先日知人に借りた、フランスのカトリックの知識人アベ・ピエール著「神に異をとなえる者」(新教出版社)を読んでいたら、現世人類が生まれてから今に至るまでの累積人口が800億人と知った。ネットで検索しても、大筋同じような数字なので、それほど誤った数字ではないようだ。
今の世界人口は70億人を越えたそうであるので、累積数は意外に少ないというのが実感である。しかし、アベ・ピエールも述べていたが、その800億人の人間は、それこそ涙の谷を歩んできて、何のために生きている(きた)のだろうか?神はいるのだろうか?という問いかけは、恐らく永遠に理論的には解決できないだろう(信仰の世界はあるが)。
私も最近、非業の死の理不尽さをみじかに感じたりし、今さらながら、涙の谷の意味を考えることが多くなった。
さて、話は変わるが昨日は、U先生の勉強会で持統天皇を中心に日本文化の勉強をした。臨床心理学のエッセンスを生活に活かすにも、欧米から来た知識であるため、日本人の文化の特性を知らなければ、健全さを病理と取り違えたりするという問題意識からのものだ。しかし、持統天皇の涙の谷を考えるとさまざまな不思議を感じてしまう。
U先生は、オックスフォード大学などでの勉学の経験もあり、比較文化、比較宗教学などのバックボーンのもとでの勉学なのでとても楽しい。
私も習い始めて12年であるが、余りに奥が深いので死ぬまで勉強しつづけるつもりだ。そして、その勉強のポイントの一つは、この涙の谷の中で、如何に豊かな感情生活を送ることではないかと思う。
普通、日本では感情について真面目に意識する人は少ない。臨床心理学とか、そういうものにたまたま触れた人くらいかもしれない。でも、恐らく800億人の人類の魂にとって、感情生活への知恵はもっとも大切だと実感している。感情生活を豊かにすることにより、生活の質を高め真の自己実現の道を歩めるのではないか。
感情生活 1/10