物理と数学:老人のつぶやき

物理とか数学とかに関した、気ままな話題とか日常の生活で思ったことや感じたこと、自分がおもしろく思ったことを綴る。

60年進歩なし

2015-12-15 10:43:06 | 日記
これは私のことである。

先日来、オイラーの公式の導出として高校生のころに勉強した学習参考書に説明がしてあったように思ったので、ほとんど60年ぶりにとりだして読んでいる。

これを読んでいると私の数学の知識がこの本に多くよっていることがわかると同時にそれからいくらも数学の私の知識が進んでいないことに愕然とする。いろいろのことを大学と大学院で学んだはずなのに。

もちろんこの本に書いてないことは多分多いであろう。それでもこの本の延長上にあると考えられることも多いように思う。どうもがっかりという気がしないでもない。

そんな学習参考書があるだろうか。オイラーの公式をある特殊な方法で導いたり、三角関数の表のつくり方を書いていたりする学参であった。

『解析の基礎』続(考え方研究社、1954)がその書である。いま読んでもつまらない書とは思わないということは高校生の私には十分はわからなかっただろうと思う。

それにしてもこんな本をまだもっているというのは物持ちがいいですね、私は。

Tikzではじめて図を描いた

2015-12-14 16:52:02 | 日記
先週の金曜日と土曜日にTikzをつかって初めて図を書いた。まずはじめになにもTikz関係の文を入力をしないでやってみたら、エラーがでた。あれ、またこれでも図が描けないのかと一瞬がっかりしたが、それはグラフィックス等をプリアンブルに書き込んでいないためだった。

それから、それらのグラフィックス等をプリアンブルに先に取り込んだ後でTikzを取り入れたら、エラーがでなくなった。ということで私としてははじめてのTikz使用例となった。これはある不等式をグラフで解くということにTikzを使ったのである。

もちろん先に自分で手書きの図を描いてあったのだが、それを入力してきちんとその通りに出て来た時には当然なのかもしれないが、ちょぴり感激した。

私のようなものにもTikzが使えそうだということで。いままでpicture環境を使って図を描いてきたが、なかなか手間がかかって仕方がなかった。特に曲線を描くことは面倒だった。円とか楕円を描けはするが、一般の曲線の場合に2次のベジエ曲線ですべての曲線を小分けにして描くとどんな曲線でも描くことはできないことはないけれども、とても骨の折れる仕事だった。それが簡単に描けることが期待される。

もし、Tikzの使い方に上達すれば、図を描くのが格段に楽になるのではあるまいか。まさに、Tikzさまさまである。

オイラー公式の導出法、その後

2015-12-14 16:31:39 | 日記
以前にオイラー公式のいろいろな導出法についてエッセイを書いたのだが、岩波新書の『数学入門』下巻を見ていたら、私が前のエッセイに採録しなかった導出法が載っていた。

もっともまだその詳細を理解したわけではない。複素数を使った導出法であり、これを理解することがいまの私の課題である。一部の注になっているところ不等式がどうして導かれたのかがわからなったが、なんとか理解できたのではないかと思っている。もっともそうすると他の疑問点が生じて来た。

だからもっと突き詰めて考えて見ないといけないのは確かだが、少なくとも私が採録しなかった方法があることがわかった。いままでに採録した導出法は最低でも7つある。

8つ目の導出法を私が理解できるかどうか。いまのところ完全にはわかっていない。

母と暮らせば

2015-12-14 12:11:46 | 日記
井上やすしの演劇と映画である『父と暮らせば』はどちらも見なかったが、井上やすしが生きていたら脚本を書くつもりだったという『母と暮らせば』が山田洋次監督の脚本で映画になった。

妻が土曜日に見に行こうかと言っていたのだが、土曜には見に行くことができず、日曜日の昨日、重信シネマサンシャインで見た。金曜日か土曜日が初日であったはずなので人がたくさん見に来ているかと思ったがさにあらず。

もう原爆とか敗戦とかは遠い昔のことだと思い知らされた。私の5,6歳のことであるから、もう70年ではあるのだが。

物語は結構明るいものであり、おもしろかったが、吉永小百合さん演ずる母親が生き残り、息子の方が原爆で即死したという設定であり、母親の方も原爆の後遺症のせいかなくなってしまう。

息子の恋人だった、若い女性の「まちこ」さんとお母さんの吉永さんと息子の二宮和也さんとのドラマである。息子は長崎医科大学の学生であったのだが、その前は山口高校の学生であったという設定になっており、山口高校の校歌を歌ったりする。

後で妻に山田洋次監督が山口高校の出身だから、校歌もよく知っているだろうねと話したら、このことを妻は知らなかった。もともと映画製作に協力してチケットを一枚買っていたことが今回の映画を見ることになった理由である。

もっともわからなかったのが、8月9日は夏休みであり、講義を聞いていた時に原爆が爆発して亡くなったというのは分からなかった、夏休み中に講義をしていたのかしら。すぐに突っ込みを入れたくなったが、そういうことを言うとドラマが成立しなくなるので野暮というものであろうか。

野坂昭如さん死去

2015-12-14 12:01:09 | 日記
野坂昭如さんが先日亡くなった。戦後焼け跡派と自称した人は小田実やこの野坂さんがいる。

加藤周一が数年前に亡くなり、頑健と思われていた小田実が亡くなり、井上やすしさんが亡くなり、今年は若い時にはやはり元気だったという鶴見俊輔さんが亡くなり、野坂さんが亡くなった。

九条をまもる会の発起人でまだ健在なのは大江健三郎氏である。

野坂さんに話題をもどせば小説の「火垂るの墓」は読んだことがないが、アニメでは見て感銘を受けた。ちょっと野坂さんは三島由紀夫に似ていて、小説を書くだけではなくテレビに出たりするというところがあったと思う。それがいけないとかいうことではなく、そういう作家もいるとことであろうか。

戦争や戦後の焼け跡を知っている人が亡くなるのはやはり寂しい。

大村智さんは名伯楽

2015-12-12 11:58:44 | 日記
だという。自分自身が優れた研究者であるのみならず、学位を出した学生は120人、門下から教授になった人は30人と聞けばその規模の大きさに驚く。

大村さんはすべて研究成果はチームワークによると言われているが、それは本当らしい。彼は山梨大学の出身であるから研究の初期には弱小大学出身の悲哀も味わったことであろう。

ただ、その点で余り学歴だとかにはこだわらないで関係した研究グループの人には学位をとることを勧めたらしい。こういうことができるのは本人の業績や人格も優れており、また偏見がないことも重要な要素であろう。

すばらしい研究者がいたものである。

だが、こういう調子で日本から30年後にもノーベル賞受賞者が輩出するということは日本にはなくなるだろう。それくらい国立大学に配布される研究費はすくなくなっている。これではどうしようもない。折角ある創造性の根源を断とうとしている。

だれか優れた人にだけ研究費をまわせばよいというようなものでないことはちょっと研究に携わった人ならだれでも知っていることなのだが。
国の財政赤字でどうしたらよいかわからなくなっている。

山頭火

2015-12-12 11:38:46 | 日記
勝山町(電車通り)で、松山東署前の労研饅頭を買いに行ったら、山頭火の句があった。

    豆腐も饅頭もみなうまい 山頭火

この饅頭は「まんじゅう」と読むのではなく「まんとう」と読む。中国語にまんとうという食物があるが、それと同じ発音である。

これは俳句になっているのかどうかはわからないが、この饅頭は労研饅頭のことだと伝わっているらしい。お店の人が教えてくれた。

それで私も俳句にも川柳にも短歌にもならないが、

    山頭火 愛でた饅頭 いまも食べ  徹

徹は私のハンドルネームである。昨日友人のお見舞いに行ったら、友人の大学時代の先生が有名な俳人だとかで、その弟子に大学を出てから大分経ってなったと聞いた。彼は一日一句を詠むことを先生から勧められているそうだが、なかなか一句はできないのだという。

それで、たくさん先生に送ってのだそうだが、何百という句の中でほめられたのはただの一句だという。でも一句でもほめられるとうれしいものらしい。どうしてこういう話になったかというと最近『数学・物理通信』の5巻9号と10号を同時に発行したのだが、その編集後記に友人は俳句を入れようかと思ったそうだが、私が気に入らないかと思ったらしくて遠慮をしていたらしい。

そういう遠慮はいらないと伝えた。


寒くなると始動が遅くなる

2015-12-11 12:51:51 | 日記
今日は起きたのはそれほど遅くはなかったのだが、仕事場に来るのが大分遅れた。

妻が医療生協の会議にでかけるので、洗濯ものを私が干したりその後で新聞を詳しく読んだりしたからである。これは実は今に限ったことではなく、現役時代もそうだった。昨夜のドイツ語のクラスから帰ったら、9時30分過ぎであり、それから夕食を食べ、その片づけをしたが、9時からのNHKのニュースは当然のことながら見ることができなかった。

ということで10時過ぎからコタツの前の座椅子に座ってチルンハウス変換についてのインターネットからのプリントを読んでいるうちに眠ってしまった。これがあまりわかりやすくはなかったからだろうか。気がついたら2時になっていたので、歯を磨いて寝た。

私は最近はあまり不眠はない。それですぐに寝入ったと思うが、覚えていない。8時45分ころに目を覚まして下に降りて行った。新聞を簡単に読んだ後で朝食をとっていたら、そのころ妻が会議にでかけた。それで洗濯物を干したのだが、数日洗濯をしていなかったせいか洗濯ものが多かったために結構干すのに手間がかかった。

なんでもやることが遅いといつも妻に文句を言われる。それでも妻はあまり私に苦情は言わないように我慢しているらしい。

TEDのドローン

2015-12-10 17:54:00 | 日記
TEDのドローンって変な題だが、昨夜のTEDのスーパープレンゼンテーションのqaudcopterの動きのよさに妻が感心していた。ドローンの上に棒を乗せたり、水を入れたグラスを乗せたりしても水がこぼれなかった。

スピーカーの話ではグラスの水は特に特別のプログラムを使わなくても水はこぼれないという。しかし棒を立ておいてこれが倒れないようにするためには天井から監視してその位置とかを1秒間に10回の測定し、それに応じてバランスをとるプログラムを搭載して計算してバランスをとっているのだという。かなり長い棒であり、多分1.5mもあったろうか。それがドローンを左右上下にかなり急に動かしてもその棒が倒れないというのはさすがに圧巻である。

ドローンにはプロペラは4つなければならないという。ドローンを自由に操縦するためには。どうやって姿勢制御をしているのか知らないが、多分、四元数で計算しているのであろう。昨夜はよく気をつけてみてはいなかったのだが、前にこの人はETHのある学部の教授だったと思う。

ごく最近の話題では「あかつき」という人工衛星が金星の軌道にうまく乗ったということがある。どれくらい大変なことなのか実感はわかないが、数万通りの軌道を女性研究者が計算したということで話題がまたまた大きくなった。

もっともそのいくつかを手帳に書き留めていたというのが、意外とアナログだという感じがした。こういう計算はなかなか実感として古い記憶が私にもある。もっとも軌道計算のような実用性はまったくなかったけれども。

大学の計算センターでいまのパソコンよりもはるかにはるかに性能がわるいコンピュータ―で夜中に一人計算しては夜中をすぎて2時とか3時にやっと家路につくという生活だった。

Mさんの思い出

2015-12-10 12:15:26 | 日記
M さんは松山出身の実験物理学者であった。学生実験の指導が厳しいとかで学生からはあまり好かれていなかったようだが、私は入試の作問委員会などでMさんに出会ったとききちんと考える人であることに気がついた。

Mさんの考え方がしっかりとしており、徹底していることが好きだった。定年後に松山のある予備校に教えに行かれていたようで、私などが遅い出勤で松山市駅の市内電車に乗り換えるときなどにときどきお見かけした。

私はM先生の学生ではなかったから、とくに圧迫感を感じたことはなかった。いつだったかやはり入試の作問で熱力学第一法則のことで内部エネルギーは経路によらないことを先生の教えから学んだ。

大学を出てから大分経っていたわけだが、大学に勤めるようになってからはまだ数年の頃であった。dU=d'W+d'Qが成り立つが、右辺でdではなくてd'Wとかd'Qとなってこれらは経路に依存するが、これらをたした内部エネルギーの変化は状態量であり、完全微分となっているというようなことである。

このことは私にとってかなり長い間にわたって疑問の一つであったが、ムーアの『物理化学』(化学同人)によれば、熱の力学的仕事の定義によることを知った。しかし、物理を学ぶ人があまり物理化学の本を学ぶ機会は化学系の人ほど多くないと思う。

伏見康治先生のエッセイにも熱力学を大阪大学で教えていて、後年にその当時の学生からまったくわからなかった言われたとか。その後に機会があって化学系の熱力学の本を読んでみたら、明解に熱力学が書かれていることに感銘を受けたというのがあった。

量子統計力学の難しい本を書かれている偉い先生からそういう話を聞くと私だけではないのだなと思う。

do nothingが唯一の選択か

2015-12-09 11:26:31 | 日記
科学者にも老年は訪れる。

そのとき、科学者は何をするか。

この答えはいろいろあるであろう。

アメリカの物理学者だったワイスコップは

1. do phuilosophy
2. do admistration
3. do nothing
と言ったとか。

それを聞いた、ノーベル賞を受賞をした物理学者であった、朝永振一郎氏は

4. do nonsense

を付け加えられたという。一番、普通なのはdo nothingだろうが、それ以外にも現在では選択肢は広がっている。

たとえば私自身のことだが。狭い意味の「教育」の範疇には入らないだろうが、広い意味でのdo educationをやっている。

私のまわりを見ても大学の定年退職後にまだ物理の研究をしている人も結構いる。研究から完全に手を引いた人でも図書館で小説を借りて読んでいるという人もいる。

学者ではないが、友人・知人の中には趣味の工作で椅子や机やいろいろのものを製作している楽しい方もおられる。人生は健康であれば、または健康ではなくてもやりたいことを持っている人には退屈はない。

三角関数の定義いろいろ

2015-12-09 10:54:12 | 日記
英語で書かれた三角関数のWikipediaを読むと三角関数の定義のしかたがいくつも書いてあった。

1. Right-angled triangle definitions
2. Unit-circle definitions
3. Series definitions
4. definitions via differential equations

の4つが出ていた。

Wikipediaにこういう記述があるとは思わなかった。さすがだと思う。

私も「関数の定義」というタイトルの数学エッセイを書いたことがあるが、そのときに関数を級数で定義するということは書かなかった。

関数の定義のしかたとして私があげたのは

1.変数の1対1対応(または1対多対応)(普通の数学書に出てくる関数の定義)
2.ブラックボックスによる定義
3.積分を用いる定義
4.積分の逆関数としての定義
5.微分方程式の特解としての定義
6、母関数による定義
7.漸化式による定義
8.微分による定義

の8つを挙げたが、級数による定義(上の三角関数の例だと3.series definitions)は挙げなかった。関数の定義も多岐にわたるものだ(詳細は小著「数学散歩」、「物理数学散歩」(国土社)参照)(注)。

さすがに英語で書かれた三角関数のwikipediaである。 

(注)国土社は倒産したのでいま再生事業にはいっているのかどうか。「数学散歩」は品切れである。『物理数学散歩』は私の手元に数百部の在庫があるが、それを販売するルートがない。国土社が倒産したためだろうか。古本として多分新品が10冊くらい出回っている。私の『数学散歩』はgoogle booksにその一部が掲載されている。もし運が良ければ関数の定義の部分が読めるかもしれない。

数学・物理通信5-9,5-10発行

2015-12-09 10:39:17 | 日記
昨日、「数学・物理通信」5巻9号、10号を発行した。

12月になったらすぐにでも発行するつもりであたが、共同編集者の N さんの編集後記がなかなか届かない。家に電話してもなかなかつながらなかった。それでも先日電話したらようやくつながって奥様と話ができた。

それによると検査入院をされているという。それで月曜日に病院を訪れて話をして私が編集後記を書くことになって、昨日それを書いてようやく発行となった。彼の検査の結果がどうであるかはすぐにはわかるまい。

N さんは数学者であるが、自分の独自体系の微分積分の本を書いている。すでにその原稿が300~400ページになったのだが、その応用について書きたいのだがと言われていた。

私は応用はいいから、一度そこでまとめて本として出したらと助言しておいたが、彼がどう判断するか。それにいま大部な就学書を発行する出版社があるかどうかもわからない。

ちょっとネガティブなことをここで述べたが、彼は出身は工学系の方なので、やはり純粋の数学者とは感覚が違うところがあるのであろう。そこらあたりが私とウマがあうところである。

人のミス

2015-12-08 10:19:30 | 日記
ということで他人のミスというつもりではない。人のミスという含みは自分も含めた人間のミスというというつもりである。これは人のミスをあげつらうとかいうことではなくて、人間はミスをするものだということに主眼がある。

もう1955,6年頃のことだろうか小山書店とかダイアモンド社が発行した初等数学講座というのが発行されていた。そのなかに三角法をあつかった分冊がある。その中のある小さな箇所にどうも誤りとしか思えないことを見つけた。

この箇所の著者 K さんはまだ存命中かどうかは知らないが、多分存命中ではなかろう。その K さんの書いたところを読んで、なるほとどと了解をしていた。しかし、そこで\sin \theta =1を解いているのだが、それを見ている限りではどうもまちがいがあるとは思えなかった。

ところが私は同じことを\cos \theta =0からも導けるはずだと思って考えたら、K さんの書かれている解以外にもこの場合には解がありそうだということがわかった。それが誤りなのは言うまでもないが、それはどうしてなのかと考えたら、どうも\sin \theta =1の主値を解にとり、また同じように\cos \theta =0 の主値を解にとれば一致することがわかった。

それで念のためにもう一度考え直してみたのだが、それでよさそうである。これはある逆三角関数の間の関係をこの三角方程式を解くことで導こうとするものである。すでに4つの方法でこの関係を求めたエッセイを発表していたのだが、5つ目の方法でのこの関係を求めることができたことになる。

旧エッセイを改訂したエッセイは近いうちに『数学・物理通信』に発表したいと考えているが、まだその原稿は作成中である。

固定電話の契約を止める時代

2015-12-07 12:25:06 | 日記
今朝、少し遅く起きて来たら、妻が相談があるという。

何かと思ったら、私もガラ携帯をもつようになったので、もう固定電話を止めたらどうかという提案であった。「いいよ」と言ったのだが、来年の1月末で止めることを同意した。

それで時代が変わっていることを感じる。街を歩いても公衆電話ボックスがぐっと減っていて探すのに苦労する。みんなが携帯電話をもつようになったからだ。子どもがNTTに勤めたいたことがあったので、以前にこんな話を聞いた。

それはコインで使える公衆電話はそのコインの回収に経費がかかって、収益が上がらないということだった。それでプリペードのテレフォンカードを普及させることをNTTは考え、そのことはある程度成功した。

ところがその後の携帯電話の普及である。NTTでもはじめはこの携帯に関わるドコモはお荷物と思われていたが、そのうちにむしろ収益をあげる主要部分となった。いまではドコモとNTTとは別会社だと思うが、株主としての収入があるかもしれない。

つぎに、OCNというプロバイダーとかコンピュータ通信やインターネットの部門を立ち上げて、そこにNTTは活路を見出そうとした。だが、その部門も携帯部門も他社の追い上げを受けて、なかなかNTTは経営が苦しいと思う。それでも圧倒的な資産があり、回線等をもっているので、すぐに倒産するとかいうことはなかろうが、同業他社の猛追を受けて以前のような殿様商売はできないだろう。

それに私の家のようにだんだん固定電話を止めるという家庭もできているだろう。なかなか一筋縄ではいかない時代である。