「7才からの微積分」という題の本が講談社のブルーバックスから出ている。
これはいまをときめく数学者の新井紀子さんが訳されたものだが、私の知人の滝本さんが著者のDon Cohenとメールでやり取りをして翻訳権をとったものであった。出版してくれるところを探して講談社に行き着いたと思う。
まだ現役で大学に勤めていたときに滝本さんが突然電話してこられ、その訳本に対応したWork Sheetという英語の本をもらった。数冊彼がDon Cohenから送ってもらったものの一冊であった。
滝本さんはこのWork Sheetの方を高く評価していてこちらを訳して出版したかったらしいが、こちらを出版しようという出版社は出てこなかった。
なぜいまこれを問題にしているかというと、sin xの微分をM大学の講義での演習問題に出てきたが、それをどう教えるかということでここ2,3日頭を悩ましているからである。いまのアイディアはsin xの接線の傾きがcos xとなるということを一々確かめるということで行こうと思っている。
時間が十分あるならば、sin xの導関数を導くのはいいのだが、これは質問で出たもので、説明をするのに時間を取るのははばかられる。
なにせ中学校の数学以上のことを学生に期待できないのだから、制約を受ける。もっともそういう低レベルであることに不満な学生もいるのでまたこれが悩ましい。
でも、Don Cohenではないが、7歳から微積分を学ぶことができるというのに、大学生が微積分を嫌うというのは逃げでしかないとは思うが。