時計が好きな人とそうでない人とがある。妻は時計の好きな人である。
私は時計をもたない主義である。だが、時間とのせめぎあいもある。時計を持っていないわけではなく、カバンにいつも入れている。それで、時間を知りたいときは大抵誰か人に聞くことにしている。
Vous avez l'heure ?(ヴ ザベ ルール)とは表向きは時計を持っているかという意味だが、実は時刻を聞く表現である。もちろん、Quelle heure est-il ? (ケル-ル エーティル)という表現もあり、妻などはその昔大学宿舎に住んでいたころ「今何時という意味ですよね」とか言って、同じ宿舎の奥様に感心されたということがあるが、彼女の知っているフランス語はそれしかない。
この話は前にも書いたことがあると思うが、もともと話が出てきたのは方言でケラレという、アブラムシといわれる虫のことが出てきた時の話である。
話がまったく飛んでしまったが、そういうことはいつものことであるから、驚くことではない。
(2013.3.28付記) 上で「何時ですか」というのをQuelle heure est-il ? (ケル-ル エーティル)と書いたが、このごろは口語的表現としてIl est quelle heure ?(イレ ケルール)という言い方を教えてくれる。40年以上昔の、朝倉季雄先生のNHKのフランス語ラジオ講座ではそんな表現を全く学ばなかった。
「お名前は」などというときでもVous vous applez comment ?(ヴ ヴ ザプレー コマン)というと教えられてComment vous applez-vous ?(コマン ヴ ザプレー ヴ)という畏まった表現は教えられてもかなりフランス語を学んだ後である。
だから言語も時代と共に変わって来ている。Ce n'est pas un chien(これは犬ではない)は口語ではC'est pas un chienとneが落ちるのが普通らしい。だから否定の語としてはneよりはpasの方が重要視されてきたということであろうか。