物理と数学:老人のつぶやき

物理とか数学とかに関した、気ままな話題とか日常の生活で思ったことや感じたこと、自分がおもしろく思ったことを綴る。

黄金の20年代

2017-11-09 15:33:08 | 日記

というのはいうまでもなく1920年代のことである。ドイツだけかどうかは知らないが、ものすごいインフレが第一次世界大戦の終了と共に起こり、その数年ドイツ人を苦しめた。だが、1922年か23年にこのインフレが収まると生活が安定してきて、1929年までを黄金の20年代というらしい。

物理を学んだ私たちが知っているのは1925年の行列力学の創設と1926年の波動力学の提唱である。これがいわゆる黄金の20年代の中に入っているのは単なる偶然なのであろうか。そういえば、日本でもNHKがラジオ放送を始めたのは1925年だという。これは日本では大正時代の終りである。このころ日本でも東京に関東大震災が起こった。

このころはドイツだけならず、日本でもラジオとかのメディアが発達してきた時代であった。私は1939年の生まれなので、父や母はこの大正時代の雰囲気をたっぷりと吸って育ってきた世代なのであろう。このころは映画とかレコードによる音楽の普及とかがあったという。

1932年にドイツではナチスが政権をとるが、その前の1929年にハイゼンベルクとパウリの場の量子論の論文が提出されているのは何か因縁めいている。29年がドイツの黄金時代の終焉の年といえるという。1929年は日本でいえば、昭和4年にあたる。


自然哲学者と音楽家

2017-11-09 11:48:11 | 日記

これは戸川隼人さんの『数値計算』(岩波書店)のコラム(p.100)の受け売りである。

ニュートンが活躍した時代は17世紀で音楽家としてはビヴァルディの時代

オイラーは18世紀前半で音楽家としてはバッハの時代

ラグランジュは18世紀後半で音楽家としてはモーツアルトの時代

ガウスは18世紀と19世紀の境目で音楽家としてはベートベンの時代

ヤコビは19世紀前半で音楽家としてはショパンの時代

チェビシェフは19世紀後半で音楽家はチャイコフスキーの時代

だという。

こういう対比はおもしろいもので、日本史の本でこの日本の時代がヨーロッパでは誰それの時代であったとかあるとなるほどと妙に安心したりする。

ちなみにこのコラムのタイトルは「ガウスと消去法」である。

戸川さんの前記の書だが、購入して持っていたけれども読んだことはなく、今回ある目的のためにちょっとこの本を覗いてみたら、こういうコラムがあったということを発見した。

ちなみに、ガウス-ルジャンドル数値積分について、分点の求め方とその重みが必要である。重みの式を与えてあるけれども、その導出は具体的な説明はなく、ルジャンドル多項式の性質を利用して、と文章での説明があるだけである。数値解析の専門家にはその一般論が知られているけれども。

 (2017.11.15付記)自分の書いた本で恐縮だが、『数学散歩』の終りの方にガウス-ルジャンドル数値積分の重みの(素人のための)求め方が書いてある。この本はもう品切れである。しかし、googleでその一部を読むことができるので、運がよければ、無料でその箇所を読むことができるかもしれない。