物理と数学:老人のつぶやき

物理とか数学とかに関した、気ままな話題とか日常の生活で思ったことや感じたこと、自分がおもしろく思ったことを綴る。

戸田清先生

2007-10-03 12:36:18 | 数学

戸田清先生を知っている人はかなり年配の方に違いない。

私が高校生のころ旺文社のラジオ受験講座で一世を風靡した先生である。戸田先生と田島一郎先生はコンビで共にわかりやすい、いい数学の講義をなさっていた。

中学2, 3年、高校1, 2年とあまりいい先生に教わらなかったので数学がわからなくなって興味を失って英語学かなんかを大学で学ぼうかと思っていたが、高校2年のときに人生の行く先を考えて理系に戻ることにした。それはかなりつらい決断だったが、その決断は間違っていなかったと思う。

その決断を促したのは戸田先生のラジオ講座と高校2年の中ごろから読み出した藤森良夫先生の書いた『解析の基礎』というシリーズの受験参考書だった。

『解析の基礎』前、後、続(考え方研究社)から代数計算の仕方を学んだ。また戸田先生のラジオ講座から合理的、科学的思考を学んだ。それが私の本来持っていた、科学嗜好を呼び覚ました。

大学の物理学科の同級生はほとんど小さいときからずっと続いて理科や数学が好きな者ばかりだったが、私はいったん挫折しかかっていたので、そういう学生は珍しかった。

思うに教育っていうのは気の長くなるような話である。戸田先生や藤森先生のおかげで今日の私がある。そしてそれに感謝の意を表明するということもいままでなかった。

「穀物を植えるのは1年の計、木を植えるのは10年の計、人を教育するのは100年の計」と高校の漢文の時間に教わったが、まさにその通りである。

(2021.3.2付記)  数学者の戸田清先生の所属していた大学の学部は違うが学生だったので、先生が退官の講義をされたときに聞きに行ったことを覚えている。ときどきは学内でもお見かけしたことはあったように思うが、それほど頻繁にはお会いしたわけではなかった。

ブリルアン帯

2007-10-03 12:14:23 | 物理学

固体物理学を専門にしている人なら、「ブリルアン帯」とは誰でも知っている言葉だが、これをどうやってつくるのかは私は知らない。いやテキストに書いている方法を知ってはいるのだが、分からないところがある。

3次元空間でのブリルアン帯でなくて、平面での正方格子ならキッテルの本にも載っているが、第1ブリルアン帯、第2ブリルアン帯へと進んで行くと図に出ている、ある領域がその第何番目のブリルアン帯に属するのかをどうして決まるのかわからないところがでてくる。

そのことをどう考えるのか書いた本などあまりないが、溝口正さんの「物性物理学」(裳華房)の本にようやくその説明を見いだした。他の本ではその決定の仕方を見たことがない。こういう疑問は私だけのことなのだろうか。

それとも固体物理学の学生は研究室でそういうことをちゃんと学ぶのだろうか。確かに研究に入る前の大学院生のセミナー等で、普通に本には書いていないことを学ぶのが普通である。

私はもちろん固体物理学の専攻生ではなかったから、そのことを聞いたことがないのは仕方がないが、このことを固体物理の専攻の大学院生に聞きたいところである。