というのは立花隆さんの1995年に文芸春秋社から発行された本である。昨日、たまたまこの本に接する機会があり、その大部分を読んだ。
さすがに、「知の巨人」と言われる立花さんだけあって、読んでとても興味深かった。この本は I から V までに分かれているが、いま IV までを詳しく読んだ。V はちょっと一部を拾い読みしたところである。
数回に分けてこの感想を書きたいと思ったが、昨日読んだばかりだのにあまり覚えていない。それにしてもなかなか実践的な教えもあって、私なども学びたいという気もするが、やはり立花さんは優れた才能をもった人なのだろうと思う。
つまらないことから、話をして行こう。彼は長崎市の鳴滝で生まれた。その生年月日が私よりも1年後で、誕生日が私の一日後である。それで、立花さんは私とほとんど同年代だと知った。
「知の巨人」と称されるくらいの人なので、私よりも数歳上の方かと勝手に思っていた。またまたつまらないことをつけくわれれば、彼の生地の長崎市鳴滝というところは住宅地なのだろうか。私の大学時代の友人が長らく、そこに居を定めている。
それで、いわゆる長崎の出身というのかと思ったが、そうではなくて、高校一年までは茨城に住んでいたという。それも、また私よりも数歳年下のこれはきわめて近しい友人が卒業した、水戸一高に在学していたが、そのうちに東京都内の上野高校に転校して、そこを卒業して東京大学仏文科に入学して、そこを1964年に卒業している。
大江健三郎さんの仏文科の後輩ということになる。卒業して、文芸春秋社に入り、2年間週刊誌の記者として働いた後で、同じ東京大学の哲学科に学士入学をして、そこは卒業はしないで、中退しているらしい。これはその哲学科に在学中にいろいろ雑誌に書く仕事が忙しくなったためらしい。
だが、その哲学科に在学中に英独仏語に加えてペルシャ語だとかハングルだとか、ギリシャ語やラテン語まで手を伸ばしてほとんどマスターしたというからただの人ではない。
それに後年の取材活動でもよく知られているように最先端の科学の取材をできるだけの猛烈な学習と読書のできる知力の持ち主である。立花さんは数学が好きであり、数式を毛嫌いしない優れた能力をもっている。
この本に書いてあるところでは、アインシュタインが導いたことで知られる有名な公式 E=mc^{2} でも c は真空中の光の速度で、それは定数であるから、エネルギー E と質量 m とが互いに比例しているのだと、ちゃんとした記述をしてある。「だから、すべてを計算するのは必要ないのです」という。
いわゆる、文系の人というイメージはまったく払拭されるし、実際にそうである。まさに立花さんが「知の巨人」と称されるのは誇張ではない。
もっと個別の立ち入ったことを書きたいと思うが、次回以降にゆずろう。
(注)この本の中で何ページだったか、「量子力学におけるトンネル効果は非現実である」との記述があったが、これは何かの書き損じか、なにかの勘違いであろう。
原子核からヘリウムの原子核が放出する、アルファ崩壊だとか半導体のいわゆるエサキダイオード等ではトンネル効果は実験的に検証されており、非現実の現象だと考える物理学者はどこにもいない。