「夏は暑く、冬は寒い」などと言っても当然のことではあるが、昨夏はことのほか暑かったし、現在の冬の寒さもかなりのものである。特に私たち瀬戸内海地方に住んでいるものにはわからないのが日本海側の積雪のすごさである。
2mも雪が積もると聞いても私たちにはその雪下ろしの労働のきつさは想像ができない。その雪下ろしのために命を落とす人がいるのである。
Uさんは昔の知り合いであるが、福井県に住んでいる。雪下ろしをしたくなくても家がつぶれてはいけないので、どうしても雪下ろしをせざるをえないのだと話をされたのはもう何十年も前のことである。
Uさんは水泳で鍛えた立派な体をもっている方だが、その彼でもへこたれることがあるくらい日本海側の雪のすごさはあるのだと身にしみては想像できないながらも、感じ入ったものである。
Aさんは金沢に住んでいるが、雪の日本海側に住みたくないというので、太平洋側に職を求めていたのだが、結局金沢に職を得て、金沢に住みついた。金沢は都会なので、雪はそれほどではないかもしれないが、それでもかなり影響はあろう。福井出身のAさんでさえ日本海側の都市には住みたくないと思うのだから、日本海側の積雪はすごいのだろう。
最近ではしかし積雪の利点も言われるようになってはいるが、それでもこの冬の積雪のための苦労は並大抵ではない。従兄のKさんは勤めが富山県であって、長年高岡市に住んでいた。晩年には千葉市に自宅があったが、70歳ちょっとで亡くなった。これは長年の高岡暮らしが寿命を短くしたのかどうかは定かではない。