物理学者のGibbsがHamiltonの四元数とGrassmannの外積代数からどこをどのように選び出して、いまのベクトル解析をつくったのか、知りたいと思うようになった。
M. J. Crowe "A History of Vector Analysis" (Dover)という1冊の本にいわゆるベクトル解析の歴史が出ているのだが、まだ十分詳しくは読んでいないからか、どうもその肝心のところはあまり書かれていないような気がする。
ベクトル解析の歴史については、1冊本を書くくらいの内容があるということではあるが、その要点は1冊の本を書くほどの多量の内容ではないのだと思う。もちろん、それほど簡単ではないにしても。どこをどのようにうまくつまみ食いをして、ベクトル解析をつくったのか。そういうことを知りたいという気持ちである。
どの本を見ても、Hamiltonの四元数とGrassmannの外積代数からベクトル解析をつくったということは書いてあるが、その詳しい取捨選択のいきさつがたらないような気がする。
四元数の発見のいきさつだって、私がHamiltonのメモや論文から四元数発見の思考を解読するまで、日本の社会では詳細な経緯は知られていなかったと思う。そういう検討をされたとしても、それを発表するという人はいなかったと思う。これは世界的に見たら、そのHamiltonの論文やメモの解読は私が世界で一番初めではないかもしれないが、そういうものを私自身はまだ見たことがない。