気体と液体とは似ているところがあるので、あわせて流体と呼ばれる。
これは液体も気体も自体では固有の形を持たないとか流動的とかいう性質が共通だからである。
だが一方ではこの二つは違った性質をもっている。しかし、どういうところが違うかというとなかなか明確に言える人は少ない。
(1)気体はその容器の大きさに広がるが、液体は容器に入れたとき必ず自由表面ができる。しかし、気体には自由表面がない。
(2)気体は温度が上がれば、とても大きく膨張するが、液体は気体ほど温度によって膨張はしない。その二つの性質が気体と液体とを大きく区別している。
こういったことは確かに物理の授業で習ったことはないが、もちろん物理のテキストをよく見れば書いてある。しかし、あまり意識されていないことなので、このこともいわば授業のネタの一つにしていた。
学生は変なことを尋ねる先生だと思ったかもしれないが、誰でも知っていることでいざ開き直って聞かれるとはっきりと答えられないことを尋ねることは学生に一歩進んだ理解をもたらす一つの手段と考えていたのだ。
(2011.4.16付記)
上記の気体と液体の違いにもう一つ大きな違いを付け加えておく。
(3)圧力を加えて、液体はほとんど圧縮されず、体積の変化があまり起こらないが、気体は圧縮すれば、液体と比べてかなり容易に体積を小さくすることができる。これも気体と液体との大きな違いであろう。
液体は固体から液化した直後では液体というよりは固体に近いということとか、逆に気化が起こる直前の液体は気体によく似た性質をもつと「科学の事典」(岩波書店)に書いてあった。