とまで言ってはどうかと思うが、先日から『高校数学で分かるボルツマンの原理』(講談社ブルーブックス)を読んでいる。昨日はようやく統計力学の章を読んだ。これはほぼ大学で学ぶくらいの内容である。
使ってある数学は私には難しくはないが、これは高校数学のレベルを部分的には越えているのではないかと思う。まえがきに書いてある物理の内容は大学レベルだと書いてあるが、それはまちがいがない。私みたいに気が短くて、すぐに核心に入ってほしい人にはこの本は都合がよくできている。
気体分子運動論の章を飛ばして、統計力学の章を読んだことはやはり正解であった。気体分子運動論は歴史的にみたら、革命的なのだろうが、私にはあまり感銘を受けなくなってしまっている。統計力学のところはそれらをすでにほとんど知っているにもかかわらず、私にとって読んでいても興味深い。
その一部は私が大学に勤めていたころには教えたこともある内容であるから、懐かしかった。ということで今朝起きてから、朝食の準備をする前には昨夜の続きで、気体分子運動論のところをちょっと読み始めた。とくに新しいところはないが、それでも自分の知識を思い出すくらいの役割はある。
1章と2章をすっ飛ばして、エントロピーの第3章を読み、つぎに第5章の統計力学の章を読み、いま第4章の気体分子運動論を半分近く読んだ。
大体が、小説でも何でもはじめのところが退屈である。そこをどうやって切り抜けるか、それが私が本を読むときの心掛けているところである。昔、遠山啓の『数学入門』上(岩波新書)を読んだときにも最終章から前へと読み戻ったという経験がある。これは私には序章が読む気がまったくでなかったからである。
もっともそういうことができるのもやはりある程度の予備知識をすでにもっているからでもあろう。それはどこで身につけたかと言われても困るが、長い間に身につけた自分自身のものがあるということであろう。
それが他の人と比べて大きいということはもちろんないが、それでもまったくゼロということでもない。