2014年に『四元数の発見』(海鳴社)を書いたときにこの本の10章は「球面線形補間」を取り扱った。
この章で「球面線形補間」の導出法を5通り書いた。その後の11章の「四元数のひろがり」の章末で、通読して興味深い文献として金谷一朗『ベクトル・複素数・クォータニオン』www.nisilab.sys.es.osaka-u.ac.jpがあると書いた。
しかし、このサイトでの球面線形補間の導出法は理解できなかった。先日たまたま、このサイトの記事を2014年当時にプリントしたものを見かけた。
それをまたちょっと見たのだが、やはりよくはわからなかった。考えとしては悪くはないが、私には理解ができなかった。
だが、そのことが気になったので先日の夜に風呂に入ったときに少し考えてみたが、なかなか考えがまとまらなかった。
今日の午前中に妻が病院の定期健診でいなかったので、その待ち時間を使って考えてみたら、ようやく自分で納得できる説明がわかった。金谷さんは、こういうことを言いたかったのだろうというような。
私は『四元数の発見』ではベクトルの直交化法としてGram-Schmidtの直交化法を使ったが、そういう知られた方法でなくても、あるベクトルに垂直な別のベクトルをつくることができることがわかった。それで、私の本の10章を補足する必要が生じてきた(注)。
このようやくわかった球面線形補間の導出法がどうも金谷(Kanaya)さんの導出法だったのだろうが、どうも説明が簡単すぎて私には理解できなかった。
金谷さんはその後、大阪大学から九州のどこかの大学へ移られたと思うが、私の要請に応じた説明をどこかで展開されたかどうかは知らない。
最近、『3Dグラフィックスのための数学入門』(森北出版)を購入したのだが、これにも球面線形補間のことが書いてある。間違ってはいないが、説明がいいとはお世辞にもいえない。そしてこの本の説明は金谷さんの説明とよく似ている。
この本は私の本が出てから1年後くらいに発行されたのだが、私の本を参照文献にはあげていないから、知らなかったのだろうか。
もっとも『3Dグラフィックスのための数学入門』のもう一つのテーマはスプライン曲線のことなので、文献としては存在価値があるだろう。
(注)金谷流の球面線形補間の導出は近いうちに「数学・物理通信」に書きたいと思っている。しかし、これはいくら早くとも9月の発行の「数学・物理通信」にしか掲載できない。このことをお許しを願いたい。