京都大学、同志社大学、立教大学、早稲田大学等の試験問題が携帯のメールで漏れてそれに対する解答がヤフーの知恵袋でかなり短時間に出ていたという。
これは私なんかが想像するところではこれらの大学に入りたいと熱望している生徒が起こした事件というよりは入試制度について不信感を起こさせようとする何人かのグループの仕業のように思える。
それにしても本当にこれらの大学に入りたいと思っている学生のやったことなら、その人数は多くても数人(多めに見積もって5人、普通なら1~2人)であるだろう。だとすれば、対症療法は今回に限って言えば、定員よりも数名多くの合格者を出しておけばよい。
だが、世間はそういった対症療法では許さないだろうから頭が痛い。そこがこの事件を起こした人たち(?)の付け目なのであろう。社会としては冷静に対処してほしい。
試験場は閉鎖された空間だと思っていたら、電波はその試験場の空間から簡単に飛び出していけることが実証されてしまった。もっともヘルツがマックスウエルの電磁波の存在を実験的に検証して以来わかっていたことであったが、インターネット等の普及で体感ができる時代になってしまった。
ドイツ語にdie Klausur(クラウズア)という語があり、これは筆記試験という意味である。この語源はラテン語だそうでもともと試験のときにその試験をしている部屋を鍵で閉めて(閉じるclaudo,ere,clausi,clausum)出入りができないようにしたことから来たのだと私たちのドイツ語の先生であるR氏から先日も聞いた。
この鍵で閉めるということは外界との遮断を意味していたが、受験者を試験場に閉じ込めてみても電波は物理的に室外に飛び出せることはいうまでもない。
ところで、こういう不正な手段で試験に成功して大学に入学しても、それは手品みたいなものであるから、大学に入ってからの勉学で落ちこぼれてしまう可能性が大きい。大学に入ってからの勉学を行えるどうかを試すのがもともと大学入試の本来の趣旨である。
無理やり手品みたいな手段を用いてでも他人を押しのけて入学したいという考えはもちろん許されない。それに世間では必ずしも出た学校によらずに独自に成功を収めている人だって少なくはないのに。もう少し大きな目で自分を見ることができるようになれないものだろうか。
それにしても大学当局は一枚、一枚の解答の見直しをしなければならないだろうし、とても大量の作業を余分に要求されることになる。それぞれの大学当局にはご同情を申し上げるが、これはしかし入試の公正さの信頼の保証のためであり、仕方がない。
将来は金属探知機で試験場に入るときには個々の受験者が携帯を持ち込まないように身体検査を受けるという面倒なことにでもなろう。それともそれ以外に有効な対策があるのだろうか。