この2-3年花が少なかったワスレナグサも今年は元気よく咲いている。ワスレナグサはドナウ川でなくなった騎士の悲恋に因んだ花であるのは有名で、ドイツ語のVergiss-mein-nicht!が表題の英語のように訳され、世界に知られてきたようだ。
ものごとを忘れるのは良いこともたくさんあるが、忘れてはならないことを忘れるのは、ちょっと淋しいものである。最近ますます老人力が付いてきている私であるが、昨年、3.11の東日本大震災も、なんとなく自分の中で風化しているなと感じていた。そこで、最近報告書を読んだり、YouTubeの画像を見たり、昨日は内田樹氏と中沢新一氏の共著の「日本の文脈」(角川書店)を読んだりし、Forget-it-not!と奮闘している。
自分に3.11を深く定着させる。それは、恐らく3.11を深く理解することなのだと思う。今関心をもっているのは、何故「安全神話」ができ信じられない対応となったかである。これに対して、内田樹氏と中沢新一氏(オリジナルは中沢新一氏のようだ)は日本人の宗教性の問題という鋭い視点を提供されている(普通は科学と宗教を全く別に考えるが、そうだと宗教性の問題に気付かない)。生態系には存在しない原子力エネルギーをどう考え、どう接するか・・・欧米の一神教文化(キリスト教は三位一体の神であるが)と日本のアニミズム文化の相違と意識の問題などかなり核心をついている。この問題かなり奥が深く、それこそ地震の巣の中あるいは津波到来の可能性の中で原発を作るのは如何なもんか?・・・以上のメンタリティー問題があるのではないか。
ちょっと暗い話になってしまったが、「日本の文脈」は贈与と宗教性を結びつけて考えるなど、とても楽しく魅力的な本。ゴールデンウィークで、いつもと違う世界を垣間見たいという方に最適。お勧めしたい。
ストレス曲線 2/10