歴史的にはもちろんBohrの量子条件(1913)があってその後約10年程してde Broglieの電子の波動性(1924)が提唱されてBohrの量子条件が実体論的になった。
Bohrの量子条件は現象論ではないにしても、なんだか天下り的で天才の閃きによるものとしか思えない。
もちろん、de Broglieの電子の波動性もそのアイディアは天下り的であるが、それによって量子条件が実体論的裏づけを得たと思う。それで「de Broglieの物質波仮説」は私の好みに合っている。
もっともde Broglieの「物質と光」(岩波文庫)に収録されている、彼のノーベル賞受賞講演によれば、その着想は単なる天下りではなくちゃんと理由があることがわかる。いずれにしてもいろいろな意味でde Broglieは私の昔からの憧れの学者である。
(2013.5.25 付記) de Broglieはあまり難しい数学は使わないで物理学を研究するというタイプの学者であり、人とのつきあいがあまり上手ではない人であった。
そういうところが私の好みとあっている。私もあまり人とのおつきあいが上手ではない。また、数学があまり得意ではない。
もちろん、世の中の一般の人と比べれば、数学が下手だとは言えないかもしれないのだが、それでも私は数学が得意ではない。
(2013.6.10 付記) 先日、Yangの論文選集II (World Scientific, 2012) を読んでいたら、Bohrの量子条件をde Broglie流に解釈した述べ方がした図が出ており、私が上で述べたような捉え方をYangもしているらしい。
私のようなぼんくらの物理学者でも、ときにはYangと似た考えをもてたということであろう。