というのはいうまでもなく1920年代のことである。ドイツだけかどうかは知らないが、ものすごいインフレが第一次世界大戦の終了と共に起こり、その数年ドイツ人を苦しめた。だが、1922年か23年にこのインフレが収まると生活が安定してきて、1929年までを黄金の20年代というらしい。
物理を学んだ私たちが知っているのは1925年の行列力学の創設と1926年の波動力学の提唱である。これがいわゆる黄金の20年代の中に入っているのは単なる偶然なのであろうか。そういえば、日本でもNHKがラジオ放送を始めたのは1925年だという。これは日本では大正時代の終りである。このころ日本でも東京に関東大震災が起こった。
このころはドイツだけならず、日本でもラジオとかのメディアが発達してきた時代であった。私は1939年の生まれなので、父や母はこの大正時代の雰囲気をたっぷりと吸って育ってきた世代なのであろう。このころは映画とかレコードによる音楽の普及とかがあったという。
1932年にドイツではナチスが政権をとるが、その前の1929年にハイゼンベルクとパウリの場の量子論の論文が提出されているのは何か因縁めいている。29年がドイツの黄金時代の終焉の年といえるという。1929年は日本でいえば、昭和4年にあたる。