どこからきたのか。それをパッと答えることができる人はやはりなかな理解が深い人だと思う。
いつのことだったか忘れたが、行列の積をどうやって導入していたかを、私が行列というモノをはじめて知った、矢野健太郎『代数学と幾何学』(裳華房)で調べたら、これは
線形変換を2回続けて行う
ことから導入がされていた。
ところがこれを大学ではじめて M 先生から教わったときには、3次元の線形変換を2回続けてする、という計算をされたと思うが、面倒なことをするものだと感じたから、物事がきちんとわかっていなかったということがわかる。
行列の積の導入がどうだったのかを疑問に思い出したのは行列の積を学んでから30年以上経ってからだというのは、やはりよっぽど私は「のんき坊主」であったということであろう。それよりももっとひどいのは、ベクトル代数のスカラ積とベクトル積の定義はそのまま覚えてしまって不思議とも何とも思わなかった。
もう人生が終わりそうになって、疑問に思い出して、「あれっ」と思うようになった。どれだけ私はバカなんだろうと思う。
ボイヤーの『数学の歴史」5(朝倉書店)でCayleyのところを読んだら、「2次元の線形変換を続けてする」ということで「行列の積の定義」を説明している。CayleyとかSylvesterらが数学に行列という概念を導入したと書いてある。