ではありましたが、富士学校祭は式典会場が式典開始まで雨天に見舞われたものの、式典と観閲行進までは幸い雨が上がり、小雨が戻る中の訓練展示、待ち時間は厳しかったですが撮影機材は維持可能な天候でした。

 富士学校祭、年々規模が縮小しているのでは、との指摘がありますが、訓練展示は確かにそういった指摘が行事と合致する内容です。しかし、毎年上昇し続ける来場者の人口密度は、今年の降雨予報という天候の関係から例年よりもかなり余裕のあるものとなっていましたのが幸い。

 私事ながら体調がすぐれなかったことがあり、例年撮影位置を移動して調整します観閲行進と訓練展示を数年ぶりに同じ位置から撮影する事となりましたが、撮影位置は観閲行進を正面からフレームに収めることが出来ます良好な撮影条件と共に記録に収めることが出来ました。

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陸上防衛作戦部隊論(第十六回):広域師団直轄部隊案、情報優位に直結する師団無人偵察機隊

2015-07-04 09:10:00 | 防衛・安全保障
■師団直轄無人偵察機隊案
広域師団直轄部隊案として掲載しています部隊、無人偵察機隊、電子隊、について。

二つに分けましたが、統合し、師団情報隊としても良いやもしれません。携帯型飛行体のような携行可能な無人機は旅団が第一線において運用すべきです、特に普通科中隊や戦車中隊などに配備する事も有用でしょう、しかし師団管内を広範に情報収集するには携帯型の無人機では難しく、より高性能な航空機が必要となります。

情報優位は陸上戦闘における最重要要素であり、これは例えば東日本大震災のような大規模災害においても当初、周辺地域情報が全く把握できず、災害派遣に第一線の部隊が非常に苦労した事例がありました。必要な状況下で必要な周辺情報を得て、隷下部隊に提示する、この必要性は非常に大きい。

しかし、MQ-9のような航空機は不要と考えます、こういいますのも師団にこの種の航空機を導入しますと滑走路整備など基地機能域や飛行場確保という煩雑な任務が生じる為です。すると、最も現実的な装備は師団へのスキャンイーグル無人機の導入です、滞空時間が比較的長く、運用に飛行場を必要としません。

海上自衛隊が導入するMQ-8のようなOH-6規模の無人機も理想ではあるのですが、OH-6のように、例えば師団行事等で大阪府南部の八尾市は八尾駐屯地から兵庫県の伊丹空港に程近い千僧駐屯地の模擬戦に無人機が航空管制を越えて展開する、という状況が想像しにくいです。

行事を差し引いても、無人機に関する我が国航空法や、一般的な無人機への理解についても、例えば訓練で三重県明野駐屯地から鈴鹿山脈と琵琶湖を越えて滋賀県の饗庭野演習場に無人で飛行展開する方式が、日常的に展開させる運用は想像しにくく、有人機の規模を有する無人機の陸上運用は例えば国土交通省や総務省消防庁と警察庁の無人機での情報収集体制と連携を採る選択肢が理想やもしれません。

スキャンイーグル、既に陸上自衛隊が運用を開始していますが、師団隷下に置くことで隷下の旅団が必要とする航空情報を航空機動旅団や装甲機動旅団問わず収集するわけです。スキャンイーグルは陸上でも広範囲を情報収集可能ですが、野戦防空能力の高い脅威対象へは分散運用を行う場合、損耗が大きくなる可能性も高いことから、旅団毎に分散運用するのではなく師団として比較的多い装備定数を以て情報収集に当たる事が理想的でしょう。

この種の航空機について、師団直轄の運用を提案する翻案の他に、方面隊が運用する選択肢とだ一線の旅団が運用する選択肢がありますが、方面隊の無人機運用については、もちろん必要性はあるのですが沿岸監視等に限られたものであり、第一線部隊に必要な情報は第一線部隊が確保しなければ、方面隊を通じ戦域情報を得る、という方式では、寸秒で展開する戦域状況の変化に対応できません。

一方、無人機を第一線旅団が、スキャンイーグル程度の装備を運用する方式の検証ですが、携帯式の小型無人機と異なり、スキャンイーグルは飛行高度が高く、国内での運用では航空管制の影響をどうしても受けます。すると、平時では航空管制や有事には前線航空統制との調整を飛行前に受けなければなりません。

この為、飛行計画の作成と他の空中機動部隊との連携などを視野に含めますと、逆に情報処理能力で限界を来してしまい、装甲機動旅団と航空機動旅団の情報優位への手段の相違も表面化、やはりここは師団での運用が妥当と考えます。電子隊については、次回に掲載する事としましょう。

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平成二十七年度七月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2015.07.04-05)

2015-07-03 23:53:54 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 箱根山噴火などいろいろとありましたが、今週末の自衛隊関連行事について。

 今週末の自衛隊関連行事は、本州最大規模の戦車部隊が駐屯する富士駐屯地祭です。今週末はこの一つだけのようですが、しかしその分、観閲行進の規模は物凄く、戦車教導隊や普通科教導連隊に特科教導隊と教育支援施設隊の装甲車両など各種装甲車両が迫力の行進を行います。

 富士駐屯地は、御殿場駅から10kmの位置にあり、御殿場駅からも本数は少ないですが路線バスが運行されています。他方、自衛隊への関心が年々大きくなっており、この関係から陸上自衛隊関連行事としては最大規模の混雑で知られ、開門前の行列が有名となりました。

 式典会場の面積は大きく、かなりの来場者がその様子を見ることが出来るのですが、それ以上に来場者が多く、そして突発的な濃霧が発生する事でも有名、少々天気予報は気になるところですが、お出かけの際は雨具などの準備をお忘れ無きようご注意ください。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭
・7月5日:富士学校創設61周年記念富士駐屯地祭・・・http://www.mod.go.jp/gsdf/fsh/
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ソマリア沖海賊対処任務第22次派遣水上艦部隊、あきづき・さわぎり7月5日に佐世保基地を出港

2015-07-02 23:39:37 | 防衛・安全保障
■あきづき・さわぎり、アデン湾へ
 ソマリア沖海賊対処任務へ海上自衛隊は護衛艦2隻と哨戒機2機を派遣していますが、7月5日、第22次派遣水上部隊が出港するとのことです。

 第22次派遣水上部隊は第1護衛隊群第5護衛隊より編成され指揮官に第5護衛隊司令豊住太1佐が就きます。部隊は護衛艦あきづき、護衛艦さわぎり、2隻を以て編成され、最新型の護衛艦あきづき型のソマリア沖派遣は今回が初めてとなります。現在行動中の第21次派遣水上部隊は、第1護衛隊群第1護衛隊を中心に編成され、護衛艦むらさめ、護衛艦いかづち、が3月より展開中です。

 派遣規模は、護衛艦あきづき、は艦長麻生康晴2佐以下乗員200名、護衛艦さわぎり、は艦長佐藤剛2佐以下乗員200名、ここに第5護衛隊司令部が加わり430名、加えて海上保安官8名が同乗し海賊逮捕の法執行任務を担います。あきづき、は第5護衛隊所属ですが、さわぎり、は護衛艦隊直轄第13護衛隊の所属で、今回任務に当たり臨時編入されることとなりました。

 海上自衛隊のアデン湾海賊対処任務は2009年3月の海上警備行動命令発令以来で、常時2隻を展開させ、併せて交代の艦艇を準備するという事は、海上自衛隊の艦艇ローテーションに大きな影響を与えている事は確かです。しかし、欧州や中東地域から我が国への重要航路の一つにソマリア沖があり、護衛艦を派遣しています。

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