「仁科芳雄書簡集1,2,3」(みすず書房)が2007年に発行されている。しかし、これが1冊15,000円をこえる値段で3冊だと4.5万円を越える。
買いたいけれども懐具合を考えたら、買うことができない。内容を見ていないので、4.5万円の価値があるのかどうかはわからないが、これだけの値段がついたということはそれだけの価値があるのであろう。それに関係者の努力といえばこの値段では引き合わないに違いない。
ある有名な力学の本の訳を私を含めて3人でやって、やっと2月に下巻の発行予定までにこぎつけたが(上巻は3年前に発行済)、これに払った労力は膨大なもので、これをもし時給500円で換算しても、私一人の分でも百万円のオーダーは優に突破する額になるだろうからである。
それぐらい長時間の労働の結果できたものである。いわゆる金儲けではこんな仕事は絶対にひきあわない。これの印税は8%で3人で分ければ、ちょっとしたタバコ銭ぐらいにしかならない。もっとも私はタバコをまったく吸わないが。
そう思えば、本当は4.5万円の書籍の値段は高くはないのだろう。しかし、やはり年金生活の私には高すぎる。だが、一度見てみたい気がするし、このごろはこういった高価な本は大学図書館も購入しないようだ。
(2011.11.17付記) その後古書としてインターネットで購入したが、それでも全3冊で3万円くらいはしたのではないかと思うが、もうその価格は覚えていない。
購入したときにざっと眺めて後は書棚に入れてそのままである。もっともいつでも見ることができると思うと安心をする。図書館に脚を運ぶ手間をなかなかとれないので、それだけでも助かる。