空気のように日本文化の中に住み、日々の生活を送っていると、どうも視野が広がらず、マンネリズムに陥りやすいようだ。
今回、台湾旅行で得た気づきの一つは、故宮博物館に行った時であった。台湾に行くなら世界有数の博物館の故宮博物館に行ったほうが良いという、アドバイスを沢山頂き、ちょっと受動的な動機から訪れた。しかし、実際に行って唐の時代の女性の像をじっくり見ていたら、高松塚古墳の壁画をふっと思い出し、それから俄然興味が湧き、合計7時間見続けた。
唐の時代(隋の時代も大切だが)。日本は大陸の脅威の中で、半島でのトラブルに巻き込まれ、傷ついたりしながら中央集権国家を形成していく。そして、この困難な時代に現代の日本の基礎(精神的なものも含め)が整理統合され築かれていったようだ。その同時代における唐からの視点。何か春の海のようなゆったりした文化。そんなものをあらためて感じたのである。
カールロジャースの人格形成理論は19個の命題からなるが、この命題は心理療法だけでなく、さまざまな現象の解釈に応用できることをU先生から学んだ。日本という文化の中にどっぷりつかり、いつの間にか偏った視点から、ある現象に対し偏った反応をする。身体をもった生物、人間、人間によって形成される社会・・・次元は違うかもしれないが、同じような傾向があるようだ。これを違う文化の視点を知ると、その傾向がよく分るのだろうか。
今、生き甲斐の心理学で古代日本や持統天皇の研究をしているが、何か、とても大切な視点を得たようだ。物事を一面から見るのではなく、別の面から見る知恵は大切。でも、結構難しいことである。
ふっと、そんな視点が変わるのは、等価変換創造理論ではないが、非常に神秘的な領域でもある。ただ、やはり心理療法のカールロジャースの6条件のような心の防衛機制を取り払う仕掛けのような条件があり。今回では、故宮博物館の4階のひろびろとしたレストランが大切だったように思う。時間をかけて香ゆたかなジャスミン茶を頂く時間。それが大切だった。因みにこのレストランへは一階の某エレベータでしか入れないので、入るまで奮闘努力した。
真面目に見学することも大事だが、のんびりする時間を持つことも大事。視野の広がりは、そんな時にあるのかも。
写真は、台湾の淡水の夕暮れ時の写真。ついでながら、次の日に台北101から同じ時刻に淡水方面を展望した写真も載せました。
歴史を振り返る 6/10