どうしたらいいか。サンフランシスコの近くのゴールデン・ゲート・ブリッジは自殺の名所だという。そこへ自殺のために来た人を救ってきた警官がNHKのEテレで放送の先日のTEDで話をしていた。彼は二人だけ救えなかったそうだが、残りの数千人を救ってきたという。
彼は通報があると現場に駆けつけて、ひたすら自殺願望者の話を聞くのだという。本来人は自殺願望を持っている人といえども本当に死にたいとは思っていないらしい。ただ、ひたすらその人の話を聞いていれば、自然と生きる望みを持って自殺をやめるのだという。
自殺志望者に説教する必要も何もいらないのだという。要するに相手の話に耳を傾けることだけが必要なのだと聞くとほっとする。
河合隼雄さんというユング派の精神分析家がおられた。最後には文化庁の長官までされた方だったが、彼は精神的に問題がある人と会って話を聞くのが仕事だったと書いてあるのを読んだことがある。話を聞いているうちに各自が自分で自分の問題に気付いて自然に治っていくのだと書いていた。
たとえば、頑固な父親と心理的な対立をしていた子どもでもある時間をとって定期的に話を聞いているうちに、その問題点を自分で気づいて自分で解決できるようになるのだという。精神分析家はじっと我慢して人の話を聞き続ける根気がなくてはならない。そういう人に出会えた人は幸せである。
ただ、親切そうに相談に乗ってくれるのかとおもいきや、自分の利害のために人を殺害しようと狙っている人も世間にはいるので、用心である。どういう苦境に陥ったとしても、そんな人ではあるかどうかぐらいは、自分で判断できる力をもちたい。