物理と数学:老人のつぶやき

物理とか数学とかに関した、気ままな話題とか日常の生活で思ったことや感じたこと、自分がおもしろく思ったことを綴る。

波とはなにか

2007-10-20 10:44:18 | 物理学

波と振動とはどういう関係にあるのだろうか。

このことを物理を教えていてよく考えてなかったことに気がついたのはもう大学で教えはじめてから10年以上経っていた。

そのころ「フィジックス」(?)というある物理の雑誌に波動の数学的表現についてのエッセイが載った。それを読んでやっと波動と振動との区別がはっきりしたのであった。

波動のことをもし教える機会があれば、自分に理解できていないことは教えることができないから、納得するまで理解を深めようとするのだが、そのときまでそういう機会がなかったのであろう。

さて、まず振動だが、「振動はある場所で起きる周期的な現象」である。「波動はそのある場所で起きた振動が周りの空間に伝わっていくこと」である。

また、どのように波動を数学的に表すかも「フィジックス」の解説記事には書いてあった。それを読んでやっと波動について理解したと感じられるようになった。

それまでは正弦波の波動の形を丸暗記していたのだと思う。波動の数学的表現についての説明を高校の物理の授業で聞いたことは覚えているが、なかなか難しいところがあり、そこが十分にわからなかったから正弦波の形を丸暗記していたのだ。

それが大学で教えるようになっても10年くらいは同じ状態が続いていたが、やっと丸暗記から抜けられたと思う。もっとも波の正弦波の形は高校の頃と大学、大学院と経るにしたがって記憶する波の形は簡便にはなっていったのだが。

要するに波動はある地点での振動の形が別の場所に移動して行くのだから、時間的な平行移動である。

ところでグラフの平行移動をどう理解するかであるが、これは私の中学校以来の理解の十分にできていないことの一つであったが、最近になってやっとこれについて納得ができたと感じている。

すでにグラフの平行移動についての数学エッセイの予稿をつくっているのだが、いくつかの図を付け加えることがまだ出来ていないために完成をしていない。原理的な問題として問題が残っている訳ではないが。

それにしても中学校かせめて高校時代に解決すべきことをやっと70歳近くになってやっと納得するなどというのはなんて遅いことだろう。

(2013.5.13 付記) グラフの平行移動についてはすでに愛媛県数学教育協議会の機関誌「研究と実践」103号(2009.12)に発表した。

またその中の一番の要点については、このブログでもどこかで言及してある。もし気になる方は「グラフの平行移動」で検索をしてみてください。

(2020.9.16付記)グラフの平行移動については「数学・物理通信」9巻6号に掲載してある。インターネットで「数学・物理通信」と検索したら、すぐでてくるので調べてみてください。

波の数学的表現法については昔大学の振動と波動の講義でしたことがあると思うが、「数学・物理通信」でも一度取り上げておくことが必要だろう。

私の知人だった故 Y 先生は愛数協の機関誌「研究と実践」でフラフの平行移動は2次元の現象の本質を突いたものではないというご意見だった。

それはある意味で正しいが、波の数学的表現を理解するためには本質的な役目をするというのが現在の私の見解である。