自分では使ったことのない日本語が81歳になった今あることに気がついた。
それは回向という語である。普通「回向する」と動詞として使うのだろうか。いま岩波『国語辞典』を引いてみたら、
「読経・布施などを行って死者の冥福を祈ること」
とあった。およその意味は知っていても詳しい意味を知っていたわけではない。
これはたぶん字として読んだことは今までにあったと思う。だが、自分で使ったことはなかった。
日本人として生きてきて、かなり難しい言葉も知っているのだろうが、そのすべてを使うということはないものだと知った。